10月24日の鹿島アントラーズ戦で敗れて以降、1ヶ月負けていないサンフレッチェ広島。

第30節ではホームで北海道コンサドーレ札幌と対戦しました。

   フォーメーション図 フォーメーション図

3日前の試合でターンオーバーを実行した広島はスタメンを全員入れ替え。ここまでリーグ戦全試合に出場している川辺駿と森島司はともに先発で起用されました。一方、中6日の札幌は直前の試合からスタメンを2人変更。最前線にはドウグラスオリヴェイラが入りました。


対照的な攻め方

序盤、広島はサイドでの仕掛けからチャンスを作っていました。

4分にはタッチライン際でパスを受けた浅野雄也がスピードを活かして縦へ突破。対応したディフェンダーをあっさりとかわし、右足でクロスを上げました。また、10分には左サイドで東俊希が仕掛けてペナルティエリアに進入し、ラストパスを送りました。ただ、どちらも広島の選手には合わず、シュートに繋げることはできませんでした。

一方の札幌も15分に個人の突破からチャンスを創出。ルーカスフェルナンデスがタッチライン際で柏好文をかわしてペナルティエリアに進入し、オリヴェイラのシュートを演出しました。

また、札幌は中央攻撃からもチャンスを作り出しました。19分、福森晃斗からのミドルパスを受けたアンデルソンロペスがペナルティエリア手前まで持ち運び、左足でシュートを放ちました。30分にはセンターサークル付近でパスを受けたロペスがワンタッチで左斜め前のオリヴェイラへパス。オリヴェイラは内側から飛び出してきた駒井善成へラストパスを出しました。このパスが通っていれば決定機でしたが、ボールは広島の選手に当たったためチャンスとはなりませんでした。

広島はサイドから、札幌は中央からそれぞれゴールに迫っていきました。しかし、両チームとも相手の守備に阻まれ思うようにシュートまでいけず。お互いにチャンスを作りながらも得点が生まれないまま時間が進んでいきました。


芸術的なフリーキック

締まった展開のなか迎えた42分、先制点を決めたのは札幌でした。

札幌はゴール正面でフリーキックを獲得。ゴールまで約20mと近めの位置でしたが、キッカーの福森が蹴ったボールはジャンプした広島の選手たちの頭上を通り、ゴールに吸い込まれていきました。

    攻撃スタッツ - 福森 晃斗 ヒートマップ - 福森 晃斗

フリーキックの名手、福森による芸術的なシュートが決まり、札幌が先制しました。

広島はゴール正面でのファウルが命取りに。一度はアドバンテージが適用され札幌の選手がシュートを放ったものの、さかのぼってフリーキックを取られるという、不運な部分もありました。ただ、福森の射程圏内でファウルを侵したのは事実であり、結果的にはそのファウルが失点に繋がってしまいました。


2点目も福森の左足から

前半終了間際に失点を喫した広島は後半の立ち上がりにも得点を決められ、2点のビハインドを背負うこととなってしまいました。

53分、札幌は左コーナーキックから福森がアウトスイングのボールを供給します。広島のストーンの頭上を越えたボールに宮澤裕樹が合わせヘディングシュート。叩きつけたボールがゴールに決まり、札幌の2点目となりました。

    攻撃スタッツ - 宮澤 裕樹 攻撃スタッツ - 福森 晃斗

福森の左足が再び得点に関与し、札幌がリードを広げました。

広島の城福浩監督は試合前のコメントで

(左足の精度が高い福森晃斗選手について)一つの戦術になっている。セットプレーを含めて、彼の左足をどう生かしていくかは、札幌はやり込んできている。

と最大限の警戒を示していました(参考:https://www.sanfrecce.co.jp/games/52954)。ただ、それでも2つのセットプレーから福森に1G1Aという結果を残されてしまい、相手のストロングポイントを押さえ込むことができませんでした。


4分で同点

2点を追いかけることとなった広島ですが、失点直後に1点を返しました。

自陣左サイドでボールを持った佐々木翔が敵陣まで持ち運ぶと、斜めの動きで最終ラインの裏を狙った浅野へスルーパスを供給。浅野がワンタッチで中へ送ると、ゴール前に入ってきたレアンドロペレイラが左足でゴールへ流し込みました。

    攻撃スタッツ - レアンドロ ペレイラ ヒートマップ - レアンドロ ペレイラ

浅野(上図の29番)が中央から左サイドへ斜めの動きを見せて、佐々木(上図の19番)からのパスを引き出した際、札幌の福森(上図の5番)とキムミンテ(上図の20番)の2人が浅野に寄せてきました。その結果、札幌のセンターバック3人が同サイドに固まることとなり、ゴール前にスペースが生まれました。ペレイラ(上図の39番)はそのスペースに札幌の選手よりも速く入っていき、浅野のラストパスに反応。札幌の守備陣形が崩れたところを見逃さず、広島が1点を返しました。

勢いに乗った広島は得点直後にドウグラスヴィエイラを投入。すると、この交代策が的中し、58分に同点に追いつきました。

広島は敵陣右サイドで野上結貴がボールを奪い、近くの川辺駿へ繋ぎます。3対2と数的有利な状況を作り出すと、川辺が逆サイドから走り込んできたドウグラスヴィエイラへラストパス。ドウグラスヴィエイラはワンタッチでゴール右隅に流し込み、投入からわずか3分で結果を出しました。

    攻撃スタッツ - ドウグラス ヴィエイラ ヒートマップ - ドウグラス ヴィエイラ

広島は今季の特徴であるショートカウンターから得点。わずか4分間で2得点を挙げ、スコアを2-2としました。


勝ち越せず

追いついた広島は3点目を狙って一気に畳みかけます。

59分、最終ラインから前線へ飛び出した佐々木がペレイラのパスを受けて決定機を迎えした。しかし、シュートはキーパーの菅野孝憲にセーブされ得点とはならず。63分には森島司がチャンスを迎えましたが、シュートは札幌の選手にブロックされゴールとはなりませんでした。同点に追いついた後の5分ほどは広島の時間帯でしたが、3点目を決めることはできませんでした。

広島は85分にも浅野が決定機を迎えましたが、シュートは菅野に足でセーブされ勝ち越すことはできず。最後まで3点目が遠く、2-2の引き分けに終わりました。

守備スタッツ - 菅野 孝憲

広島はまたしても逆転勝ちを収めることができませんでした。3点目を決めるチャンスがあっただけに、ホームで悔しい勝ち点1となりました。ただ、0-2から同点に持ち込んだということを考えれば、大きな勝ち点1でもあったと思います。


総括

基本スタッツ

札幌は福森の左足から2得点。ビハインドを背負った広島は後半の4分間で2ゴールを挙げ、同点に追いつきました。ただ、3点目のチャンスを決められず、逆転勝利とはなりませんでした。


次戦、広島はアウェーでFC東京と対戦します。

残り3戦、上の順位にいくために1つでも多く勝ち点を積み重ねてほしいです。