前節は90分に追いつかれ勝利を逃したサンフレッチェ広島

第2節ではアウェーで横浜F・マリノスと対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

マリノスは前節からスタメンを3人変更。トップ下にはマルコスジュニオールが入りました。一方、広島はサイドハーフの2人を変更。スピードのあるエゼキエウと藤井智也がスタメンに名を連ねました。


スタッツ

基本スタッツ

スコアは3-3でしたが、同じ3点でも得点パターンは大きく異なりました。マリノスは高いボール支配率で広島陣内深くまで攻め込む場面が多く、3得点はいずれも流れの中からでした。一方の広島は流れの中からゴールに迫る場面は少なく、PKで2得点、フリーキックから1得点と、全てがセットプレーからのゴールとなりました。

広島はパス成功数やボール支配率でマリノスに大きく差をつけられ、守備の時間が長くなってしまいました。走行距離は前節よりも13km近く増加し、127.1kmを記録。守備で走らされる試合となりました。

ゴール期待値

ゴール期待値において広島は2.6を記録しましたが、得点シーン以外では期待値が0.2以上のシュートがないことがグラフから分かります。それに対し、マリノスはゴール期待値が0.5以上上昇する決定的なシュートはありませんでしたが、コンスタントにチャンスを作っており、得点シーン以外でも上積みが見られます。広島は2本のPKにより結果的にはマリノスよりも高いゴール期待値となりましたが、チャンスの数ではマリノスを下回る結果となりました。


攻撃の形

先ほど、「広島はパス成功数やボール支配率でマリノスに大きく差をつけられた」という内容を述べましたが、パスソナー・パスネットワーク図を見ると広島のパス数がいかに少なかったかがよく分かります。成功したパス本数を示す矢印は「川辺駿からジュニオールサントス」と「青山敏弘から川辺」(色が薄いのでないように感じるかもしれませんが笑)の2本しかなく、ネットワークを形成するまでに至っていません。後半は選手交代をしたのでデータに基づいたことは言えませんが、先発の11人がピッチにいた前半はパスをつないで攻めていくという攻撃はほとんど無かったと言えるでしょう。

エリア間パス図を見ても、自陣左サイドからのパスや敵陣右サイドへのパスがやや成功している程度で、マリノスゴールの近くではパスをつなげませんでした。比較としてマリノスのデータも載せていますが、マリノスは敵陣左サイドでのパス成功数が多く、ペナルティエリア内へのパスも通っていることが確認できます。

パスソナー・パスネットワーク   エリア間パス図

パスソナー・パスネットワーク   エリア間パス図


ストライカー&守護神

パスによる効果的な攻撃がほとんどなかった広島にとって、唯一流れの中からチャンスを作れていたのはサントスの単独での仕掛けでした。25分には縦への推進力を見せ、2点目に繋がるフリーキックを獲得。42分にはペナルティエリア手前で仕掛け、キックフェイントで2人をかわしシュートを放ちました。パス数とボールタッチ回数を比較すると、ボールタッチ回数がパス数の2倍以上となっており、個人で突破しにいく頻度が高いと推測できます。

現在のチーム状況を考えると、サントスにかかる得点への期待は否が応でも大きくなってしまいます。サントスの負担を軽くできるよう、相手ゴールを脅かす選手が複数人出てきてほしいものです。

攻撃スタッツ - ジュニオール サントス   ヒートマップ - ジュニオール サントス

また、3失点はしましたが大迫敬介のプレーも悪くなかったと思います。特にハイボールへの処理は素晴らしく、積極的に飛び出してキャッチやパンチングすることでピンチを未然に防いでいました。加えてエリア内シュートセーブ数は3本を記録。もちろん3失点のうち一つでも防いでくれていればという思いもないわけではありませんが、大迫のおかげで4点目が入らなかったという思いの方が強いです。ただ、ゴールキック等のロングボールがタッチラインを直接割る場面が何度かあったので、そこの精度は改善を期待したいです。

GKスタッツ - 大迫 敬介   ヒートマップ - 大迫 敬介


最後に

広島は2試合続けて追いつかれる形での引き分けとなりました。今季から導入した4バックに順応しきれていないのかもしれませんが、少しでも早く持ち味の堅い守備を取り戻してほしいです。