ハマった神戸対策と新加入・交代選手の活躍


五輪の中断明け、下位脱出を狙う柏は移籍加入の武藤をスタメンに抜擢、3-4-2-1が予想されたが実際はクリティアーノをインサイドハーフに下げ3-5-2の形で神戸のダイヤモンド形の中盤と組み合う布陣を取った。

フォーメーション図

フォーメーション図

この試合2-1で柏が勝利したが、要因は3つあったと考える

1.神戸戦への準備、対策がしっかりできたこと

2.新加入選手を含めスタメン争いが激しくなり選手交代もハマった

3.クリスティアーノ

1.ボール支配率(神戸:64% 柏:36%)、パス成功数(神戸:656 柏:278)は圧倒的に神戸が上回る展開だったが、それを想定の上で柏は2トップと中盤の3人で守備ラインを構え、神戸のアンカーであるサンペールを2トップで見張り中盤3人に対しマンマーク気味で中盤への効果的な縦パスを防いだ。

神戸が中盤に入れるボールへ厳しく対応し柏はカウンターのチャンスを狙い続けた。両チームのボールロスト位置から、神戸のボールロスト位置がやや中盤に多く、柏は前線中央が多いことがわかり、柏が中盤のプレスからカウンターで前線まで運び攻め切ることを狙っていたことを示している。

ボールロスト位置ボールロスト位置

2.新加入の武藤は前線から左サイド、左から中央にダイアゴナルに動き、これまでペドロハウルに向けてロングボールを送る単調な攻撃になりがちだった柏の前線を活性化させた。

攻撃スタッツ - 武藤 雄樹ヒートマップ - 武藤 雄樹

武藤の働きに影響され途中出場の瀬川と細谷も見事な活躍を見せた。決勝点となった得点は瀬川がボールを中央でキープし展開、クリスティアーノからのボールを細谷が決めきった。エメルソンサントスも中断前の試合とは見違える守備のポジショニングと攻撃面での良さも見せた。新加入、途中交代の選手も中断前は結果を出せていなかったが、競争が激しくなり出場した選手が結果をもたらしてくれることに期待したい。

3.何といってもクリスティアーノの活躍が勝利をもたらした。守備のタスクや運動量を求められたが最後まで走り続け1ゴール1アシストを記録した。クリスティアーノが中盤に下がることで競り合いの強度は増し、低い位置からクリスティアーノが飛び出すことで相手マークを外す効果も見られた。今後の試合もクリティアーノの起用位置に注目だ。

攻撃スタッツ - クリスティアーノヒートマップ - クリスティアーノ

神戸は中盤でボールを保持し前線もボールを受けるタイプの選手だったため、ボールホルダに対して激しく当たる柏の対策がハマった感はあった。前線が走るタイプ、ドリブルで動かすタイプの選手だったり自分たちがボールを保持する試合展開の場合でも対応できるか注目したい。終盤に向け続くリーグ戦の中で万全な状態で対策できる試合ばかりとは限らない。新加入選手を加えチームの自力を上げ、ひとつでも順位を上げていくことに期待したい。


過去のJ1リーグ中断期間『上がるチーム』『下がるチーム』