今回初投稿となる本ブログにおいては、G大阪vs柏レイソルの試合を、試合概要、試合全体の考察、ゴールに関する考察、ピックアッププレイヤーの四つの観点からまとめることとした。是非最後までご一読いただければと思う。
試合概要
17分 ガンバ 高尾が中に切り込んで宇佐美にパスを出すも、シュートがキーパーの正面にいってしまい得点ならず
33分 柏 オルンガがパスミスに反応してボールをキープし、クリスティアーノにパスを出してやや後方からシュートを打つも大きく浮かし得点ならず
38分 ガンバ 倉田がゴールを決め損ないその後も良い反応を見せパスを送るも、パトリックがゴール前でヘディングミスをして得点ならず
50分 ガンバ パトリックが小野瀬にパスをして後方から意表をついたロングシュートを打つも、キーパーが良い反応を見せ得点ならず
51分 ガンバ パトリックがコーナーキックに反応してペンディングシュート。ハイライトではキーパーのオンゴールのようにも見える。 ガンバ 1-0 柏
62分 ガンバ 福田がセンターにパスを出し、ゴール前で倉田→おのせ→パトリックの順にシュートするもキーパーに阻まれ得点ならず
74分 ガンバ パトリック→山本→倉田→アデミウソンとパスが回り、ゴール正面やや後方からシュートを打つも大きく逸れて得点ならず
79分 柏 小野瀬のクリアが中途半端になったところを柏がベディングでパスを繋ぎ、江坂がゴール前のオルンガにパスを出し、走りながら中央へ左足でシュート ガンバ 1-1 柏
88分 ガンバ 山本→倉田→アデミウソンへパスが回り、アデミウソンがやや後方から、意表をついて左足を振り抜きゴールに突き刺さる ガンバ 2-1 柏
92分 柏 フリーキックをオルンガに合わせて蹴る→こぼれ球に反応した選手が後方から右足でコーナーギリギリにシュートを打つも、キーパーのナイスセーブにより得点ならず 94分 試合終了
この試合のゴールに関する考察
・G大阪は柏と比べて打ったシュートの本数が少ないが得点は上回っている。 →少ないチャンスで得点を決める確率が高い
・ボールの支配率も柏の方が上回ってはいる。ゲームコントロールの問題
・前半が0-0で終了。
・パトリックとGKの衝突があったものの点が決まり、ガンバが先制。
・80分、オルンガ選手が得点を決め同点に。 江坂→オルンガの流れが柏の強み?
・89分、倉田からアデミウソンにパスをし、ゴールを決めている。 →後半のゴールが勝利に結びついた。
G大阪に着目してみると、他のチームとの対戦でもボールの支配率やパスの成功数なども少ないのに得点を決めている確率が高いのでゴールを決める正確性が高いのかなと考えられる。
試合全体の考察。データからわかること。
この試合、G大阪のシステムは4-4-2。一方柏レイソルは4-3-3。ボール支配率、パス成功数、シュート数とも柏レイソルが上回っていることから、試合の進め方的にはレイソルに軍配があったように思われる。G大阪はどちらかといえば耐えの試合であったのではないだろうか。そこでG大阪が守り切れた要因がスタッツやデータから読み取ることが出来るのではないか、と考えた。
ここでG大阪のここまでの失点パターンを見てみようと思う。
このデータを見ると、クロスからの失点が多くの割合を占めている。G大阪としては、クロス対応を気をつけたいところ。そこで次に柏レイソルの選手のクロスの成功数を見てみたいと思う。仲間が5本中3本と、多くのクロスを成功させていたもののその他の選手のクロス成功率はそこまで高くはなかった。サイドでの対応がうまくいったのではないかという仮説が立てられる。そこで4-4-2の配置をうまくいかし、サイドハーフの倉田・小野瀬にも守備タスクを増やしたのではないだろうかと考えた。
これは小野瀬のボールタッチ位置とヒートマップである。もちろん重心は前めにはなっているものの、同サイドの深い守備位置まで上下動していたことが窺える。ボールタッチの回数も、深い位置でもある程度多いように思われる。さらに倉田は下でも取り上げているように、高い位置でいろんな場所に顔を出して攻撃へも貢献した。このサイドハーフの運動量、いわば頑張りが、G大阪の勝利につながったのではないだろうか。
また、ビルドアップのやり方の違いもデータに現れていた。
この試合、キーパー東口は、ツーセンダーバックの間に入ってビルドアップに参加していた。一方柏レイソルは、その役割は、アンカーの大谷が担うことが多かった。このヒートマップからも東口がペナルティエリアから出て、ボールを触っているということが確認出来る。その分G大阪はボランチが少し高めでゲームをコントロールしようとする狙いがあったのではないだろうか。
ピックアップ選手:倉田秋
この試合で、記念すべきJ1300試合出場を飾った元日本代表。Jリーグ28年目の歴史で通算116人目の快挙である。本人は、日刊スポーツの取材に「まだまだ目指すところは遠い感じ。毎日、毎試合、必死にやっているだけ。その積み重ねでここまで来た。今後も続けていきたい」と答えたそうだ。実際にこの試合の倉田を振り返ってみると、普段に増して、ゴール前に顔を出すシーンが多く、衰えを微塵も感じさせない、アグレッシブなプレイでチームに流れを引き込んでいたように思う。
4-4-2の左サイドハーフで先発した倉田と右サイドハーフで先発した小野瀬をボールタッチ位置ヒートマップで比較してみると、その差は歴然だった。小野瀬は自分のサイド(右)にポジショニングが偏っているのに対して、倉田は左前を主戦場にしながらも中央付近やゴール付近で多くプレーしていたことが見て取れる。上の個人スタッツにも数字があるように、「ラストパス」に関わる場面が目立った倉田。90分間を通して、豊富な運動量と気迫溢れるプレーを魅せ、ガンバの10番、ガンバの大黒柱らしいプレーでチームの勝利に貢献していた。プロ14年目の今シーズンも、彼の活躍からは目が離せない。
コメント(1)
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SPORTERIAスタッフ
2020/11/6 20:21
データから試合展開やチーム戦術、選手個人の働きと分析を掘り下げて書かれていて、とても興味深かったですし、とても分かりやすかったです。
特に、倉田選手と小野瀬選手のヒートマップの違いは特徴的ですね!