今のガンバは「好調」なのでしょうか?結果だけを見れば3連勝していますがこの3試合、内容で相手を上回れていたかと言えばそうは言えない、決して好調ではないと個人的には感じています。あくまで印象ですが決定機の数も大分戦、札幌戦では間違いなく相手の方が上、おそらく仙台戦でも上回られていると思いますし、守備ではここ3試合1失点で済んでいますが「失点に繋がってもおかしくなかった場面」という縛りで映像を作ればかなり長尺のものができるぐらいに崩されているシーンは多いです。ウィークポイントはかなりある。
【システムのかみ合わせ】
浮きやすいのは
・ガンバのST
・マリノスのOFM
・マリノスのSB
これらのポジションをお互いに「誰が」「どう捕まえるか」あるいは「消すか」この部分で優位に立ったほうが試合の流れをつかむと考えます。
【ガンバの攻撃】
大きなポジションチェンジはせず相手によって2つのビルドアップの方法を使い分けて攻撃を仕掛けてきます。引いてブロックを固めてくる相手に対してはショートパス主体、プレスをかけてくる相手に対しては無理して繋がずに前線にロングボールを入れて前進を試みてきます。マリノス相手には間違いなく後者でくるでしょう。プレスによって高い位置でボールを奪うことを狙っていきたいですが一番の狙いは相手を追い込んでアバウトに蹴ってきたボールを回収し、攻撃の時間と回数を増やしていくことになると予想します。とはいえ90分プレスを掛け続けることはできないのでマリノスがブロックを組みガンバがショートパスでの前進を狙ってくる局面もあるでしょう。その中で一つ注意したいのがSBの裏を狙ってくる動きです。
マリノスと同じ4バックである仙台戦でもSB裏を狙っていたのでこの試合でも同様に狙ってくると予想します。対策としては①SBが縦へのパスコースを切りながら寄せる②通された場合、誰がボールホルダーに寄せ、誰が空いたスペースを埋めるのかを明確に決めておく、の2点になるでしょうか。また、浮きやすい相手のシャドーをどう捕まえるかということも考えておかなければなりません。主にDHの役割になってくると思いますがマークにつくか、パスコースを切ることで消すか、をボールの位置や周りの状況によって使い分けていくことが重要になると考えます。
【抜き切らずにクロス】
アタッキングサードまで侵入できた際に仕掛けてくる頻度が高いのがクロス攻撃。特徴的なのはほとんどの局面で「対峙する相手を抜いてから」「相手の陣形を崩してから」ではなく「抜き切らずに」クロスを上げてくること。ガンバの攻撃の軸であるこのクロス攻撃に決まったパターンや狙いがあるのか、ここ3試合で最もクロスを上げる回数が多かった大分戦でのクロスを手集計で分析してみました。
合計25本(※自分基準) 成功10本 失敗15本
蹴った選手を多い順からポジションで分けるとWB、DH(ともに8本ずつ)→ST(6本)→CB(2本)→CF(1本)
集計しながら映像を観ましたが明確なパターンがあるとは感じられませんでした。メインのターゲットは空中戦に強いCF。狙う場所は相手選手の間、もしくは最終ラインとGKの間。毎回ではありませんが逆サイドのWBが大外に入り込んでくることがあるのでこちらのSBは意識しておきたいところです。また、後半の図からも分かるようにぺナ前のエリアから対角に入れてくることもあるのでこれも頭に入れておきたい形です。マリノス側の対策としてまずは相手のボールホルダーに対して距離を詰めてクロスを上げさせないこと。とはいえ全てのクロスを防ぐことはできないので「まだ上げてこないだろう」ではなくクロスに対応するためのマークやポジショニングを早めに整えておくこと、こぼれ球に対して相手よりも速く反応すること、が必要になってくると思います。
【中央突破】
クロスに比べると頻度は少ないですが中央突破も狙ってきます。が、単調なワンツーでの突破を狙ってくるだけなので油断は禁物ですが厳しく寄せていけば十分対応できると考えます。ここで前向きでボールを奪えればクロスを跳ね返すよりもカウンターにつなげやすいのでむしろチャンス。厳しく寄せてクロスを上げさせない→相手が無理に中央突破しようとしたボールをカット→カウンター が理想的。
【ガンバの守備】
基本は5-2-3、押し込まれたら5-4-1 序盤はプレスをかけてくると思いますが最初の5分か、長くても10~15分ほどでブロック守備に切り替えてくるのではないでしょうか。中2日での連戦が続くなかで消耗が激しくなるような戦い方はしてこないと予想します。プレスをかけてくるときはCFが中央に構え開いたマリノスのCBに対してシャドーが寄せてサイドに誘導→SBに対してWBが出てくる形がベースになると思われます。
【SBの立ち位置】
マリノスのビルドアップの局面でキーとなるのがSBの立ち位置になると考えます。浮きやすいSBが相手のシャドーを引き出すことでボールを運ぶためのスペースを作りたいところです。
相手のCFが寄せてこなければCBが持ち運んでシャドーを引き付けてからSBにパスを出す形もアリ。
5-2-3の「3」を外すことが出来たら次に狙いたいのは「2」の脇のスペースです。ですがここのスペースを狙われるのは相手も想定済み。両サイドのCBが前に出て潰そうとしてくるのでそれを防ぐ仕組みが必要になります。
相手の裏を狙う動きに対してはラインを崩しついていく、というガンバの約束事(おそらく)を利用してCFとWGが積極的に裏を取る動きを見せていくことでサイドのCBを前に出させない、最終ラインを押し下げることで使えるスペースを広げることを狙っていきたいです。もちろん相手を釣るだけでなく通せるならそのまま裏を取ってクロス。CFがサイドのCBの前に立ってしまうのもアリ。
【ウィークであるクロス対応】
ガンバがいま守備で最も頭を抱えているであろう問題がクロス対応になると思います。直近の試合でも相手のクロスから決定機を作られる場面が数多くありましたし、ここまでのガンバの失点パターンで最も多いのもクロスから。ここは間違いなくウィークであると捉えていいと考えます。
ではなぜそうなってしまうのか。個人的のは3CBのゾーンを意識した立ち位置に原因があると考えます。クロスが入る局面で3CBは人をつかまえるよりスペースを埋めることを意識した立ち位置を取ります。そのため相手と競り合う際に立っている場所からのスタンディングでのジャンプになってしまい走り込んできた相手に前で触られたり、少し立ち位置がズレると頭を越されて間で触られてしまう場面が多発。おそらくチームでも課題として共有されている部分だと思われますが修正できているようには見えません。マリノスがヘディングでのシュートを狙ったクロスを入れる場面はそう多くないかも知れませんが頭に入れておきたい相手のウィークポイントです。
【選手メモ】
・ウェリントン シウバ
シャドーの主力として定着した左利きのアタッカー。武器は縦突破からのシュートやクロス。終盤オープンな展開になったときにより怖い存在になりそう。以外と右足も使える。縦を切って中に誘導して複数人で対応することで抑え込みたい。
・宇佐美
シャドーでの起用だがビルドアップ時には積極的に降りてボールに関わろうとする意識が強い。ミドルシュートには怖さがあるので簡単に打たせないこと
・パトリック
前の試合で90分フルにプレーしたのでおそらくスタメンではないと思いますが終盤にパワープレー要員として出てこられると厄介。良い態勢でヘディングをさせないこととこぼれ球への注意も必要。相手の激しいプレーに対してイライラしやすいのでこちらはそれに付き合わないこと。
・昌子
攻撃の際に最終ラインから前線へ縦パスを入れる意識が強く精度も高い。自信を持っているがゆえに厳しいコースでも入れようとしてくるのでマリノスとしては積極的にインターセプトを狙っていきたい。
【マスカット監督の初陣】
新監督が指揮する初めての試合となりますが前日に合流したばかりとのことでメンバー選考、チームのスタイルに大きな変化はないでしょう。ですが試合中の修正や選手交代に誰をどの時間帯に入れるかなど試合中に新監督の色が出る部分はあると思うのでどんな判断、采配をするのか注目したいと思います。
最後まで読んで頂いた方ありがとうございます。再開初戦、勝ってまた連勝を伸ばせますように。
コメント(3)
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SPORTERIAスタッフ
2021/8/10 14:24
試合後なので、答え合わせ的に拝見させていただいてます!
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SPORTERIAスタッフ
2021/8/10 14:28
読み通りパトリック選手はスタメンではありませんでしたが、負傷者の影響もあり思ったより早く出てきましたね。
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SPORTERIAスタッフ
2021/8/10 14:28
個人的にはG大阪の過密日程というマイナス要素と試合勘+連勝中というプラス要素のどちらが強く出るのかな?と考えていて、後者の方が強く出た気もしますが、そんな中でも勝ち切ったのは大きいなと思いました👏
試合前に思っていたよりもオープンというか、シュートシーンが多かったなという印象です。
先にピンチがありましたが、そこで失点せずに2点先行できたことは大きかったですね⚽⚽
G大阪としては、ギリギリ守れそうなところでキッチリ決められてしまった感がありました。
しかし、個で守備組織を破壊してくるのはさすが‥!
横浜FMとしては得点パターン+(G大阪の)失点パターンで一番多いクロスから3得点、まさにデータ通りでした。