直近3試合で勝ち点1と苦しんでいるサンフレッチェ広島。
第6節はアウェーでガンバ大阪と対戦しました。
両チームともに3日前の前節からスタメンを4人変更。今シーズン全試合にスタメン出場していたハイネルと青山敏弘はベンチからのスタートとなりました。2人のポジションにはともに今季初スタメンとなる茶島雄介と柴崎晃誠が入りました。
細かいパスワーク
前半は両チームとも短いパスを繋ぎながらチャンスを作り出そうとしていました。
ガンバは遠藤保仁・井手口陽介・宇佐美貴史の3人を中心とした右サイドからの攻撃が多かった印象です。
3人のヒートマップを見ると、最も色が濃くなっている位置がお互いに近いことが確認できます。特にトップの宇佐美は少し下がった位置でパス回しに参加し、隙を見て前線へ飛び出したりするなど、広島の守備陣にとって厄介な存在となっていました。26分には遠藤のパスを起点に井手口と宇佐美の短い距離でのパス交換からチャンスを作り、井手口がペナルティエリア内からシュートを放つなど、細かいパス回しから広島ゴールに迫っていました。
また、アンカーの遠藤は自陣でのパス回しにも参加していました。ビルドアップ時に遠藤が最終ラインに下がり、4バックのような形でパスを繋ぐことで、広島の前線3枚(1トップ2シャドー)のプレスを無効化していました。遠藤が自陣での組み立てに加わることで、広島は高い位置でボールを奪うことがほとんどできず、ガンバに押し込まれてしまいました。
一方、広島もボランチやウイングバックの連携からチャンスを作り出していました。センターバックやシャドーの選手も関わりながらサイドで数的優位を作り、小刻みなパス回しから少しずつボールを前に運んでいました。ただ、ペナルティエリア内まで進入する場面はそれほど多くなく、決定機を作り出すことはできませんでした。
コーナーキックから失点
お互いに細かいパス回しから得点を狙うも、ゴールを奪えないまま迎えた41分。セットプレーからガンバが先制します。
コーナーキックを獲得したガンバは宇佐美が右足でアウトスイングのボールを蹴ります。ゴール前へのボールに対して三浦弦太がフリーでヘディング。強くミートしたシュートがゴールへ決まり、1-0となりました。
広島は佐々木翔がマークを外してしまい、フリーでヘディングをさせてしまいました。これで2試合続けて先制点を与えたことになり、ビハインドで前半を終える展開となってしまいました。
得点源のカウンター
1-0とリードされていた広島は後半開始から青山とハイネルを投入します。選手交代によって、得点を狙う意識が一段と強くなったのか、後半は広島が攻め込む時間が多くなりました。また、今シーズンの広島の武器であるカウンターから何度もチャンスを作り出していました。
48分、荒木隼人のインターセプトから3対2と数的優位な局面が生まれます。川辺駿からのラストパスを受けたレアンドロペレイラはペナルティエリア内で左足を振り抜きシュートを放ちます。シュートは強烈でしたがわずかに枠を外れ、得点とはなりませんでした。
56分には自陣でハイネルがパスカットしたところからカウンターを発動します。ハイネルからのパスを受けた青山が前線へ走り出した川辺へ正確なパスを通します。川辺は最終ラインの背後へ抜け出したペレイラへスルーパス。パスが少し短くなりましたが、ペレイラがキープしてペナルティエリア内からシュートを放ちます。しかし、このシュートも枠内には飛ばず、同点に追いつくことはできませんでした。
左サイドの関係性
中々ゴールを奪えない広島は64分に東俊希と藤井智也を投入します。それぞれ左シャドーと左ウイングバックに入りましたが、2人の関係性が非常に良かったです。
2人のヒートマップを見ると、東はペナルティエリア角付近、藤井はタッチライン際でのボールタッチ数が多いことが分かります。このデータを象徴するようなシーンが74分にありました。
上の図は74分に青山(上図の6番)からのパスを藤井(上図の50番)がトラップした瞬間の選手の位置を表しています。藤井はボールを持つとすぐにドリブルで前に進んでいきました。この時、ガンバのウイングバック福田湧矢(上図の14番)が対応していましたが、藤井のドリブルを警戒してか井手口(上図の15番)が戻って2対1の状況を作っていました。そのため、ペナルティエリア角のところにはスペースができていました(下図)。そのスペースに東(下図の24番)がポジションを取り、藤井からのパスをダイレクトでクロス。クロスにペレイラが合わせますが、惜しくも得点とはなりませんでした。
藤井はスピードがあり、ドリブルでの積極的な仕掛けが持ち味の選手です。ガンバは藤井の突破を警戒してか、福田と井手口の2人で対応することが多かったです。また、74分のシーンのように高尾瑠(上図の27番)もカバーに入っていることが多く、藤井のドリブルを徹底的に警戒していました。ガンバの選手3人が藤井についていたため、東は少し下がった位置をとることでフリーになることができていました。東がクロスを上げる際には、中の人数は数的同数だったので、クロスと中の選手の動きが合えば得点につながる可能性は十分にあったと思います。
攻め続けた広島
終盤、広島は猛攻を続けました。川辺の飛び出しやカウンターなどから何度もチャンスを作りますが、ゴールは奪えず。コーナーキックに合わせたハイネルのシュートも東口順昭にセーブされるなど、最後まで同点に追いつくことはできませんでした。
試合は1-0で終了。広島は2連敗となり、4試合勝ちなしという結果になってしまいました。
総括
前半はお互いにチャンスを作っていましたが、コーナーキックからガンバが先制。後半は広島が攻め続けましたが、最後までガンバのゴールを割ることはできませんでした。
広島はシュートを20本放つも無得点。直近3試合ではPKでの1得点のみと、攻撃面で苦しんでいます。ただ、今節はチャンスを多く作り出しており、流れの中からの得点に近づいている感じがしました。
第7節は7/26(日)、名古屋グランパスとホームで対戦します。
久しぶりの勝利を手にしてほしいです。
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