前節、4試合ぶりの完封勝利を飾ったサンフレッチェ広島。

今シーズン4度目の2連勝を目指して迎えた第19節は、ホームでガンバ大阪と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

広島は前節からスタメンを5人変更。2試合連続で先発メンバーに名を連ねた東俊希は今季初めて右ウイングバックでのスタメンとなりました。一方のガンバは前節から1人のみを変更し、藤春廣輝を左サイドバックに起用しました。


セットプレーを活かせず

序盤、ボールを支配していたのは広島でした。今シーズンの平均ボール支配率は50%を下回っている広島ですが、この試合ではキックオフからの15分間で65.9%の支配率を記録(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=09&date=27)。敵陣でプレーする時間も多く、サイドを使いながら相手を押し込んでいきました。

中でも右ウイングバックに入った東は立ち上がりから良いプレーを連発。試合開始から1分もしない内に左足で鋭いミドルシュートを放つと、3分には逆サイドの柏好文へ低弾道のパスを通し素早いサイドチェンジを成功させました。8分にはドリブルで相手をかわし、フリーキックに繋がるパスを浅野雄也へ供給。シュート・パス・ドリブルと様々なプレーで良さを発揮していました。

    攻撃スタッツ - 東 俊希 ヒートマップ - 東 俊希

サイドを起点にガンバゴールへ迫っていった広島は多くのセットプレーを獲得。試合開始からわずか15分でフリーキック3本、コーナーキック3本と何度も得点のチャンスを迎えます。しかし、シュートを打つ場面はほとんどなく、セットプレーを活かすことはできませんでした。


あっという間の2失点

試合の主導権を握りつつあった広島ですが、16分に先制を許してしまいました。

広島陣内に攻め込んだガンバはキムヨングォンが最終ラインの裏を狙って浮き球のパスを供給。このボールは荒木隼人がヘディングでクリアしましたが、セカンドボールは倉田秋の足元へ収まります。倉田はペナルティエリア外からミドルシュート。これがゴール右隅に決まり、ガンバが先制点を取りました。

    攻撃スタッツ - 倉田 秋 ヒートマップ - 倉田 秋

倉田のゴールはゴラッソだったので、防ぐのは難しかったです。荒木のクリアがもう少し大きければシュートを打たせずに済んだかもしれませんが、下がりながらのヘディングだったため、仕方のないプレーだったのかなと個人的には思います。

ただ、このゴールによって試合の主導権は完全にガンバのものとなりました。ガンバは細かいパスワークで広島を翻弄。広島は押し込まれる時間が続き、防戦一方となります。そして、1点目からわずか4分後、パトリックに追加点を決められてしまいました。

ハーフウェーライン付近で前を向いた倉田が広島の最終ラインの裏へ浮き球のボールを送ります。このパスがパトリックに繋がり、パトリックはペナルティエリア内に持ち出してシュート。右足で放たれたボールはキーパーのニアサイドを抜いてゴールに決まりました。

    攻撃スタッツ - パトリック ヒートマップ - パトリック

得点シーンの15秒程前、広島は相手のパスコースを消し、キーパーまで下げさせることに成功しました。さらに、ドウグラスヴィエイラがキーパーの東口順昭にプレスをかけたことで、東口が長いボールを蹴らざるを得ない状況を作り出しました。ここまでは良かったのですが、東口からのミドルパスが中間ポジションを取っていた倉田に通ったことで状況は悪化。中盤の選手たちが前がかりになっていたこともあり、倉田に強いプレッシャーをかけることができませんでした。結果的に倉田に絶妙なパスを通されてしまうと、井林章・荒木隼人の2人もパトリックの抜け出しに対応できず、あっさりとゴールを決められてしまいました。広島は4分間で2失点。先制点までは試合を優位に進めていましたが、倉田のゴラッソによって流れを手放し、複数失点となってしまいました。


攻勢を強める

2点を追う展開となった広島は徐々に攻勢を強めていきます。35分には自陣から3本のワンタッチパスを繋ぎ、抜け出した浅野が決定機を迎えました。ただ、利き足ではない右足で放ったシュートはキーパーの正面に飛んでしまい、得点とはなりませんでした。

40分以降にはヘディングでガンバゴールに迫ります。40分、41分と左サイドから柏が右足でクロスを供給。ニアサイドで森島司とヴィエイラがそれぞれ合わせましたが、ボールはファーポストの横を抜けてしまいました。また、44分にはコーナーキックから荒木がヘディングシュートを放ちましたが、ボールはゴールポストを直撃。得点を取ることはできませんでした。

前半は0-2のまま終了。広島は最後の15分間で6本のシュートを浴びせましたが、点差を縮めることはできませんでした(参考:https://www.football-lab.jp/hiro/report/?year=2020&month=09&date=27)。


柏のクロス

後半も広島は得点を取るべく攻め続けます。決定機はほとんど作れませんでしたが、川辺駿・青山敏弘の両ボランチが惜しいミドルシュートを放つなど人数をかけて攻撃していました。60分にはチームトップタイの7ゴールを挙げているレアンドロペレイラを含む3人をピッチに投入。すると、70分、ペレイラが起用に応えてゴールを決めました。

ペナルティエリア左でボールを持った柏が右足でクロスを供給。ファーサイドで待ち構えていたペレイラが頭で合わせると、ボールは逆サイドのポストに当たってゴールへ吸い込まれました。ペレイラの狙いすましたヘディングシュートが決まり、広島はようやく1点を返しました。

    攻撃スタッツ - レアンドロ ペレイラ ヒートマップ - レアンドロ ペレイラ

得点の場面ではペレイラ以外にも3人の選手がボックス内に入っており、得点を取ろうという意志が伝わってきました。ガンバの選手たちはボールウォッチャーになっていたため、ペレイラはフリーでヘディングできる状況でした。そんな中、コースをしっかり狙いチャンスを確実に仕留めたペレイラは流石でした。また、アシストした柏もペレイラにしっかりボールを届け、得点のお膳立てをしました。前半から再三良いクロスを上げていた柏は、50%のクロス成功率を記録。両チーム最多となる5本のラストパスを通すなど、広島の攻撃の中心となっていました。

    攻撃スタッツ - 柏 好文 ヒートマップ - 柏 好文

その後はお互いにシュートチャンスを作るもゴールは生まれず。試合は1-2で終了し、ガンバの勝利となりました。広島は今シーズン初めてリーグ戦2連勝を逃し、3試合ぶりの敗戦となってしまいました。


総括

基本スタッツ

広島は序盤からボールを支配しましたが、4分間で2失点を喫し、前半を2点ビハインドで終える展開となってしまいました。セットプレーやシュートチャンスは多かったですが、得点は後半の1点のみ。ホームで悔しい敗戦となりました。


第20節は10/3(土)、ホームにサガン鳥栖を迎えます。

ホームでの連敗は許されないので、なんとしても勝ち点3を掴み取ってほしいです