2021/5/2に行われたJ1リーグ第12節,大分トリニータvs清水エスパルス.それぞれ7連敗と6戦勝ちなしとお互いに浮上の兆しを見せたいゲームでした.


ボール支配率は最終的には清水エスパルスが優勢,シュート本数も上回りましたが大分は前半38分CKから長沢が潰れたところを町田が押し込み先制.後半の大分は無理に前線から行かずに引く形を取り,清水は最後までこれを崩し切ることができずタイムアップとなり大分は今季ホーム初勝利を挙げました.一方,清水エスパルスは6戦3敗3分と勝ちきれない試合が続く中,4試合ぶりの敗戦を喫してしまいました.

基本スタッツ

点数としてはあまり波がないように見える試合ですが,試合終盤間際は両チームともに慌ただしい展開となりました.清水が大分のディフェンスを崩しきれない状況が続く中,智将ロティーナもパスワークからの崩しではなくパワープレーへの戦術変更を敢行します.清水は今節不調気味のMF中山に変えて長身FW指宿を投入,さらにDFヴァウドをパワープレー要因として前線に投入し高さで押し切る戦術に切り替えました.しかし昨季のようなセットプレーからの迫力は今季はあまり見られない清水,今節もクロスをピンポイントで仕留めるシーンは少なく,ヘディングも決定的なものは見られませんでした.特に大分はDF小出に変わってDFエンリケ・トレヴィザンが3CBの中央に入ることで195cmの指宿を封じることに成功し,アディショナルタイムの清水の攻撃を凌ぎ切りました.


最終的なゴール期待値では後半ATには大分よりも高い1.26を記録した清水でしたが,最後まで得点を奪うことはできませんでした.また,前半は清水が大分を大きく上回るゴール期待値を記録していますが,前半37分の大分FW長沢のシュートが清水GK権田に阻まれた直後のコーナーキックからの得点というタイミングで大分のゴール期待値の大きな上昇が見られています.

ゴール期待値


勝利した大分ですが,着目すべき選手として町田也真人があげられます.ゴールという結果をもたらした点も大きいですが,試合を通して右サイドを中心にそこら中に顔を出しパスの受け手に回るなど,攻守ともに大きな貢献を果たしていると言えます.

ヒートマップ - 町田 也真人攻撃スタッツ - 町田 也真人


また,長沢駿も普段から守備への貢献度の高いFWですが,今節もパスネットワークでも示されるように中盤まで下がって受けに来る場面が多く見られます.これにより円滑なパスワークや守備時の攻めの遅らせに貢献しました.

ヒートマップ - 長沢 駿攻撃スタッツ - 長沢 駿

時間帯別パスネットワーク図


また,清水エスパルスではエウシーニョが攻撃の起点および守備の刈り取りといった面で大きく貢献していました.ヒートマップは元来のポジション通り右サイドが濃いですが,中央へのカットインも特徴的なこの選手は後半20分右サイドからペナルティボックス左までのランニングを見せ,西澤のシュートは決まらなかったもののチャンスを生み出しました.

ヒートマップ - エウシーニョ攻撃スタッツ - エウシーニョ


今節終了後勝ち点は大分が8,清水は11と両チームともまだ降格の匂いがする位置です.4チーム降格の厳しいシーズンの中で降格争いにも注目が集まります.