【データに基づいて大宮のゲームレビュー】

2022 J2第14節 大宮 1-1 大分


【試合前レビュー】

原博美氏がフットボール本部長に就任してから4試合で3勝と波に乗る大宮。

中2日でのアウェイ連戦という厳しい状況ではあるが、自動降格圏脱出に向けて、手堅く勝ち点を得たい試合。

一方大分も、4位に勝ち点2差の8位につけており、昇格戦線に生き残る為にも何が何でもこの試合はホームで勝ち点3を獲りたい。


【前節(第13節)終了時点での順位表】

画像

前節までの対戦成績



【簡潔試合レビュー】


フォーメーション図

フォーメーション図


大宮はアウェイ連戦での中2日ということもあり、前節からスタメンを5名変更。

ベースシステム的には4-4-2のミラーゲームであるが、大分はボール保持時には基本的にはエドゥアルドネットが最終ラインに落ちてきて、両SBを前に上げる3-4-3のシステムを採用。


試合は、立ち上がりからホームの大分が一方的にゲームを支配する展開。

大宮は恐らくそれはゲームプラン通りであり、ボールを保持されても慌てることなく、4-4-2のコンパクト3ラインでの守備を徹底。


大宮のブロックを敷いた状態の守備はある程度整備されており、双方なかなかチャンスが作れない堅い試合が続く。


そんな中、大分が前半のうちにセットプレーで先制。

しかし、大宮もその後にこの日唯一といっても過言ではないチャンスをしっかりとモノにして同点に追いつく。


後半もその流れは変わらず、一方的に大分がゲームを支配しながらも最後のところでGK南のファインセーブ等もあり得点をとることができずに、このまま1-1で試合終了。


大宮としては大きな勝ち点1を獲得し、逆に大分はホームで勝ち点2を失った形となった。

基本スタッツ


【大宮の守備レビュー】

大宮は4-4-2の3ラインによるコンパクトな守備を徹底できていた。

これはトレーニングやミーティングで霜田監督が徹底的に整備した賜物だろう。


ブロックを敷いたときはある程度堅いので、あとはボールを連動して奪いにいくタイミングを修正する必要がある。

そこのタイミングが中途半端なので、なかなか良い位置でボールを奪えない(=有効なカウンターに繋がらない)であったり、ボールを奪いに行ったときに連動しきれていないので剥がされてピンチを招く(実際にこの日の失点につながるCKも前から奪いに行ったところを剥がされてCKになってしまった)ことも多い。


【ボールロスト位置・回数】

ボールロスト位置

ボールロスト位置

↑(勿論試合展開によるところもあるが)大分に比べ大宮はボールを奪う位置が全体的に低く、高い位置(相手陣内)での奪取が少ない。高い位置(相手陣内)でのボール奪取が増えれば、有効なショートカウンターなどにもつながる。



【大宮の攻撃レビュー】

この試合でのゴール期待値は大宮の0.4点。

実質ほとんどチャンスは皆無といって良い状況であった。

ゴール期待値



パス回数やパスの平均距離を大分と比較しても、本数は少なく、距離もロングボール主体となっているので、大宮はある程度ボールポゼッションは戦略として放棄していたと考えられる。


【パスソナー・パスネットワーク】

パスソナー・パスネットワーク

パスソナー・パスネットワーク


カウンターで勝負をしていくのであれば、カウンターの形も大事だが、そもそも【守備レビュー】の部分で触れた通り、いかに良い状態でボールを奪えるかが肝になってくるので、守備の整備がそのまま攻撃にも繋がってくる。


(戦略的に放棄していたのは前提として)大宮がポゼッションを有効的にしていくためには、

一人一人の距離感と、3人目、4人目の関わりが重要になってくる。


これは綺麗な4-4-2で守備をする弊害でもあるのであるのだが、ボールを持った時に一人一人の距離感が一定で段差が生まれづらい。

結果として、ボールの出し手と受け手のみの関係性となってしまい、ボールを受けた時には既にはまっているシーンが多々見られた。


3人目4人目が連動して関わってくる事もあまりないので、基本的に最終ライン+ボランチあたりまでしかボールを持つことができず、相手陣内での有効なポゼッションはほぼ皆無であった。


【エリア間パス図】

エリア間パス図

エリア間パス図


大宮の現状としては優先順位は後回しであろうが、やはりここまで有効なポゼッションができないと、特にこれから夏場を迎えるにあたり徐々に厳しくなってくるので、守備を最優先とした4-4-2の中で、ポゼッション時はシステムの可変含めてどのような戦略をとっていくのかの整備は必要であると感じた。



【今後の展望】

今節はアウェイ連戦中2日でスタメン5名変更など難しい状況での試合であったが、上位チーム相手に勝ち点1を獲れたのは非常に大きい。

4-4-2の守備は整備されており、今後も決して見ていて面白くないかもしれないが、着実に勝ち点を積み重ねていくことができると思う。

今はまずは"点をとられない"守備を整備している段階だと思うので、ここからボールの奪い方の整備やボールポゼッションからの攻撃等を整備していけば、きっと夏場には降格圏からは脱していると思う。