一言でこの試合を表現するなら、開幕戦らしい見応えのある素晴らしい試合だった、と思う。
どちらも監督が変わり、福岡さんは昨年までの堅守速攻をベースに攻撃性能を高める方向へ、柏はサッカーそのものを大きく変える方向へ。
両チームの情報は、その6日前に開催されたちばぎんカップでの柏の情報くらいしかなかったのではないだろうか。
その柏の情報も、千葉に完勝する内容ではあったけれど、逆に、千葉の完成度が高くないから?J1相手だとどこまで出来るのか?と、感じさせる内容だった。
福岡対柏。
ゴール期待値が示す通り、前半30分過ぎまでは柏はほぼゼロ。
ホーム開幕戦での勝利に燃える福岡が、開始早々から高い位置でのアグレッシブなプレスを仕掛けた。
最初のビッグチャンスは5分すぎ、福岡。
スローインから見木が技ありのヒールパスをウェリントンにつなぎ、ウェリントンのオーバーヘッド。
小島が良く反応しセーブしたが、これぞJ1という素晴らしいプレーが連続して見られ、今年の福岡は面白そうだ、と感じた。
柏は最初の10分ほど、福岡の速いプレスに戸惑ったのか、ミスもあり危ないと感じられるシーンもあったが、小島を逃げ道に加え、縦へのボールもおりまぜながら、少しずつ福岡のプレスに対しポゼッションの安定性を高めていった。
前半10分頃から福岡のアグレッシブなプレスが弱まりはじめ、柏が徐々にポゼッション位置を前へと押し上げていく。
柏がうまいなと思ったのは前半10分すぎ。
原田が細谷を走らせるような縦へのフィードを入れ、福岡の最終ラインを下げさせる。
そこから、やや間延びした福岡の陣形を見たからなのか、連動したハイプレスが仕掛けられる。
福岡の前線の運動量が落ちはじめ、最終ラインは細谷の裏抜けと柏のハイプレスを警戒しはじめたからなのか、福岡の陣形が少しずつコンパクトネスを失い、柏が少しずつ相手陣地でのポゼッションを高めていく。
と見えたが、13分。
細谷の抜け出しへ古賀がグラウンダーのフィードを入れるが、これは上島田代の罠。
フィードが弱かったこともあり難なくインターセプトされる。
そこから福岡が得意のカウンターで一気に押し上げクロスを入れるが、柏の戻りが早くクリアされる。
15分。福岡。
重見が倒されてFK。紺野と見木の技ありのコンビネーションからの見木の素晴らしいシュートを、小島がビッグセーブ。
ここから、原川・熊坂の素晴らしいポジショニングとパスワーク、仲間・杉岡・原川、原田・熊坂・小泉のローテーションにより、柏が試合をコントロールしはじめていく。
しかし次のビッグチャンスは、これまた福岡。
23分、古賀の前への早いフィード。
パスコースをあけていた見木にインターセプトされ、紺野から松岡へ。松岡が2人を引き連れながらサイドのポケットへ侵入。そこからヒールで岩崎へ戻し岩崎がニアへ素晴らしいシュート。小島が再びのビッグセーブを見せる。
クリアは一旦福岡に渡ったが、柏が早いプレスで奪い返し、小泉のドリブル。福岡の数的優位の状況を見たか、小泉が志知のファールを誘うかのようにドリブルの進路を変え、志知が倒してイエロー。
28分。
福岡のカウンター。
柏の戻りが早く、数的同数のシーンは一瞬。
プレー判断にもたついた間に柏が数的優位を確立しビッグチャンスにつながらず。
ここから福岡のプレー強度が落ちはじめていく。
31分。
久保のダイアゴナルを捉えた原川が浮き玉のスルーパス。裏抜けに成功した久保がヘディングシュートもキーパーのセーブ。
33分。
小屋松と杉岡のローテーション。
仲間のスルーからの杉岡のクロス。志知のクリアが細谷を直撃しビッグチャンス。
しかし細谷のシュートはブロックされる。
続いて福岡のカウンター。
右からのクロスに対しゴール前に4人入っていて、福岡のカウンターへの意識の高さを感じる(去年の柏は2人しかいなかったことがしばしば)。しかし柏も戻りが早く、柏が数的優位を活かしクリア。
35分。
細谷の動きを捉えた杉岡から細谷へ絶妙な縦のフィード。
細谷が田代に倒され、田代にイエロー。
39分。
柏のカウンター。
原川がサイドを抜け出す久保へロングフィード。
久保が中央へ走り込んだ仲間へマイナスのクロスを通しビッグチャンスを演出するが、仲間がふかしてしまう。
42分。
柏のポゼッション。
ワイドに幅をとっていた久保から細谷へクロス。
細谷がしっかりミートするが、小畑が早い飛び出しでブロック。
前半までを振り返ると、福岡はしっかりと柏対策をし、立ち上がりから果敢なプレスで先制点を狙ってきていた。
しかし、柏が小島のビッグセーブにより耐え、裏抜けへのロングフィードをしっかり使う形のポゼッションを見せたことにより、少しずつコンパクトネスを失い、柏のペースに。
柏は、原川の長短のパスワーク、ウェリントンを抑えながら原川をしっかりサポートした熊坂、2つのビッグセーブとビルドアップの逃げ道として安定していた小島が出色の出来。
福岡のプレスに耐えたCB陣のなかでも縦への効果的なフィードとローテーションからの攻撃をしっかりこなした原田と杉岡が光っていた。
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