直近の試合で、9試合ぶりとなる敗戦を喫したサンフレッチェ広島。

今季のホーム最終戦となった第33節では、得点ランクトップのオルンガ擁する柏レイソルと対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

中3日でこの試合を迎えた両チームはスタメンを数人変更。広島は大迫敬介や土肥航大といった若い選手を先発で起用しました。一方、柏ではベテランの大谷秀和が約1ヶ月ぶりの出場となりました。


雪上での強さ

この日、スタジアムの天候は雪。試合前から降り続いた影響で、普段とは異なる白いピッチでの試合となりました。

広島は序盤からボールを握り、近い距離間でパスを繋ぎながら前進していきました。シャドー、ウイングバック、ボランチがサイドで関わってボールを回す中、最前線に入った浅野雄也はディフェンスラインと駆け引き。持ち味のスピードを活かすべく、積極的に背後への抜け出しを狙っていました。13分には森島司のスルーパスに抜け出し、ペナルティエリアに進入。決定的なチャンスを迎えました。ただ、戻ったディフェンダーに対応され、シュートを放つことはできませんでした。

    攻撃スタッツ - 浅野 雄也 ヒートマップ - 浅野 雄也

柏陣内でプレーしながらも、なかなかシュートに至ることができなかった広島。すると、17分にカウンターを受け、先制点を許してしまいました。

柏は自陣でボールを奪うと、呉屋大翔がオルンガの前方に素早くパスを出します。オルンガは対応した荒木隼人よりも先にボールに触って抜け出し、ペナルティエリアに進入。キーパーとの1対1を落ち着いて決め、リーグ戦27ゴール目を挙げました。

    攻撃スタッツ - オルンガ ヒートマップ - オルンガ

広島はオルンガを止められず、4試合連続で先制点を与えることとなってしまいました。呉屋からのスルーパスに対し、オルンガとの競争になった荒木はボールにチャレンジしにいきました。しかし、リーチのあるオルンガに先に触られ、ボールを外に出すことができずに転倒してしまいました。一方、オルンガはバランスを崩しながらも倒れず。雪が積もったピッチにもかかわらず、それを感じさせないようなスピード・体の強さ・ボディバランスでゴールを奪っていきました。


モビリティ○シュート×

ボールを支配しながらもシュートを打てていなかった広島は23分、浅野がチームとして最初のシュートを放ちました。敵陣右サイドでファウルを受けると、クイックリスタートから茶島雄介がペナルティエリアに進入して深い位置からクロス。キーパーの目の前で浅野が合わせましたが、シュートは左ポストの横を抜けてしまい、得点とはなりませんでした。

その後も広島はボールを動かしながら、柏を押し込んでいきました。また、ボールを持っていない選手が前線に飛び出して行く場面が多く見られるなど、選手の動きが活発になっていました。トップの浅野がサイドに流れたり、シャドーの柴崎晃誠がボールを受けに降りたりすると、鎌田次郎や古賀太陽といった柏の最終ラインの選手がついてきたため、スペースが発生。広島はそのスペースに川辺駿ら中盤の選手が飛び出していました。また、3バックの野上結貴と佐々木翔も積極的に上がっていくなど、モビリティが出ていたと思います。しかし、その流動的な動きを活かしきれないシーンもあり、得点には結びつかず。前半はシュート3本に終わり、1点ビハインドでの折り返しとなりました。


試行錯誤

後半に入っても広島はボールを動かし、かつ選手が動きながら攻めていました。54分には森島司の推進力あるドリブルからチャンスを作ると、川辺を経由して最後は茶島がカットインからシュート。左足で放ったシュートは良いコースに飛んでいきましたが、わずかにポストの横を抜けゴールとはなりませんでした。

    攻撃スタッツ - 茶島 雄介 ヒートマップ - 茶島 雄介

さらに、1分後には茶島が柴崎とのワンツーでペナルティエリアに進入。中には4人の選手が入り込んできており、ファーサイドの東俊希はフリーになっていました。茶島は近くの浅野を選択しましたが、パスは繋がらず。シュートは打てませんでした。

ホーム最終戦で負けるわけにはいかない広島はここから、得点を取るために様々な策を講じました。57分には青山敏弘とドウグラスヴィエイラを同時投入し、トップにヴィエイラ、シャドーに浅野を配置。直近の試合と同じ前線の組み合わせにしました。さらに66分には、サイドの活性化を図るために両ウイングバックに柏好文と松本大弥を投入。ウイングバックでの起用が続いていた東をシャドーに移動させました。79分にはその東に変えて、こちらもウイングバックが主戦場だった藤井智也をシャドーに起用。5枚のカードを使い切り、勝負をかけました。

ポジションを移動させたり、普段とは異なる位置で起用したりと得点力不足を解消するためにチームが試行錯誤しているように感じました。ただ、この試合ではどの策も得点には結びつかず。ビハインドのまま時間だけが経過してしまいました。


監督の退場

柏の1点リードで迎えた終盤、誰しもが予想できない展開が起こりました。

審判の判定に対し異議を唱えた広島の城福浩監督が立て続けにイエローカードを提示され、退場処分を受けてしまいました。”異例のシーズンとなった2020”、”雪の中で行われたホーム最終戦”、これだけでもインパクトがありますが、それに加え”監督が退場”。記憶に残り続けるであろう試合となってしまいました。

結局、広島は無得点のまま終了。最終盤には野上を前線に上げてパワープレーを仕掛けましたが、それも実りませんでした。アディショナルタイムには川辺にチャンスが訪れましたが、ボールをミートすることができず。2試合続けて0-1での敗戦となりました。


総括

基本スタッツ

広島はボール支配率やパス成功数では柏を上回りましたが、シュート数は柏よりも少ないという結果になりました。守備ではカウンターからオルンガに決められ失点。先制されると勝てないというジンクスはこの試合でも継続され、ホーム最終戦で悔しい敗戦となりました。


次戦、広島は名古屋グランパスと対戦します。

今季最終戦、精一杯応援したいと思います。