横浜FM9戦目。

中三日での試合ということもあり、使い慣れた4-2-1-3ではなく4-1-2-3で試合に臨んだ


フォーメーション図


試合を観ていない方はハイライトをご覧下さい。



結果は0-2で完敗。

慣れない1アンカー+2IH(インサイドハーフ)の形による中盤の立ち回りが整理されず、攻守両面で広島に圧倒される結果となった。


基本スタッツゴール期待値


目次

①自分達の形

②1アンカーにした弊害

 1.ビルドアップ

 2.崩し

 3.ハイプレス・ミドルプレス

 4.ブロック

③CBに求められる資質

④終わりに


①自分達の形

完敗とは言ったものの、前半30分までは横浜FMが目に見えて優勢であった。

十八番のSB・WG・中盤の選手の3人の関係性でプレスを回避し、サイドチェンジから逆WGの突破力を生かしてチャンスを何度か作っていた。



ポイントとなったのはIHに入った山根の立ち位置だ。

IHながら積極的にSBの横まで下がってくることによりサポートを作り、プレスを回避する局面において積極的に自分達の形を作りに行っていた。


攻撃スタッツ - 山根 陸ヒートマップ - 山根 陸


また守備面でも安定した対応を見せていた。

横浜FMの弱点はSB裏を狙われてカウンターを食らうことだが、ボールを奪われた瞬間に1stDFが素早くプレスをかけることでSB裏をカバーする時間を作り、RWB藤井の単発攻撃だけに抑えて込んでいた。



②1アンカーにした弊害

しかし、前半30分を過ぎると風向きが一変する。

プレスを回避する事が全くできなくなり、CFのレオ・IHのチマと山根がパスを受けに下がってくる⇒相手のDFラインも高くなる⇒スペースがなくなってパスが余計に通らなくなる⇒さらに3選手が下がってくる、という悪循環の繰り返しであった。

その明確なキッカケは分からなかったが、個人的には広島の中盤の選手達が横浜FMの楔のパスに順応してきたのかなと感じた。

(これが原因だったのでは?と思うことがありましたらコメントで教えて頂きたいです)



試合序盤では何となくうまく行っていたが、次第に2ボランチ+1トップ下ではなく慣れない1アンカー+2IHで挑んだことのボロが明確に表れてきた。

横浜FMのプレーモデルと一般的な4-1-2-3のプレーモデルを比較しながらその原因を解明していきたいと思う。


1.ビルドアップ

大きな差はライン間のハーフスペースに人を置けるかどうかである。

先述した通りIHの山根やチマが下がってきてしまうことで(普段はボランチをやっていたので仕方ないが)、4-1-2-3では自然と取れるはずのスペースに人がいなくなってしまう。



普段横浜FMが採用している4-2-1-3であればトップ下orトップ下がポジションチェンジをしながら積極的に顔を出せている

また一般的な4-1-2-3であればアンカーの選手が寄ってSBの横にサポートを作ることで、IHはライン間を取ったままでいられる。

ここがどっちつかずになってしまっていた。



2.崩し

横浜FMの崩しはポケット(青い資格で囲った部分)にパスで侵入することが共通イメージとしてあるはずだ。



本来4-1-2-3を採用することのメリットとして、IHの初期位置が高いためにWGとの連携がとりやすくて簡単にポケットを取れることが挙げられる。

しかし横浜FMはSBもハーフスペースを取れるため、流動的にポジションチェンジをしながら4-2-1-3のままでも難なくポケットに侵入できてしまうのである。



3.ハイプレス・ミドルプレス

横浜FMはハイプレス・ミドルプレスの際には4-4-2の形になることが決まりである。

WGを前に出して4-4-2にする場合は大差ないが、中盤の選手を前に出して4-4-2にする場合には大きく変わる

従来の4-2-1-3であれば相手の2ボランチに対してのマークがハッキリしやすいが、4-1-2-3の時はIHが出たスペースをアンカーが埋める必要がある。

この連動がスムーズに行えるのであれば何ら問題はないのだが、ここで横浜FMは苦労していた



3バック+2ボランチを採用する広島に対して両IHで相手の2ボランチを捕まえやすくしようとしていたと考えることも出来るが、そうだとしたらスカウティング・再現性の両面において疑問が残る結果である。


ボールロスト位置


4.ブロック

そして一番の問題になったのが、チャンネル(CB・SB間)のカバーである。

横浜FMは原則としてSBが釣り出されたときにそのスペースをCBではなく中盤の選手が埋める


従来の4-2-1-3であれば、各サイドのスペースを2ボランチで手分けして埋めることが可能である。

しかし、4-1-2-3の時はこの守り方をすると中盤の移動距離が増えるため、負担も大きく間に合わないシーンが散見された。



局面に分けてこの試合の問題点を挙げてきたが、横浜FMの現在のプレースタイルを考慮すると4-1-2-3を使うのは少し合理性に欠けるようにも思える。

もし今後併用していくのであれば4-2-1-3を採用する時との違いを明確にして、チームに植え付けていく必要がある。


③CBに求められる資質

ポゼッションを志向するチームにおいて現代ではCBに求められる能力が非常に大きくなっている。

特にCBが簡単に外を向かないで中へのパスコースを見せる必要がある。

今節スタメン出場したエドゥアルド&岩田はその能力があまり高くなく、サイドでプレスに嵌められてしまう原因になってしまっていた。


エリア間パス図ボールロスト位置


特にエドゥアルドはその傾向が顕著であり、ビルドアップ面で角田との差は大きい

下図だけを見ると山根への縦パスを多く通せているように見えるが、そのほとんどが最終ラインまで下がってきた山根との横関係でのパス交換だ。


パスソナー・パスネットワーク


敵陣に押し込める展開であればエドゥアルドの正確なロングフィードは生きてくるので、想定される試合展開によってCBの組み合わせは上手く使い分けていく必要性はあるだろう。


④終わりに

試合としては完敗であったが、個人的には4-1-2-3にチャレンジした事は大いに評価したい。

昨年はトップ下マルコスへの依存度が大きかった中、今シーズンの過密日程をこなす上では中盤の組み合わせは多岐にわたるであろう。

一人への集中的な負担を減らすためにも新加入で若手のチマ・山根・西村の可能性を広げるためにも、新しい事に挑戦した事は無駄ではないはずだ。

後は使い慣れている4-2-1-3との違いを明確にして使い分けることが出来るようになれば、大きな飛躍へとつながるだろう。