1勝1分で3連戦の最後を迎えたレノファ山口FC

第10節では、ホームで京都サンガF.C.と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

山口は前節からスタメンを7人変更。眞鍋旭輝・神垣陸・梅木翼・河野孝汰の4人が初先発となりました。フォーメーションは今季初の3バックを採用。これまではサイドバックで出場していた石川啓人がセンターバックで起用されました。一方の京都は1人のみの変更で、右サイドバックに白井康介が入りました。


スタッツ

基本スタッツ

試合は京都が2得点を挙げ勝利。ただ、得点以外のスタッツでは京都が山口を上回った項目はなく、パス成功数やボール支配率は山口の圧勝となっています。それでも枠内シュート数は同数。京都はシュートに至るまでの手数・時間が少なく、チャンスをしっかりと決めてきました。

ゴール期待値

前半、山口は京都に2本しかシュートを打たせませんでしたが、そのうちの1本を決められ先制点を与えてしまいました。失点以降は徐々にゴール期待値を積み上げ、前半終了間際にはコーナーキックの流れから立て続けにシュートを放ちましたが、得点は奪えず。逆に後半の立ち上がりに2失点目を喫し、リードを広げられてしまいました。最終的には山口のゴール期待値は1を超えましたが、無得点での敗戦となりました。


失点の時間帯

この試合の失点は、「前半の飲水タイム明け」と「後半開始直後」であり、どちらも中断を挟んでプレーが再開したタイミングでした。また、どちらも京都が攻撃を開始してからわずか15秒以内にゴールネットを揺らされており、あっさりと決められたという印象を受ける失点でした。

先制点の場面では、左サイドに流れたピーターウタカが巧みな足技で石川をかわし、深い位置まで進入してクロス。ゴール正面に入ってきた松田天馬がヘディングで合わせ、ゴールを決めました。クロスが上がる前に松田の近くにいた高木大輔は、ボールに集中するあまり松田を見失い、競り合うことができず。また、ニアサイドに入ってきた福岡慎平に眞鍋が引っ張られたことで、ゴール前の空間は広がり、松田に楽な状態でシュートを打たせてしまいました。

2失点目は後半のキックオフ直後。前線へのボールをヘディングで繋がれると、ウタカにペナルティエリア内でボールを持たせてしまいました。ウタカはカットインで1人をかわし、右足でシュート。関憲太郎が弾いたボールを宮吉拓実が押し込み、京都の2点目となりました。山口が前がかりになっていたことで、ウタカがボールを持った際には5対5の同数。ウタカにゴール方向を向かれた状態で、十分すぎる時間とスペースを与えてしまったことが失点に繋がってしまったと思います。

1点目はアシスト、2点目は得点に繋がるシュートと、どちらの得点でもウタカが起点となっていました。また、得点を決めたのは両ウイング。攻撃回数はそれほど多くありませんでしたが、3トップ全員がゴールに関わるという結果になりました。

攻撃スタッツ - ピーター ウタカ   ヒートマップ - ピーター ウタカ

攻撃スタッツ - 松田 天馬   ヒートマップ - 松田 天馬

攻撃スタッツ - 宮吉 拓実   ヒートマップ - 宮吉 拓実

山口は普段とは異なる3バックで挑み、前半は京都にほとんどチャンスを作らせていませんでした。ただ、飲水タイムとハーフタイムが明けた時間帯に失点。内容は悪くなかっただけに、悔やしい敗戦になったと思います。


ハーフスペースと背後

一方、攻撃ではボールを動かしながら、相手の背後を狙ったり、ハーフスペースを使ったりと、初先発のメンバーが多いながらも良い形は作れていたと思います。

ビルドアップ時には神垣、もしくは佐藤謙介が渡部博文の右側に落ち、眞鍋が左に開いていました。また、右の石川は一列上がってボランチのようなポジションを取ったり、タッチライン際に開いたりと場面や状況によってポジションを変えていました。両選手のヒートマップを比較すると、自陣でのボールタッチは同じような分布になっていますが、敵陣では眞鍋がサイドのみなのに対し、石川は中央でもボールに関わっていたことが分かります。

攻撃スタッツ - 眞鍋 旭輝   ヒートマップ - 眞鍋 旭輝

攻撃スタッツ - 石川 啓人   ヒートマップ - 石川 啓人

これまでの試合ではあまり多く見られなかった形でのビルドアップとなっていましたが、京都に追い込まれることはほとんどなく、スムーズにボールを繋げていたと思います。序盤は強風の影響によって相手の背後へのボールが伸びていましたが、通っていればチャンスになるような場面もありました。また、河野や梅木、あるいは後半途中から出場した島屋八徳といった前線の選手がディフェンスラインと中盤の間でパスを受け、サイドへ展開するといったシーンも見られ、京都のスペースを有効に使えていました。

ただ、最後のクロスが味方に合わなかったり、シュートが防がれたりと、最後の質の部分では京都の後塵を拝する結果となりました。今季は10試合で6得点。無得点に終わった試合は京都戦を含め5試合と、得点力不足が勝ち点の少なさに繋がっています。


最後に

結果的に3連戦は1勝1分1敗。ただ、ビルドアップの形やシステムを変えたり、メンバーを入れ替えたりと、渡邉晋監督はさまざまな手を試していました。ここで積み上げたものを活かして、ゴールデンウィークの3連戦では連勝してくれると期待しています。