【データに基づいての浦和のゲームレビュー】

2022 J1第12節 浦和 0-0 柏


【試合前プレビュー】

ACLを挟んだ為約1か月ぶりのリーグ戦となる浦和。

1試合消化が少ないとはいえ、16位に低迷する中で、ACLで浮上のきっかけを掴めたのか試される試合。


対戦相手の柏は現在4位と上位につける。

直近5試合で2勝3敗と決して調子は良くないが、柏としては優勝争いに残る為にもホームでしっかりと勝ち点3を獲りたい試合。


【前節(第11節)終了時順位表】

画像


【対戦成績】

前節までの対戦成績



【簡潔試合レビュー】


【システム】

フォーメーション図

フォーメーション図


ベースシステムとしては4-2-3-1の浦和に対して、5-3-2の柏と、少しかみ合わない形となる為、その噛み合わせの不一致をいかに活かせるかが、レッズ勝利の肝となる。


立ち上がりからレッズペースで試合が続く。

基本的にゾーン要素が強かった柏の守備に対して、うまく相手DF間にボールが配給された時にチャンスを多く創出する。


江坂がライン間で良い状態でボールを受けたり、モーベルグのダイアゴナルな動きなので柏のゾーンの守備の隙をついてチャンスを作る。


しかし、チャンスは作るが決め切れず無得点。

一方の柏は相手にボールを持たれるのは許容範囲で、ボールを奪ってから細谷を中心とした素早いカウンターで浦和ゴールに迫る。


浦和がペースを握りカウンターで柏が仕掛けるという構図が続いたが、後半途中から徐々に柏の方にペースが移りだす。


しかし、最後まで両チームともに得点は奪えずにスコアレスドローで試合を終える。


スタッツ的には浦和の支配率が約65%で圧倒的にボールを握っている一方で、

シュート数と枠内シュート数はほぼ同じなことから、

ゲームを握ってチャンスをうかがう浦和と、しっかり守ってカウンターの柏の、

両チームともに狙い通りの展開であり、勝利がどちらに転んでもおかしくない試合ではあった。



【ゲームスタッツ】

基本スタッツ



【浦和攻撃分析】

浦和は今シーズンのデータを見ても自陣からしっかりとボールを保持してゲームを支配するスタイルなのが分かる。

↑「FOOTBALL LAB」より引用


↑「FOOTBALL LAB」より引用



柏の守備は、5-3-2であり、前線の2枚がコースを限定しながら、中盤3枚が懸命にスライドするというもの。

同サイドに限定できたと察知した瞬間にサイドバックが前に出てきて、同サイドで数的優位で圧縮をかけるという守り方。


浦和は両CB+両ボランチでパス交換をしながら相手を揺さぶっているのが、パス本数やエリア間パス図を見ても分かる。


ボールを動かしながら、うまくズレを作り、中盤3枚が良い状態で前を向いたときに一気に攻撃のスピードを上げることもできていた。


強いて言うのであれば、相手中盤が3枚で横の68mを守っていたので、サイドチェンジの長いパスをもっと有効的に使えればよりチャンスは多く作れたと思われる。

(パスの距離を見てもほとんどがショートパスであるのが分かる)



パスソナー・パスネットワーク

パスソナー・パスネットワーク


エリア間パス図

エリア間パス図




崩しに関しては、この日は相手の中盤が3枚で少ないということもあり、ボールを動かしながらセンターレーン、ハーフレーンで良い状態で中盤3枚が前を向いた時に相手の背後へのパスをシンプルに通すシーンが多く見られた。


押し込んだ際の攻撃としては、

浦和の特徴として、敵陣でのドリブルの使用率とロングボールの使用率が非常に低く、ショートパス中心で攻撃を仕掛けることがデータからも読み取れる。


一方でショートパス主体で崩すのであれば、コンビネーションの数値が高くなくてはならないが、実際はコンビネーションの数値がさほど高くないので、ショートパスで仕掛けるのであれば、お互いの関係性を向上させてコンビネーション数値も上げていかないと、今後ボールを支配して攻め込むが、ブロックを敷いた相手に崩しきれないというシーンが増えてくることが予想される。


↑「FOOTBALL LAB」より引用


PA内への進入傾向



【今後の展望】

ショートパスを繋いでゲームを支配するというチームの方向性は明確であり、

CB、ボランチを中心としたビルドアップの部分の質は高いので、アタッキングサードでの崩しのクオリティを上げていけば確実に勝ち点は増えていくであろう。

逆にいえば、そこの部分が改善されなければ、典型的な【ボールを支配するが勝てないチーム】になってしまう可能性もある。

アタッキングサードでのクオリティが向上できるか否かが今シーズンの浦和の命運を握るであろう。