1、前節までの対戦成績


前節までの対戦成績

図=figure:SPORTERIA提供


 大分との対戦成績は、ほぼ五分のホーム大分の6勝5分5敗。岡山は、チームとして3敗の内、2試合をここ5試合で2回経験してしまっているが、2勝もできている。一方で、大分は、山形戦の大敗から持ち直して、2連勝中。勢いでは、大分に分があるが、岡山も勝てるサッカーに近づきつつあり、2敗こそしているものの上への意識を持てるようになってきてる。


2、得失点パターン(大分)


得失点パターン

図=figure:SPORTERIA提供


 図は、一目瞭然で、クロスとセットプレーが主な得点源だ。注目すべき点は、セットプレー直接の得点がある通り、良いキッカーが大分にいることは間違いない。ショートパスやドリブルからの得点パターンもあり、素早いパスワークや切れ味鋭いドリブルに対して、ファールでFK。直接や合わせられて岡山が失点という形は、回避したいところだ。


 失点パターンに目を向けて、特に弱いという明確な弱点こそないものの強くもない。ただ、基本的な得点の形として多いセットプレーやクロスからの失点も多い。その他の失点が多い事からも、ゴール前での混戦を押し込まれてものか、オウンゴールのようなミスなのか、それは、この図からは分からないが、思わぬ形で失点する隙があるかのかもしれない。

 また、PKでの失点もなく、押し込まれるシーンが少ない。つまり、相手陣地でプレーする力やボールを保持できる強さがありそうだ。


3、得失点パターン(岡山)


得失点パターン

図=figure:SPORTERIA提供


 非常にバランスのとれた得点源のあるチームが岡山だ。27河井 陽介、44仙波 大志、14田中 雄大の中盤3枚で組めるようになってからは、パスやスルーパスから得点ができるようになった。一方で、クロスやセットプレーでの得点は減っており、チームとして幅ができている一方で、身長を考えた時にセットプレーでの得点を増やす努力をしていきたいところだ。


 守備関すると全体的安定していて、大分の得点源のデータが大きく目立っている。基本的には苦手な形というよりは、相手の得意な形にやられている傾向にある。安定こそしているが、意外と隙があり、チームとして、東京Vのような安定感を作る事ができるか問われて行くこととなる。


4、時間帯別得失点率(大分得点&岡山失点)


時間帯別得失点率

図=figure:SPORTERIA提供


 相手が疲れてくる時間帯や相手のサッカーに慣れてくる時間帯に強いのが、大分の強みのようだ。最後の15分に関しては、得点が少なく、それまでに勝負を決めて、クローズに入っている。もしくは、引いた相手に苦労しているのどちらかが考えられる。基本的に良い流れに成り易い時間帯に得点出来ており、勝てているチームのデータと言える。

 一方で、岡山の失点時間帯と大分の得点時間帯が似ている部分もあり、どちらが流れを握るかという部分で、岡山としては、そうならないように戦えるかがポイントとなりそうだ。


5、時間帯別得失点率(岡山得点&大分失点)


時間帯別得失点率

図=figure:SPORTERIA提供


 図を見ての通り、基本的に尻上がりに得点力がアップしていくというのが、岡山の強みのようだ。一方で、スタメン組の状態が出来上がった中で、後半頭で一回最高点になって、選手交代を入れて、ラストにもう一段回上げて行く。そういった事ができるのが、岡山という事が分かる。後半の半ばで、色々と戦い方を変える中で、攻め切れない部分もあり、そこをどうスムーズに攻撃に繋げられるかは、ポイントとなりそうだ。


6、PA内への進入傾向(大分)


PA内への進入傾向

図=figure:SPORTERIA提供


 図を見る限り、サイドからの攻撃主体のチームであることが良く分かる。岡山としては、このサイドをどう抑えるかがポイントなる。着目したいのは、進入起点数の手段としてクロスではなく、パスの方が多い事だ。中で待ち構えているというよりは、埋める意識やカバーする意識が問われることになりそうだ。一方で、中からの崩しがほぼないことには、驚いた。左からの大きな展開や揺さぶる攻撃の形にも警戒したいところだ。


7、PA内への進入傾向(岡山)


PA内への進入傾向

図=figure:SPORTERIA提供


 岡山もサイドを主体として、PA内に進入していくことが多いようだ。ただ、クロスを主体としており、どう合わせて行くのかというのは、外と中での駆け引きしていくポイントであろうだろう。図を見ての通り、パスでも深い所に入れる事ができているので、チームとして東京V戦のような得点を増やす事で、サイドからクロスでの早い攻撃で崩すという形を作りたい。


8、被PA内への進入傾向(大分)


被PA内への進入傾向

図=figure:SPORTERIA提供


 着目したい点は、サイド深くまで進入を許しているという点だ。特にドリブルでの被PA内への進入を許している通り、そこが、空いている事は間違いなく、この試合では、サイド深くでの攻防は一つのポイントであり、そこの形をどう作っていくかもポイントである。また、引いた状態からパスで被PA内への進入を許している通り、パスでの崩しも有効になってくるかもしれない。


9、被PA内への進入傾向(岡山)


被PA内への進入傾向

図=figure:SPORTERIA提供


 岡山も非常に極端な形で、左からはクロスに弱く、右からはドリブルに弱い事がこのデータから分かる。43鈴木 喜丈が対人に強い一方で、スピードがない分、クロスを許している。右サイドは、逆に16河野 諒祐が1対1に弱い分、そこから打開されていることが良く分かる。この弱さをチームとしてどうカバーして、中央からのパスでの崩しを封じて行くかが、ポイントとなりそうだ。


10、総括


 データを見た限りでは、「質」の違う「サイドでの攻防」が、勝負を分けるポイントなりそうだ。また、尻上がりに良くなる両チームの得点力。最終的には、大きく動く可能性も最後の最後で勝負を決まる可能性もあり、両チームの得点時間帯として、後半の61ー75分の時間帯の大分か後半76分ー90分の岡山か。最後まで目を離せない。

 2位の大分に対して、最後まで可能性を残す意味でも、アウェイとはいえ、絶対負けらない一戦。岡山の新たな形、勢いをどう上昇気流に持って行くか。偶然、大分の選手に怪我の選手が多いという情報が流れてきたので、2位の大分相手とはいえ、付け入る隙は間違いなくあると信じて、最後まで応援したい。


文章=杉野 雅昭(text=Masaaki Sugino)、図(データ)=figure:SPORTERIA様