前節5試合ぶりの勝ち点3を得たサンフレッチェ広島。

連勝をかけた第15節、広島はホームで清水エスパルスと対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

両チームともに中3日での試合となった今節。連戦を考慮してか、広島は6人、清水は3人スタメンを入れ替えました。広島の井林章とエゼキエウは今季リーグ戦初スタメン。清水の宮本航汰はJ1デビューとなりました。


取りきれずカウンター

今年、広島は高い位置からプレッシャーをかけてショートカウンターを狙う守備に取り組んでいます。開幕戦では敵陣で奪ってからの速攻で2点を取るなど、ここまでは効果的にハマった場面が多かったです。ただ、今節は前がかりに奪いにいくもののボールを取りきれないシーンが何度かありました。

2分、敵陣で縦パスを受けたドウグラスヴィエイラが清水にボールを奪われてしまいます。広島はエゼキエウや柴崎晃誠らが即座に奪い返しにいきましたが、マイボールにすることはできませんでした。ボールを持った後藤優介のスピードあるドリブルによって広島はカウンターを受けそうになりましたが、川辺駿が全力で戻って対応したためピンチとはなりませんでした。

ただ、12分にはあわや失点という場面を迎えてしまいました。清水陣内でボールを持つ相手に対し、広島は自陣に下がることなく高い位置からプレッシャーをかけにいきます。ただ、エゼキエウがヘナトアウグストのドリブルを止めることができず、ハーフウェーライン付近までボールを運ばれてしまいました。前線に上がっていた竹内涼へのパスは井林がカットしたものの、ボールが後藤に渡ってしまいカウンターを受けてしまいました。

井林(上図の3番)がカットしたボールは運悪く後藤(上図の橙14番)の足元に転がってしまいました。この時、広島の守備は左サイドに集中しており、中央には膨大なスペースができていました。後藤は大きなタッチで抜け出すと、一気に広島のペナルティエリア近くまで前進。最後のタッチが少し大きくなったため、大迫敬介が飛び出して抑えましたが、清水の大チャンスでした。

広島としては前がかりになってボールを取りにいったものの、奪いきれず。カットしたボールが相手の足元に渡ってしまい、カウンターを受けてしまいました。失点にはなりませんでしたが、1点もののシーンであり、非常に危ない場面でした。


来日初ゴール

失点を免れた広島は28分にコーナーキックから佐々木翔が決定機を迎えましたが、ゴールライン手前でブロックされこちらも得点とはなりませんでした。ただ、0-0のまま迎えた31分、今季初スタメンとなったエゼキエウの活躍により広島に先制点が入りました。

広島陣内の左サイドでワンツーをしてきた清水に対し、エゼキエウがしっかりと対応してマイボールにします。エゼキエウが最終ラインの佐々木にボールを下げると、そこから前方へのパスがテンポよく繋がり、時間をかけずに右サイドの敵陣中央まで進入。清水の選手たちの戻りも速く、広島はスピードダウンさせられましたが、右サイドの茶島雄介から柴崎を経由してペナルティエリア手前のエゼキエウにパスが渡ります。エゼキエウはトラップして前を向くと左足でシュート。低くて速いシュートがゴール左隅に決まり、広島が先制しました。

    攻撃スタッツ - エゼキエウ ヒートマップ - エゼキエウ

エゼキエウはスタメン起用に応える来日初ゴールとなりました。日本1年目のエゼキエウですが、ただでさえ不安な新天地での生活に加え、新型コロナウイルスの影響でリーグ戦が中断したり1月に結婚した奥様が来日できない状況が続いたりと、苦しい時期を過ごしてきたと思います。そんな中でゴールという結果を残せたことは本人にとって非常に価値があるのではないでしょうか。今節の1点を皮切りに今後ゴールを量産してくれることを期待したいです。


チャンスは作るも得点は入らず

エゼキエウの得点で試合が動いた後、両チームともに次の1点を取るべく多くのシュートチャンスを作りました。広島は41分、東のスルーパスを起点にヴィエイラからパスを受けたエゼキエウがシュート。しかし、相手にブロックされ追加点は奪えませんでした。一方の清水もコーナーキックからチャンスを迎えましたが、ジュニオールドゥトラのシュートはポストに当たりゴールとはならず。前半最後の15分間で広島は6本、清水は4本のシュートを放つなどお互いに攻め込みましたが、得点は生まれず(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=09&date=09)。前半は1-0と広島リードで折り返しました。


1本のパスで2点目

後半に入ると、お互いの守備陣の集中した対応もありシュートの数は少なくなりました。1-0というスコアが動かないまま、試合は70分に突入。すると、71分に広島が大迫のパスから追加点を取りました。

キーパーの大迫までボールを戻した広島に対し、清水は全体のラインを押し上げショートパスを繋がせないようにします。ロングボールを蹴らざるを得なかった大迫ですが、相手の最終ラインの裏のスペースへ正確なキックでパスを送ります。これに反応したヴィエイラが柔らかいトラップでボールをコントロールすると、相手キーパーの位置を確認してループシュート。これがゴールに決まり、広島がリードを2点に広げました。

  攻撃スタッツ - ドウグラス ヴィエイラ 攻撃スタッツ - 大迫 敬介

ヴィエイラのボールコントロールは完璧であり、まさに足にボールが吸い付くようなトラップでした。コントロールがスムーズにできたことで、相手キーパーの位置をしっかり確認して冷静にループシュートという判断が可能になったのだと思います。また、大迫のキックも素晴らしく、結果的に大迫にアシストがつきました。大迫は守備でも安定したプレーを見せており、78分には至近距離からの決定的なヘディングシュートを右手で弾くなど清水の攻撃を防いでいました。

守備スタッツ - 大迫 敬介


今シーズン最多の4得点

2点目を奪った広島は78分、80分と立て続けにピンチを迎えましたが大迫のセーブや井林のブロックのおかげで得点は許さず。逆に81分、勝利に大きく近づく3点目を奪いました。

途中出場のハイネルがペナルティエリア右からクロスを上げると、ファーサイドで待っていた同じく途中出場のレアンドロペレイラがトラップしてシュート。低い弾道のボールがゴールに決まり、3-0と清水を突き放しました。

また、88分にはペレイラのシュートのこぼれ球を途中出場の柏好文が押し込んで4点目をゲット。広島は今シーズン最多の1試合4得点となりました。

ただ、完封目前だった後半アディショナルタイム、清水にセットプレーから1点を返されてしまいました。右サイドからのフリーキックにカルリーニョスジュニオが合わせてヘディングシュート。大迫も反応しましたがシュートを弾き出すことはできず、1点を失ってしまいました。


総括

基本スタッツ

広島は今シーズン最多の4得点で快勝し、リーグ戦2連勝となりました。初先発のエゼキエウが得点を決めるなど、チームは勢いに乗っていけると思います。ただ、守備面では危ない場面も多く、失点こそ1に抑えたもののセットプレーやカウンターからピンチを招いてしまいました。次節まで中3日ですが、守備のブラッシュアップが必要だと思います。


第16節は9/13(日)、現在J1首位の川崎フロンターレとアウェーで対戦します。

強敵ですが、なんとか勝ち点を掴み取ってほしいです。