横浜FM13戦目。
ACLを挟んで3連勝と波に乗ったまま、ここ5試合全て引き分けである浦和のホームに乗り込んだ。
試合を観ていない方はハイライトをご覧下さい。
結果は3-3で引き分け。
前半で3-0と大きくリードしたものの、試合終了間際にユンカーに同点ゴールを許し勝ち点3を取り逃がした。
目次
①チャンネルはそのままで
1.崩し
2.ブロック
②人なのか?スペースなのか?どっちなんだい!
③新陳代謝
④終わりに
①チャンネルはそのままで
この試合でポイントとなったのはチャンネル(SB・CB間のギャップ)の使い方であった。
両チームともここを起点にして得点を積み重ねていった。
1.崩し
前半は波に乗って3得点を挙げた横浜FMだったが、これは浦和の作戦の隙を上手く突けたことが大きかった。
チャンネルを攻略するのが得意な横浜FMに対して、浦和はSHを積極的に下げることでチャンネルを空けないようにする。
データを見ても浦和のSHが自陣のライン際に押し込まれていたことが窺える。
このチャンネルの埋め方には問題点が2つあり、
①SHが間に合わない時の対策を練ってないとボロが出る
⇒小池のインナーラップから1点目を演出
②CMのスライドが間に合わないとバイタルが空いてしまう
⇒宮市のカットインから2・3点目に繋がる
横浜FMはこの問題点をしっかり突けたことが3得点に繋がった。
しかし、浦和はこの問題点をHTで解消する。
どうしたかというと、両CMに献身的なスライド・カバーを促すことでチャンネル・バイタルのスペースを消したのだ。
これにより一転して試合の流れは浦和に傾いていく。
2.ブロック
後半はユンカーがチャンネルを狙ったダイアゴナルランを積極的に狙うようになり、ピンチの場面が増えていく。
原因は横浜FMがチャンネルのカバーに対するBプランをしっかり用意できていないことにある。
横浜FMは非ボール保持の局面でSBが積極的に高い位置まで相手を捕まえに行くので、チャンネルがぽっかり空くことは少なくない。
しかし、基本的にチャンネルのカバーを両CHが行う決まりごとがあるので事無きを得ている。
ただ、トランジションやハイプレスなどの局面でCHが高い位置を取ってカバーできない場面は必ずある。
そういう場面でのBプランが定まっておらず、最終ラインで数的同数になっていることが多々ある。
決定力や攻撃力のないチームが相手の場合ではそれでも対応できてしまうが、今節のユンカーのようなストライカーがいるチーム相手だと事情は変わってくる。
そのBプランの1案として逆サイドのWGを大外まで戻しカバーさせることを提唱したい。
これがチームとして共有できるようになれば、最終ラインで数的優位を作ることができてDFも心置きなくスライドして対応することが可能となる。
WGを最終ラインまで戻すということはカウンターでの枚数が減って脅威を下げることとトレードオフではあるが、対戦相手によって使い分けることができれば勝率も上がることだろう。
②人なのか?スペースなのか?どっちなんだい!
また気になったのはプレスがあまりハマっていないことである。
中央で長い縦パスを何本も通されているのは決して良い傾向とは言えない。
その原因は、前線はスペースを埋めるように立っていることが多いのに対して、最終ラインは人にマンマークでついていることだ。
前線は複数の選択肢にチャレンジできるようにスペースを埋めるように立ち、最終ラインは縦パスを出されても即座に反応できるよう人を捕まえる。
これだけ聞くと良い事のように聞こえるが、この意識の違いが重大な欠陥に繋がる。
それは前線が1stDFをキッチリ決めれないために相手に時間を与える。
そして最終ラインはマンマークで釣り出されるために簡単に後方のスペースを空けてしまう。
結果として最終ラインの後ろに空いたスペースを使われると対応が後手に回ってしまい、今回のように裏抜けが得意な選手には何度もチャンスを与えてしまうことになるのだ。
③新陳代謝
内容的には残念な結果となってしまったが、この試合ではWGの起用に関して大きな発見が2つあった。
1つ目は宮市がようやくJ初ゴールを挙げたことである。
今まではスピードに乗ってもボールフィーリングがイマイチで決定機を逃す場面ばかりであったが、今節では2点目のアシストといい3点目のシュートといい技術が光った。
途中交代ながらスプリント回数もチーム2位と爆発力は持っているだけに、このまま調子を上げていければスタメン定着も近い。
そしてもう1つは右WG吉尾というオプションである。
エウベルがケガをしてアンデルソンロペスを右WG起用するなど試行錯誤をしていたが、吉尾のWG抜擢は一筋の光になったであろう。
特に光ったのはサイドで受けてからアンデルソンロペスやレオセアラに斜めへ差し込むパスである。横浜FMのWGにはあまり見られなかったプレーだけに、サイド攻撃の新たなオプションになる可能性は秘めている。
一方で、これまでレギュラーとして活躍してきた2選手にはいまだ物足りなさが残る。
畠中は怪我が完治していないのか攻守で不安定さが垣間見える。
攻撃では前節に引き続き前に急いで結果不要な縦パスのミスを連発したり、守備では中途半端なライン設定やチャレンジでピンチを招いたりとらしくないプレーが続く。
チアゴマルチンスという守備の要を失って畠中にかかる負担は大きくなっているのは確かだが、この壁を乗り越えて真のディフェンスリーダーとなれる素養はあるだけに期待せざるを得ない。
途中交代で入った仲川も決定的な仕事から遠ざかっている。
ボールフィーリングが合わずにチャンスを潰してしまう、またビルドアップで前を向けないという問題点も露呈している。
開幕当初は調子が良かっただけに、元得点王の意地を見せて欲しい。
④終わりに
スコアだけ見ると3点リードを追いつかれて勝利を逃すというショッキングな内容ではあったが、内容面では互角であったために妥当な結果である。
最近は内容自体は良くなくても勝ち切ってしまう試合が続いていたので、チームの弱点の見直す良い機会になったとポジティブに捉えたい。
P.S.
京都戦が始まる前に書き終わる予定だったのに、間違えてタブを閉じてしまって1時間半分の作業が全て水の泡となってしまいました…涙
コメント(2)
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SPORTERIAスタッフ
2022/5/26 14:00
3-0から3-3というとんでもない試合でしたね…💦
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Takuto Murayama
2022/5/27 17:54
たしかに数的同数の考え方は対戦相手によって変える必要性を感じました。
(今年、そういう試合が多すぎる気もするのですが)
>決定力や攻撃力のないチームが相手の場合ではそれでも対応できてしまうが、今節のユンカーのようなストライカーがいるチーム相手だと事情は変わってくる。
数的同数が発生する場合、そこの個のマッチアップの優位性は全体に影響しますよね。
それが最終ラインの場合は特に。。。
「ユンカー選手+裏のスペースがある」という条件だとそこで優位性を取れるCBはおそらくJにはいないと思うので、そういう所も含めて臨機応変にやっていかないといけないかもしれませんね💡
横浜FMは自チームのスタイルを貫くサッカーをしているので、そこが穴にならなければ良いのですが…