皆さんこんにちは、太古の森と漆黒の獣と申します。

いよいよ今シーズンもJリーグが開幕しましたね、昨シーズンは色々とあってプレビュー&レビューはお休みをしましたが、今年は備忘録的に記録を残していきたいと思います。

例年にも増して忙しい中でガッツリは書けない、そういうわけでnoteでは無く、公式データを使えるこちらのサイトを使わせて頂きます。(noteにはこちらのリンクを貼っていく形で更新をしていきます。)

無理なくシーズン完走出来たら嬉しいなと思っていますので、改めてよろしくお願いします。🙇‍♂️

(※基本的にここで書くことは1000%自分の主観を元にしています、読まれる方はその点をご承知おき下さいませ。)



①試合を観ての感想

というわけで、先ずは試合全体を簡単に振り返っての雑感。

東京にとって2021シーズンのスタートは非常に厳しいゲームとなった、浦和とのアウェイゲームと言えば一昨年くらいまでは「鬼門中の鬼門」、今までなら1ポイントでも良しとすべきゲームなのだろうが、ここ2年間は4戦2勝2分、リーグ戦の成績も含めて今やパワーバランスは変わった。

東京長谷川体制4年目、昨年は念願のタイトルを獲得して、今年こそは初のリーグ制覇が具体的な目標にできる立ち位置のチーム、対する浦和は、ここ数年はチームサイクルの変革期で、今年は徳島からリカルド・ロドリゲス監督を招いて新しく生まれ変わろうとする最初の年、当然楽にとはいかないが、東京としては鬼門の地とはいえ3ポイント奪取、最低限ポイントを持ち帰りはマストにしなければいけないと試合前は考えていた。

しかし、蓋を開けてみれば大苦戦、守備陣の踏ん張りと三田森重のおかげで辛くも最低限のポイントは持ち帰ることが出来たが、この試合に関しては浦和がほぼ支配したゲームといって良い内容だった。

どちらが悔しい思いをしたかと聞かれれば間違いなく勝利目前で2ポイントを失った浦和で、最悪の内容でもポイントを持ち帰れた東京としては長い目で見ればポジティブに捉えても良いかもしれない、しかしリーグ優勝を目指すチームの試合としてはあまりにお粗末な内容であったのも事実、そこはしっかり受け止めなければいけないし、チームが掲げる目標を考えると批判はされて然るべきかなとも感じる。

今後の試合を考えると何とも不安を覚える内容となったオープニングゲームとなった。



・スタッツ

東京は唯一の枠内にして、西川を脅かしたシュートがゴールになった、ボール支配率、パス成功数、CK数からみても浦和が敵陣に押し込む時間が長かった事がスタッツからは見えてくる。



・ゴール期待値(XG)

(ゴール期待値とは、「あるシュートチャンスが得点に結びつく確率」を0~1の範囲で表した指標、ゴール期待値はシュートの成功確率を表すので、値が高いほど得点が決まる可能性が高いシュート)

先述した通り、東京は86分のFKまで禄にゴールに迫れなかったので妥当な数値に、浦和は押し込んでいる時間が長くあったものの、得点に至るようなチャンスを作れるようになったのは後半半ばを過ぎてからという事が見える、逆を言えば後半半ばまではどちらも攻め手に苦労していたことが伺える。



FC東京


スタメン

離脱していた永井、ディエゴといったところが間に合った、新戦力組は渡邊が右WGで早速先発を勝ち取った反面、アンカー候補の青木はベンチスタート、注目の中盤構成は東、安部、アルトゥール・シルバという構成になった。

こスタメン発表の時点で「まさかアルがアンカーか!?」と思わずびっくりしたが、4-3-3では無く4-5-1や4-2-3-1の可能性もあったが、試合開始直後はやはり基本4-3-3でスタート、結局下記の図のような並びになった。

フォーメーション図

結果は試合をご覧の通りでほぼ機能不全に陥ってしまったわけだが、どうしてそうなってしまったのか考えてみた。



・狙いは前で奪ってショートカウンター?


徳島時代からリカルド・ロドリゲス監督のチームはボール保持に特徴を持っている、そして長谷川体制の東京はボール非保持からの攻撃に強みを持っている、となればおのずと「ボールを持つ浦和」「待ち受ける東京」という構図は分かりやすくイメージが出来ていた、なので東京がどういうこの試合でどう待ち受けるのか、注目だった。

アルトゥール・シルバ安部の中盤の構成、昨年を見ている東京のサポーターなら「誰がアンカーやるんだ?」と思うのは至極当然で、3人ともアンカーに適したプレイスタイルを持っているとは言い難い、後ろで構えるというよりは前方への守備へ強みを持つ選手達だ、更にこの試合の3トップは裏への長いボールで抜け出すよりは、中盤まで下りてきて足元に受けてから前方へ加速していくことが得意な組み合わせ、そう、敵陣で奪ってのショートカウンター向きな人選である、試合が始まって見えてきたのは「前で嵌めて奪う」という意図だ、では何故これが上手く結実しなかったのだろうか?


①レアンドロとディエゴのコンディション不良

もうこれがこの試合の東京が上手くいかなかった事の全てと言っても過言ではないかもしれない、ここまで動けない両選手の姿を見るのは、完敗した昨年のアウェイ鳥栖戦(●0-3)以来だった。

東京は奪ってからの整理が良く出来ているチームでは無い、それは圧倒的なキープ力を誇るこの両選手が多少アバウトな形でも収めて、何とかしてしまうからだ、即興でも形にしてくれる圧倒的な個の質、理不尽といえるまでのその絶対的なパフォーマンスがこの日は皆無だった。(理由は様々だろうがここでは割愛)

前半30分くらいまでに東京はいくつか中盤の選手が上手く囲い込んで敵陣で奪う形は作れていたが、前線へ繋いだボールは悉く奪われてしまった、浦和槙野岩波の両CBも上手く対応してはいたがそれ以上に勝負にならなかった。

また、右WG渡邊は良い動きを見せてはいたが連携不足、単独で解決する選手では無い為、ここを突破口にするわけにもいかず、前半でストロングポイントが無くなってしまった。

更にこの2選手の不調は守備にも影響、動きの量、プレスの連動性を欠く原因にもなってしまっていた。

後半早々にディエゴを下げてアダイウトンを入れてからは、彼がブラジル人選手の中ではまだマシなコンディションだったこともあり、多少起点が出来るようになった。

それでもこの日は試合を通して前線のパワー不足に悩ませられる結果となった。


➁強度が高かった浦和のトランジション

苦しみながらもボールを奪って素早く繋げようとする東京、そこに更なる障害となって立ちはだかったのは浦和の攻守における切り替えの早さ、少しでももたつくとあっという間に帰陣し東京の選手を取り囲む、これがほぼ90分続いたのだ。(聞いてないぞ)

この切り替えの早さが厄介だったのは、東京が前に嵌めにいってボールを失うと再逆襲を喰らうリスクがある事、狙い通りに奪えたとしても失う可能性が高いと感じれば、自然と前方から奪う姿勢も消極的になってしまうのは自然な流れではあった。


③杉本と明本という逃げ場

そしてダメ押しとばかりに浦和がやってきたのが、長いボールを使ってのプレス回避である、必ずしも後方からの細かいビルドアップ(小泉を経由する形)に拘らずにCB、GKから積極的に長いボールも使ってきていた、本来なら空中戦や対人に強いDFラインを持つ東京としてはこの展開はボールを回収しやすい嬉しい展開の筈なのだが…勝てない拾えない。

そう浦和杉本、明本が予想以上に強さを発揮していたのだ、流石に五分以上には持ちこたえていた最終ラインだったが、特に明本とマッチアップした小川レアンドロのサポートが望めないので非常に苦しい展開だった。

浦和が躊躇わず長いボール蹴って、プレスを躱してきたので東京としては無闇に全体を押し上げる訳にもいかず、前半の30分過ぎから徐々に重心を下げざるを得なかった。



というわけで個人的には東、安部、アルトゥール・シルバを起用して前からのボール奪取を狙ったが、上記のような理由で上手くいかず、最終的には両WGを下げて4-5-1で引きながら後方からのビルドアップをするしか無くなってしまったのだと考える。

そしてそうした場合に必然的にアルトゥール・シルバ「逆に」効いてきてしまうのである、アンカー適性が低いであろう彼もビルドアップに必死に関わろうとはしていたが、プレイ選択や体の向きなど中盤の底で保持をするにはあまりにもリスキー、顕著に表れたのが前半47分の自陣PAエリアから密集地帯への突撃である。(白目)

後半は2DHにして変則4-4-2のような形にして多少改善はされたが、代わって入った選手も万全ではなく、前線での起点不足は変わらずで、永遠に自陣に釘付けされるジリ貧の状態になってしまっていた、失点は時間の問題だったと思う。

ただ、最後は少しヤケクソ気味にもみえるファイヤーフォーメーションで岩波の軽率なファウルにも助けられて何とかポイントを持ち帰る事が出来た。

内容は酷かった、だが「前線の選手たちのコンディションが上がればこれって解決するなぁ」と思ってからはそんなに悲観していないのも事実である。

アルトゥール・シルバのアンカー(厳密には3CHの真ん中と思っている)もこれで「ダメ」とは個人的には思わない、前線がフルコンディションの状態で見てみたいからだ。

幸い2CBをはじめ、守備陣は奮闘していたのは好材料、しばらくは我慢の展開が続くだろうが、辛抱強く味方の復調を待ちたいところである。

パスソナー・パスネットワーク

見るのが辛いパスソナー、ほぼ前線が関与出来ていない、これは後ろが原因でパスを届けられないというよりは、前が原因でパスを届けられていないと思っている。


・気になった選手


攻撃スタッツ - 渡邊 凌磨

不本意ではあったろうが、ポテンシャル感じさせた。

ボールを引き出す動きは良く、ディエゴなどと積極的に連携を図るシーンもあり、馴染んでくれば新たな前線の武器になってくれそうだ。

守備意識も高く、サボらずにやれそうなのもグッド!!



・対戦相手の印象


「新生リカルド浦和、ベースは既に堅い」

フォーメーション図

リカルド・ロドリゲス体制になって初の公式戦はポジティブな部分が非常に多く出た試合だったと思う、ビルドアップなどの仕組みもそうだが、一番に目についたのは規律、ハードワークといった基本的な部分。

とにかくサボらない、失礼な物言いになるが一昨年、昨年に感じた時おり出る無気力感はこの日は皆無、全員がハードワークを厭わない強い意識を感じた。

特に90分続けられた強度の高いネガティブトランジション(攻→守の切り替え)には恐れ入った、小泉、明本、伊藤など今年からの新戦力がみせる動きに他の選手が引っ張られていた、リカルド・ロドリゲス監督がベンチ前でみせるパフォーマンスが象徴的。

更に阿部や槙野や西川といったベテランもしっかりそれについてくる姿勢も見えて正に生まれ変わったなという印象を受けた、おそらくこのチームは戦術的な理解度もそうだがこの日見せた真剣な姿勢、これを体現できない選手はベンチにも入れないだろうなと。

勝てればこれ以上ない最高のスタート(阿部が決めたのも含めて)だっただろうけど、追いつかれた悔しさも逆にこのチームにはプラスになりそう、戦術的には土台が出来上がっているように思った、「誰がゴールを獲るのか」「中央部をどう攻略するのか」といった課題も当然あるだろうけど、この日見せたベースの部分を常に維持出来れば相当厄介なチームになるなと感じる開幕戦であった。

個人的には長谷川健太監督が就任した2018年の東京に似た印象を受けたので、非常に好感を持ちました、開幕戦で当たれて良かったかもしれない。

パスソナー・パスネットワーク

こちらは分かりやすい非常に分かりやすいパスソナー、攻撃の道は小泉に通じる


・気になった選手


守備スタッツ - 明本 考浩

個人的にはこの試合MVP、J2民から凄い凄いとは聞いていたが、本当に凄かった…。

先ず目を引いたのは体幹の強さ、それほど体格がよく見えないのだが、当たられてもブレない、森重をショルダートゥショルダーで弾き飛ばした時は若干引いた。(笑)

起点にもなれるし、プレスバックも怠らない、めちゃくちゃウザったかったです。

(そりゃJ2なら反則だわ)


攻撃スタッツ - 小泉 佳穂

ウザったかった!

しつこく、繰り返し繰り返し動き直して、色んな場所でパスをもらい続ける動きに、中々狙いが絞れず東京の中盤は苦労した。

おそらくリカルド浦和で最重要になる選手、まだまだキープをしきれずロストする場面なども目に付いたが、両足どちらからもパスをスムーズに出せるのはめちゃくちゃ脅威、頼むからJ1の適応に時間がかかって欲しい、非常に厄介です。

ヒートマップ - 小泉 佳穂



・あとがき

まぁ色々書きましたが、まだまだ1/38です、これで全てが分かることなんてありませんからね、気長に見守っていきましょうや。

はい、というわけで開幕戦だから頑張って書きましたが、時間の関係でもっと簡素になる試合もこれからは出てくると思います(笑)

よろしければ一年間見守ってやって下さい!!