・2ライン間とは

11人で行われるフットボールにおいて守備時は3ラインで構成して守るチームが多い

言わゆるFW・MF・DFで区切ることを指す。

そのFWとMFの選手の間やMFとDFの選手の間に生まれるスペースのことを2ライン間と呼ぶ。


・なぜ相手の2ライン間に位置取ると優位性が取れるのか

2ライン間ということで単純に見れば相手のマークが行き届かない位置取りを取ることになる。

つまり、守備者側目線から考えると誰がプレスに行くのかの混乱を招くことが可能になる。

そこから攻撃者側には以下のようなメリットが生まれると考える

➀相手ラインの乱れ(味方をフリーにする)

例えば相手MFとDFの2ライン間でボールを受けたとする

そのシチュエーションにおいて相手CBを引き出せれば敵最終ラインは乱れることになる。

引き出されたCBが空けたスペースに味方選手が入り込めば決定機が見込める。


➁数的優位の構築

ポジティブトランジションよる影響はあるものの相手ラインとそのラインの選手に掴まれている味方の数が数的同数のシチュエーションにおいて新たにライン間から味方が現れると数で相手を上回ることになる。GKからのビルドアップシーンなんかも再現性は高いだろう。


➂ポゼッション率の向上

相手に誰がプレスに行くのかの混乱を招くということは一時的にボールを保持できることになる。

各ライン間ごとにポジション取りできればビルドアップがかなり効率よく構築できる


・湘南vs清水から2ライン間の優位性を考える

フォーメーション図フォーメーション図

この試合で2ライン間に上手く位置取りをし、何度も相手DFを嫌がらせたのは

清水23番20歳の鈴木唯人だろう

チアゴ・サンタナとの2トップではあるのだが、

鈴木が若干1.5列目のような下がりめでボールを受けるシーンが多かった。

中盤での数的優位の構築や敵最終ラインの乱れ、プレスの迷いを生んでいた

湘南CBの大野にとっては鈴木の第一ディフェンダーになるのか、

あるいはチアゴ・サンタナについていくのかかなりやりづらかっただろう。


・前半14:30のシーン

鈴木が2ライン間に立ち、何度も自チームに優位性をもたらせていたのだが、

その中でも取り上げたいのが前半14:30-14:50の20秒の攻撃シーンだ。

GKからのビルドアップからこの攻撃は始まる。

ショートで繋ぎ、2CBが下りてきたところに湘南の第一プレッシャーラインはウェリントンだけではなく、シャドーの山田も付いていき池田も反応している。

そうすることで清水のダブルボランチには湘南もボランチが引き出されるシチュエーションになる。この時、湘南ボランチが引き出されたことでボランチとCB間の2ラインに広大なスペースが生まれている。

そこに鈴木唯人が位置取り、湘南はプレスに行きづらいため3タッチと余裕を持ったプレーが出来ている。

最後は崩れた湘南最終ラインに左SH白崎が顔を出しフィニッシュまで持って行けたシーンとなった。

ただ点を取るだけのFWではなく周りを観てスペースを使いながらチャンスメイクもできる鈴木選手は素晴らしい活躍だった。

このように2ライン間に位置取りを取ると有効な攻撃が繰り出せる。

やはりMFとDFの2ラインを空けてしまうことはプレスのいきにくさか最終ラインを崩すかどちらかを許容するかの選択が強いられるため致命的であると私は考えている。

ちなみに後半の湘南はシステムを変更し5-3-2とアンカーを付けるようにした。

これは1.5列目のような動きで2ライン間に顔を出す鈴木唯人を1人掴めるようにする意図かもしれない