今季もアビスパ福岡をゆるく追い掛けていこうと思います。よろしくお願いします。


開幕前ということで地元の情報番組などでアビスパが取り上げられる時間も多く、「これがJ1の力か…」と慄いています。やはり開幕というのは、高まりますね。


では、いきましょう。今回は現地観戦です。


まず、試合を振り返って見ての印象は「圧倒的な差があった」ということです。

↓のようにスコア上は1-2、つまり1点差なわけですが、それどころではないような差を感じました。基本スタッツ


具体的には攻撃へとスイッチが切り替わった際のスピード感、そして正確なボールタッチとボールの流れといいますか。


まず、トップ下の位置で割と自由に動いていた新加入の柿谷。

まだまだ連携などは良化途上だとは思いますが、シンプルに上手い。ボールを取れる気がしないというか、目に見える結果は出なかったですが、すごく効いていたように感じました。

攻撃スタッツ - 柿谷 曜一朗パスソナー・パスネットワーク

そして、何といっても両サイドのアタッカー、マテウスと相馬ですね。正直ファウルでしか止められないような感覚でした。この日のアビスパの最終ラインは右からエミル、グローリさん、グティ、志知くんという並び。はね返す高さに優れるグティ、グローリさんですが、エミルの裏を突かれてサイドに釣り出され、俊敏な相馬やマテウスと対峙しなきゃいけないというのは非常に厳しかったと思います。2人とも初のJ1ですし、グティは昨季も5試合しか出ていません。考え方を変えれば、早速J1トップクラスのサイドアタッカーのスピード感を経験できたのは、良い勉強になったかもしれません。


そんな最終ラインですが、非常に気になったのはコミュニケーション不足とグティのパフォーマンスです。実は、最終ラインの75%を外国籍選手で占めるってあまりないですよね。昨季は上島が最終ラインを統率しているような印象でしたが、その柱が抜けています。うまくコミュニケーションが取れているチームは、少しまずいプレーがあった際に、すぐに声を掛け合って修正を施すようなイメージがあるのですが、この日のアビはそのような場面があまり見られませんでした。元々寡黙にプレーするタイプなのかもしれないですが、GKのセランテスが抜けてしまったことで、スペイン国籍のグティ、ブラジル国籍のグローリさん、スウェーデン国籍のエミルと日本人選手の細やかな意思疎通やコミュニケーションというのは今季の課題になるのかもしれません。現地観戦した際は特にこの辺りを今後もウオッチしていきます。


そして、グティのパフォーマンス。先述したように、もちろんグティはそもそも日本でのプレー経験が少ないです。開幕でナーバスになっていたことや、昨季プレーしたJ2の選手と名古屋のアタッカー陣とのクオリティーの差に戸惑った部分も大いにあったでしょう。ただ、最初のプレーで簡単にやられてしまって以降、自信を持って強気なプレーが出来ていなかったのは気になりました。それに加えてアジリティーが高く、非常にスピーディーな動きをするサイドアタッカーを擁する名古屋とのマッチアップという意味でいえば、穴になっていたように思います。

これで思い出したのは日本代表のゲームで吉田麻也がアジアの選手たちの俊敏性に翻弄されていた姿。当時、世界最高峰のプレミアリーグでプレーしていた吉田がなぜ?と思ってしまうかもしれないですが、プレミアの試合とアジアでの試合では求められる能力の方向性が違うんだろうなと。

つまり、グティの能力が低いって話ではなく、この名古屋戦においては違うタイプのセンターバックをグローリさんの横に配置したほうが良かったのだろうと思います。彼が輝く試合は絶対にあると思いますが、今後もグローリさんを軸にセンターバックはうまく使い分けていく必要がありそうです。


試合の終盤は名古屋も疲労や選手の入れ替わりがあったことで、アビに主導権を渡した時間もありました。ただ、それまでは一切チャンスを作れないような感覚でした、本当に…。何点取られちゃうんだろう…みたいな。ただ、開幕戦でこのレベルを経験できたのはアビスパにとって大きかった。これが基準になるので、徐々に対応していけるはずです。


基本的には常に対戦相手のほうが格上なJ1において、今季アビスパがどのように変化していくのか、非常に楽しみです。