前節、退場者を出しながらも無失点で勝利したサンフレッチェ広島。
第29節では、アウェーで湘南ベルマーレと対戦しました。
ミッドウィーク開催となったこの試合、湘南が前節から2人スタメンを入れ替えたのに対し、広島は11人全員を変更。今季初先発となる松本大弥や2試合目の出場となる櫛引一紀など、出場時間の少ない選手がスタメンに起用されました。
立ち上がりの失点
序盤、湘南が積極的に背後のスペースを狙い、広島ゴールに迫っていきました。
3分には3バックの石原広教が左サイドへロングフィード。深い位置でボールを受けた畑大雅がドリブルで仕掛け、ペナルティエリアへ進入しました。また、6分には最終ラインの背後へ抜け出した中川寛斗へ齊藤未月からのパスが通ります。中川が上げたクロスはクリアされましたが、セカンドボールを回収し、最後は松田天馬がシュートを放ちました。
どちらも得点とはなりませんでしたが、湘南は広島陣内深くまでボールを運びチャンスを作りました。また単発で終わるのではなく、ともにコーナーキックを獲得。今季全得点のうち3分の1以上を占める得意の”セットプレー”に繋げ、攻撃の時間を継続しました。
7分にはこの試合3度目となるコーナーキックを獲得します。松田からのボールをファーサイドで大野和成が折り返すと、岡本拓也がヘディングシュート。これがゴールに決まり、湘南が得意のセットプレーから先制点を挙げました。
広島は湘南の攻撃をしのぎきれず、先に得点を与えてしまいました。この試合を含む直近5試合で広島は3度先制を許していますが、全て試合開始から10分以内での失点となっています。「先制されると勝てない」というチーム状況が続いているため、早い時間での失点はなくさなければいけないと思います。
ビルドアップで苦戦
前半、広島はスムーズなビルドアップができませんでした。
今季、あまり試合に絡めていなかった選手が最終ラインや中盤に入ったこともあってか、攻撃のテンポが上がらず。加えて、湘南の素早いプレスに苦しみ、敵陣までボールを運べない場面が多くありました。余裕を持って前を見る時間が作れなかったのか、近い選手へのパスが多くなり、サイドを変えるボールやウイングバックへのロングフィードはいつもより少ない印象を受けました。
近場のパス交換だけで湘南の連動したプレスを剥がすことは難しく、パスがずれたり、相手に囲まれたりする場面が何度もありました。前半終盤にはハーフウェーライン付近でボールを奪われると、カウンターを受けてしまいました。飛び出してきた茨田陽生にパスが通り、決定機を作られましたが、キーパーの大迫敬介がシュートストップ。追加点は許しませんでしたが、奪われたあとの対応が悪く、中央から簡単に最終ラインを突破されてしまいました。
前半は終始湘南ペースで試合が進み、1-0で終了。広島は相手を押し込むような攻撃がほとんどできませんでした。
同点弾
後半開始から広島は柏好文と浅野雄也を投入。すると、2人が入った右サイドを中心にパスが繋がるようになり、湘南陣内深くまで攻め込む場面が少しづつ増えていきました。
52分には右サイドで浅野と柏がパス交換。柏のスルーパスに反応した浅野がペナルティエリア内に進入しクロスを入れました。また、57分には右サイドでパスを繋ぎながら前進。4,5人の選手が関わってチャンスを作ると、最後は野津田岳人が左足でクロスを上げました。
どちらもシュートには至りませんでしたが、前半には見られなかった厚みのあるサイド攻撃でした。後半は各選手の球離れが早くなり、攻撃のリズムが良くなっていきました。広島が試合のペースを握り始めると、66分にチャンスを創出。途中出場の川辺駿が同点弾をゴールに叩き込みました。
自陣まで降りてボールを受けた森島司(途中出場)が斜め前方の柴崎晃誠にパス。柴崎は前に運んで前方のドウグラスヴィエイラへ繋ぎます。ヴィエイラはターンして前を向くと、右の川辺へラストパス。ペナルティエリア内でパスを受けた川辺が右足を振り抜くと、シュートはゴール右上に突き刺さり、同点ゴールとなりました。
森島が降りてパスを受けたのと入れ替わるように、センターサークル付近にいた川辺は前線へ飛び出していきました。ボールが柴崎、ヴィエイラと繋がる間に川辺は最前線まで前進。ボランチが飛び出してきたことで湘南の守備陣は対応しきれず、川辺はフリーでラストパスを受けていました。
川辺と交代した野津田や柴崎にはなかった「前線への飛び出し」。この動きを川辺が実行し、同点ゴールを生み出しました。さらに、川辺は87分、90分にも前線へ飛び出してチャンスを創出。87分のシーンでは決定機を迎えましたが、隅を狙ったシュートはポストのわずか右を抜けてしまい勝ち越しゴールとはなりませんでした。
逆転ならず
終盤は両チームともにチャンスを作り、どちらに2点目が入ってもおかしくない展開でした。
湘南は78分にコーナーキックから途中出場の古林将太がヘディングシュート。さらに88分にはショートカウンターから同じく途中出場の指宿洋史が強烈なシュートを放ちました。しかし、どちらも広島のキーパー大迫がセーブし得点とはなりませんでした。
大迫は約1ヶ月ぶりの出場でしたが、シュートセーブ数は6本を記録。クロスキャッチ数も4本を数えるなど、最小失点に大きく貢献しました。前半の茨田との1対1や終盤の指宿のシュートなど、決定的なシーンを何度も防いでおり、大迫の活躍がなければ負けていたと思います。
広島も81分に浅野、86分にはヴィエイラがペナルティエリア内からシュートを放つなど、2点目を奪いにいきました。しかし、湘南のキーパー谷のセーブもありゴールを決めることはできず。ラストの15分間で両チーム合わせて12本ものシュートを放ちましたが、お互いのキーパーの活躍もあり勝ち越しゴールは生まれませんでした。
試合は1-1で終了。広島は後半に追いつきはしましたが、今季初の逆転勝利とはなりませんでした。
総括
立ち上がり、広島は湘南の攻撃をしのぎきれずに先制を許してしまいました。前半は攻撃面でも苦戦していましたが、後半は攻撃のリズムが良くなり多くのチャンスを作りました。しかし、得点は1点のみ。7試合負けなしとなりましたが、逆転勝利とはなりませんでした。
次戦、広島はホームで北海道コンサドーレ札幌と対戦します。
立ち上がりの失点には十分警戒し、先制点を取って勝利してほしいです。
コメント(2)
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SPORTERIAスタッフ
2020/11/29 12:55
あくまで結果論ですが、
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サンレノファン
2020/11/29 21:09
SPORTERIAスタッフさん、コメントありがとうございます!
・先発の大幅な入れ替え
・引き分けという結果
を見ると、仙台戦と似ていたのかな?と感じました。
でも仙台戦は前半圧倒して後半徐々に勢いを失っていた感があるので、後半の選手投入で活性化した今回とは真逆ですね。
サッカーって難しい…💦
”大幅なターンオーバーをして引き分け”、確かに仙台戦と同じような結果ですね。
前半も後半も、レギュラー組が出てもサブ組が出ても、常に良いサッカーをしなければ上位にはいけないですよね。