神戸vs柏の試合結果・データ(明治安田生命J1リーグ:2023年8月19日)


前節のセレッソ大阪戦に続き、今節も柏レイソルはリードを守り切ることができませんでした。二試合とも前半は主導権を握りながら優位にゲームを進めていましたが、中盤以降は徐々にラインが後退し、自陣での守備を強いられる時間が続く展開となりました。

このような展開が続いた要因を考えてみると主に2点に分けられると感じました。

  1. 低いボール支配率
  2. プレッシング強度の低下

以下、一つずつ説明します。


①低いボール支配率


前節のセレッソ大阪戦は31%、今節のヴィッセル神戸戦は41%と、長時間相手にボールを保持されていることが分かります。


柏レイソル 2023マッチレポート | 8月12日 vs C大阪 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB


基本スタッツ


サッカーの特性上、ボールを保持している時間に失点はあり得ません。そのため、相手からボールを取り上げることは、自分たちが守備をする時間を減少させることを意味します。言い換えれば、相手がボールを長時間保持しているということは、攻撃権を相手に委ねてしまっていると解釈することもできます。

自陣での守備時間が増加した場合、予期せぬ事故や被セットプレーを誘発することにもつながり、失点のリスクは上昇します。実際、セレッソ大阪戦のラストプレーやヴィッセル神戸戦で失点に繋がった被セットプレーは、自陣での守備時間の増加が一因と考えられます。

23節終了時点で、柏レイソルのボール支配率は平均45%とリーグで3番目に短いことが分かります。

降格圏まで2ポイント差と厳しいシーズンを過ごしていますが、低いボール支配率が長時間の守備による失点の増加(リーグ14位)と、攻撃機会の減少による得点力不足(リーグ17位)に影響を及ぼしていると考えられます。


②プレッシング強度の低下


ボール支配率が低い理由を分析しますと、プレッシングの強度が低下していると個人的に感じます。なぜなら、自分たちがボールを保持するためには、相手からボールを取り上げる必要があるからです。


以下の画像は、ヴィッセル神戸と柏レイソルのそれぞれの走行距離・スプリント回数です。

走行距離・スプリント回数走行距離・スプリント回数


このように見比べますと、柏レイソルの途中で投入された選手の走行距離やスプリント回数が少ないことが明確です。途中交代の選手の走行距離が短いことから、交代カードが効果的に使用されていないとも解釈できます。


また、ゴール期待値の推移も中盤以降のゲーム展開を如実に示しており、ボールを保持することの重要性を再認識させられるデータとなっています。


ただ、これはあくまでもデータに基づく定量的な解釈です。タイスコアやロースコアのゲーム展開では、選手の交代によって均衡が崩れる可能性を懸念して、行動しない選択をする監督も多い印象です。そういった経験や直感に基づく判断も興味深く、それがサッカーの魅力の一つだと思います。


ゴール期待値


柏レイソルは依然として厳しい状況にありますが、リーグ戦ではサンフレッチェ広島や横浜Fマリノスとの強豪との対戦が続きます。さらに、ミッドウィークには天皇杯の名古屋戦も控えており、過密日程が続く中での戦いとなります。

交代カードを効果的に使用することは重要と思われ、これからの3連戦はスカッド全員での戦いが求められる、文字通りの総力(走力)戦となるでしょう。

井原監督がどのような戦術を採用するのか、非常に楽しみです。