中断明け初戦の今節は現在上位につける両チームにとって後半戦を占う重要であるが
福岡は中断前と同様に
4-4-2で2トップの一角には天皇杯でハットトリックをした山岸選手が入る。
一方で神戸は中断期間中のカップ戦で試した
4-4-2の中盤ダイヤモンド型でトップ下にイニエスタ選手が入る。
前半飲水タイム前
前半開始直後から神戸がボールを持つ場面が多く、福岡は従来の戦い方通りカウンターを狙ったサッカーをしている。
神戸の違いとして最終ラインからドリブルで相手の2トップを振り切る場面が多くなり、そこからのチャンスメイクが見られた。
そんな中で前半2分サンペール選手が上記した最終ラインからのドリブルで福岡陣地に侵入し、そこから右サイドにボールを展開フリーで受けた酒井選手がクロスを入れ、それに反応をしたのが代表戦でも大活躍を果たした古橋選手。手前でバウンドし処理が難しいボールであったが胸でうまく合わせて早くも先制点を挙げた。
その後同様に神戸がボールを保持する場面が続くが、福岡は守備ブロックをしき、また古橋選手へのロングボールからの攻撃のケアをするために常にDFラインのキーパーの間のスペースを気にしながら、中盤の球際でボールをとりきりカウンターという場面が増えてくる。
福岡は狙い通りボールを握れば前線のブルーノメンデス選手めがけてロングボールを蹴る場面が増える。
ブルーノ選手は神戸の中盤のダイヤモンドのアンカー脇に生まれるスペースを使い、ボールを要求。そこから右サイドの外国人コンビを中心に攻勢を強め、神戸の得点後は福岡ペースでゲームが続く。
前半19分に上記した右サイドの外国人コンビが神戸DFを崩し、クルークス選手がクロスを入れ、中で待っていた菊池選手が足を滑らせ、中で待っていた山岸選手が少しさわりボールはそのままゴールに吸い込まれ、早くも同点となった。
神戸は得点後ゴールを奪った場面に見られた最終ラインからのドリブルからの持ち出しをなかなか見ることができずボールは持てるが有効な縦パスが供給することができない。
その状態が続いたまま前半の飲水タイムを迎える。
前半飲水タイム後
飲水タイム後のセットプレーをクリア後の神戸のボール保持をカットした福岡が素早いカウンターからチャンスを作り、飲水タイム前と同様にボールをもって攻撃を仕掛ける神戸とカウンターを狙う構図が続いていく。
神戸は飲水タイム前よりゴールの場面のような最終ラインからのドリブルでの持ち出す事で相手を押し込むことができるが福岡も最後のところの寄せが速く、シュートで終わる場面こそ少ないが神戸が徐々に神戸が攻勢を強めていく。
特に最終ラインから持ち出した後福岡の選手が中央のパスコースを絞るためにサイドに流し、クロスという攻撃が多くなる。特に左サイドバックの初瀬選手が縦に仕掛けてクロスをあげるという展開が増え、そのため福岡の攻撃の中心となっていた右サイドの外国人コンビが守備に追われ、攻撃がうまく機能しなくなっていく。
また神戸は上記のサイド攻撃に気にし始めた福岡の隙を見逃さない。
前半45分中央に生まれたパスコースを山口選手が利用し、イニエスタ選手にパスを通し、福岡の選手に寄せられたがそこからドウグラス選手との連携から崩す場面が生まれた。福岡としてはやはり中央のパスコースを警戒しなければならないと感じる場面となった。
後半飲水タイム前
後半開始直後から福岡は前線からプレスをかけ、ボールを奪いに行く姿勢を見せ前半との違いを見せる。
対する神戸はそのプレスを前半から見せていた最終ラインからのドリブルでうまく回避し、パスを通し攻撃チャンスを作るが福岡も奈良選手を中心に堅い守りを見せる
上記のデータを見てもブロックの数字はチームでもトップの数字を見せ、チームをけん引していたことがわかる。
福岡が前線からプレスをかけるようになったため後ろにスペースが生まれ、プレスを神戸に剥がされるとピンチになる場面もあるが、その分福岡は攻撃的な戦術となっているためチャンスも多く作る。
両チームが攻撃的になったが、最後のところでシュートを打たせない守備を見せスコアに動きのないまま時間が過ぎていく。
そんな局面を変えるため福岡は3人の選手を同時に交代する。
福岡は2トップの選手を共に入れ替え、交代後その選手たちを中心に攻撃を組み立てよりアグレッシブにボールを奪いにいき、ゴールを狙う。
対する神戸はボール保持以外にも前半で見ることのできなかった古橋選手のスピードを利用したカウンターからの攻撃も見られるが同点のまま飲水タイムへ
後半飲水タイム後
73分にドウグラス選手に変えて直近の試合でゴールを奪った田中選手を投入する。
この交代で神戸はシステムを
4-2-3-1
に変更し、田中選手を1トップに置き、
2列目を左から古橋選手・イニエスタ選手・郷家選手を並べた。
交代直後の75分からイニエスタ選手を中心としたビルドアップが始まり、右サイドに流れたイニエスタ選手から酒井選手ふたりのパス交換で福岡守備陣を翻弄しハンドを誘発、PKを獲得した。
そのPKをイニエスタ選手が落ち着いて決め、神戸が勝ち越しに成功する。
福岡としては勝ち越しを許したためより前がかりにボールを奪いに行き、攻撃を仕掛けようとするのに対して神戸は時間を使うため、自分たちのボール保持の時間を長くしようとする。
時間がたつにつれ球際のところが激しくなっていき、福岡はボールを奪うと前線の選手めがけてボールを蹴り攻撃を仕掛け、得意のセットプレーを獲得するなど攻勢を仕掛けるがゴールを奪うことができない。
神戸は90分にゴールを奪った2人に変えて佐々木選手・増山選手を投入しゲームを終わらせようとする。
福岡もパワープレーを仕掛けるため身長の高い選手を投入し再三のパワープレーでチャンスを作るが神戸はゴールを死守しそのまま2-1で神戸が勝利をおさめる。
まとめ
まず神戸のシステム変更はトップ下のイニエスタ選手に自由に動き回ってもらい、彼からの攻撃を中心とするという狙いがあったように思える。
それを踏まえてヒートマップを見てもイニエスタ選手が固定の場所にいたというのではなく
ピッチのどこにでも顔を出し、攻撃に関与したということがわかり、実際に決勝点となったPKを獲得した場面もイニエスタ選手を中心に右サイドで攻撃を展開しPK獲得に至った。
また中断明け前のブログで書いたように中断期間に新たな戦術を見つけることが後半戦に向けて重要ということを書いたが神戸は中断期間中のカップ戦などで多くのシステムを試し、その中でイニエスタ選手を生かすことのできるシステムを発見し、そのシステムの結果が今節早くも出た。
それに対して福岡は中断期間と大きな変化はなく、従来の戦い方を貫いた。
結今回の試合では変化を行ったチームが勝利をおさめ、変化のなかったチームが破れてしまった。
結果論になってしまうが変化をすることは勝利をおさめるためには必要な要素であると思う。確かに変化をすることが必ずしも良いことではなく、失敗に終わってしまう危険ももちろんあるが失敗を恐れるのではなく、変化を求めその変化を成功させることこそが勝利をするにあたって必要であると思う。
後半戦に突入したJリーグにおいて前半戦との変化をするチームが独走をしている川崎の勢いを止めることができるかもしれない。
と感じる後半戦の初戦となった。
コメント(1)
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SPORTERIAスタッフ
2021/6/25 19:58
「最終ラインからのドリブルからの持ち出し」、これで相手のファーストラインのプレスを越えることができると、グッとビルドアップの幅が広がるイメージがあります!
絶対にミスできないですし、持ち出したと思ったら狭められていて網にかかったり…ということもあるので、”状況に応じて積極的に”見せてほしいプレーですね💡