前節まで、リーグ戦9試合でわずか6失点と守備が安定しているサンフレッチェ広島。

第11節はホームでFC東京と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

サンフレッチェ広島は前節から2人を変更。今季のリーグ戦全試合スタメンの3バック、野上結貴・佐々木翔・荒木隼人の3人は今節も揃ってスタメン出場となりました。一方のFC東京は前節から1人を変更し、中村帆高が右サイドバックに入りました。


前線に残っていた野上

序盤、広島はショートパスを繋ぎながらFC東京陣内の深い位置まで攻め込んでいました。左ウイングバックの柏好文が右サイドまで流れてきたり、シャドーの浅野雄也が左サイドのタッチライン際でパスを受けたりするなど選手が流動的に動き、広島のリズムで試合を進めていました。そんな中、14分に広島が先制点を奪います。

コーナーキックの流れから、青山敏弘が右サイドの深い位置へパスを供給。反応した茶島雄介が内側にいた野上へワンタッチで落とします。野上はトラップでゴール方向を向き、左足でコースを狙ったシュートを放ちました。これがゴールに決まり広島が先制に成功しました。

青山(上図の6番)がボールを持った際、広島は右サイドで野上・茶島・浅野(それぞれ上図の2番・25番・29番)の3人が手を上げてパスを要求していました。青山はそれを見逃さずにディフェンスラインの背後へ正確なパスを通し、ゴールの起点となりました。そこから茶島のワンタッチでの落とし野上の狙いすましたシュートと流れるようにプレーが繋がり、広島に先制点がもたらされました。


相手を捕まえられず

野上の今シーズン初ゴールで先制した広島ですが、わずか5分後に同点弾を許してしまいます。

広島のセンターバックとボランチの間にポジションを取ったディエゴオリヴェイラ(下図の9番)に森重真人(下図の3番)が浮き球のパスを送ります。オリヴェイラはトラップで前を向き、ゴール方向へボールを運びます。タッチが長くなりますが、レアンドロが回収してペナルティエリア右へ進入。レアンドロが中へ折り返したクロスにオリヴェイラが合わせ、同点ゴールを決めました。

広島は青山(上図の6番)の背後にポジションを取っていたオリヴェイラにフリーでボールを受けられてしまいました。この時、3バックの左に入っていた佐々木(上図の19番)は背後のスペースへ抜け出そうとしていた永井謙佑(上図の11番)についていたため、オリヴェイラの前方にスペースを与えることとなってしまいました。また、シュートシーンではディフェンスの人数は足りていたものの、オリヴェイラをフリーにしていました。その結果、オリヴェイラに押し込まれ失点。広島はオリヴェイラを捕まえることができず、同点に追いつかれてしまいました。


さらに、22分にはFC東京に2点目を与えてしまいます。

左サイドでボールを持ったアルトゥールシルバが安部柊斗に縦パスを入れます。安部はゴールに背を向けた状態でパスを受けると見せかけて、ボールに触らずにターン。そのままペナルティエリアに進入し、左足でゴール右上へ流し込みました。

広島は青山が対応しましたが、安部の素早いターンについていけず。カバーに入った荒木がシュートをブロックしにいきましたが防ぐことはできませんでした。広島はわずか3分間で2失点を喫し、1-2とリードを許してしまいました。


センターバックの得点

追いかける展開となった広島は何度もFC東京ゴールに迫ります。

28分、浅野が右サイドで鋭い切り返しを見せ、ペナルティエリアに進入。クロスは相手にクリアされてしまいましたが、相手の意表を突くドリブルでチャンスを作りました。30分には左サイドでパスを繋ぎ、最後は浅野がシュート。また、36分にはペナルティアークから青山が強烈なシュートを放つなどFC東京ゴールを脅かしていました。

迎えた37分、広島は再びコーナーキックの流れからセンターバックが得点を取りました。

相手のクリアボールを拾った青山が右サイドの浅野にパス。浅野が左足でアーリークロスを送ると、前線に残っていた荒木がバックヘッドで合わせます。荒木のヘディングシュートがキーパーの届かない位置に飛び、広島が同点に追いつきました。


今季初の3失点

センターバックの荒木の得点で同点に追いついた広島。しかし、前半終了間際にレアンドロにフリーキックを決められ、勝ち越し点を許してしまいました。

FC東京は自陣でボールを奪いカウンターを発動。センターサークル付近でパスを受けたオリヴェイラが広島のペナルティエリア近くまでボールを持ち運びます。広島は浅野が前線から戻るなど3人で対応しましたが、ボールを奪うことはできず。最後はゴール正面でファウルを犯してしまい相手にフリーキックを与えてしまいました。

このフリーキックをレアンドロに決められ、広島は今シーズン初の3失点となってしまいました。この試合ではオリヴェイラをフリーにする場面が多く、中央で自由を与えてしまいました。ディフェンスと中盤の間でボールを持たれる、あるいはドリブルを止められないといったことが失点に繋がりました。

    攻撃スタッツ - ディエゴ オリヴェイラ ヒートマップ - ディエゴ オリヴェイラ


なんとか勝ち点1を獲得

前半は2-3とFC東京の1点リードで終了。5得点が生まれた前半とは異なり、後半はお互いの守備陣が奮闘し中々得点が生まれませんでした。多くの時間で広島がボールを保持し、パスを回しながらチャンスを伺いますが、FC東京の堅い守備を前にゴールを決められず。逆にボールを奪われてカウンターからピンチを迎える場面も多かったです。ただ、広島の守備陣もゴールは割らせず、1点差のまま試合はアディショナルタイムに突入しました。

FC東京は広島陣内でボールをキープし時間を使います。広島はボールを奪うことに苦労していましたが、試合終了間際にマイボールにし、前線へ放り込みます。途中出場のレアンドロペレイラが競り勝ったボールが同じく途中出場の東俊希に渡ると、東はペレイラへリターンパス。ペレイラが放ったシュートは相手に当たりましたが、こぼれ球を川辺がゴールへ流し込みました。

試合は3-3で終了。広島は最終盤になんとか同点に追いつき勝ち点1を獲得しました。


総括

基本スタッツ

両チーム合わせて6得点が生まれ、試合は3-3の引き分け。広島は今シーズン初の3失点を前半だけで喫してしまいました。攻撃では3得点を奪いましたが、そのうち2得点がセンターバックによるゴールとなりました。コーナーキックの流れから得点を取れたのは非常に良いことですが、前線の選手に得点が生まれなかったことが少し気がかりです。


第12節は8/23(日)、アウェーで昨年の王者横浜F・マリノスと対戦します。

マリノスの攻撃は強力ですが、無失点で抑えてくれることを期待します。