『敗北のスタンダード』への焦り




柏はリーグで5試合、カップ戦を含めると8試合勝ちがない厳しい状況に陥っている。リーグ中断前に何としても勝ち点を積み上げたい試合、柏はスタメンを前節から3人変更、前線にアンジェロッティ、中盤に三原、右サイドに高橋を据え、システムを【5-3-2】にした。

フォーメーション図

フォーメーション図

2試合続けた2ラインのコンパクトな守備布陣から一転、5枚のDFラインの位置は低く中盤の密度が薄くなったことから札幌にボールを支配される展開となった。平均ポジション(試合前半)を見ても前節より最終ラインはかなり深く、2トップは孤立する状況となった。

<札幌戦と神戸戦の平均ポジション(試合前半)>

柏劣勢の状況の中で迎えた19分札幌のCK。CKはクリアするもこぼれ球を回収されラインの間にパスを通さる。右サイド青木が送ったグラウンダのクロスを小柏が押し込み札幌の流れのまま先制されてしまう。

<27分~>

給水タイム後、柏はシステムを【4-2-3-1】に変え全体のバランスを整える。19分高橋、アンジェロッティ、クリスティアーノでトラアングルつくりパスを通し右サイドのクリスティアーノからのパスに走りこんだ高橋がエリア内で倒されPKを獲得する。クリスティアーノが決めて同点とするが、再びCKの流れから失点する。40分札幌CKのこぼれ球をつながれ右サイド岡村のクロスが古賀の足に当たりゴールに吸い込まれる。同じ形で失点を繰り返すのが勝負弱いチームを象徴している。

<46分~>

柏は後半開始から細谷と江坂を入れ攻撃の活性化を狙う。この交代は的中し細谷、江坂、クリスティアーノ、仲間で両サイドからボールを大きく動かしチャンスを生み出す。56分に右サイドを抜けたクリスティアーノがクロスをあげ、逆サイドに流れたボールを受け取った江坂が左サイドからクロスを送る。細谷がフリックしたボールをエリア中央の仲間が落とし細谷がシュートを狙うもDFにブロックされる。その流れから柏の攻勢は続き、左サイド古賀から送られたパスをエリア手前で仲間がスルーする。スルーされたボールを受けた細谷が鋭いシュートを放つもGK管野にセーブされる。その後も交代で入った神谷、ヒシャルジソンがセットプレーからチャンスをつくるもスコアは動かず、試合は1-2で終了した。

<試合終盤>

柏は、自分たちの時間帯で得点できず、焦りや疲労から思い描くプレーができなくなることを繰り返している。今季、先制された試合は(この試合も含め)12とこれまでの試合の7割になる。結果は1分11敗で先制されると勝てない『敗北のスタンダード』を確立している。これは選手個人のプレーの質の問題であり、チームマネジメント・采配の問題でもある。

『チームを変える決断』がいまだ見えない中、サポーターはリーグ中断の3週間を過ごすことになる。