2週間前の前節は逆転勝利をおさめたものの、直近のルヴァンカップでは5失点で大敗したサンフレッチェ広島

第7節では、開幕戦以来の公式戦となったガンバ大阪をホームに迎えました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

広島は今シーズン初めて4-1-2-3を採用。アンカーに青山敏弘、両ウイングには浅野雄也とジュニオールサントスを起用しました。一方、ガンバのシステムは4-4-2。1ヶ月前の開幕戦からはスタメンを3人変更しました。


スタッツ

基本スタッツ

パス成功数やボール支配率は互角でしたが、シュート数や枠内シュート数では広島がガンバを大きく上回りました。ただ、スコアは0-0。広島はリーグ戦無敗は継続したものの、7試合目にして初めて無得点となりました。

ゴール期待値

ゴール期待値で見ても広島の方が得点の可能性が高く、最低でも1点は決めておきたい試合でした。ゴール期待値が大きく上昇している前半終盤のシーンは、コーナーキックのこぼれ球から今津佑太とドウグラスヴィエイラが立て続けにシュートを放ったものですが、東口順昭と昌子源がそれぞれブロック。どちらのシュートもゴールエリア内からと近距離でしたし、時間帯も含め決めたかったですね。

後半もガンバのシュート2本に対し、広島は7本。80分過ぎまでは広島が攻撃する時間が長く、ガンバのチャンスはほとんどありませんでした。それでも、最後までガンバのゴールをこじ開けることができず。3トップのシステムに変更したものの、得点という結果には結びつきませんでした。


インサイドハーフ

試合序盤、ガンバは勢いを持ったプレスを広島陣内で仕掛けてきました。キックオフ直後のシーンでは素早いトランジションを繰り返し、広島のペナルティエリア近くでボール奪取。ボールを持ったサントスに対して3人で囲いこみ、マイボールにすると素早く前へ攻める場面も見られました。

ただ、広島も立ち上がり以外はハイプレスをうまくかわしていました。7分にはボールをつなぐ最終ラインに対してガンバの前線と2列目がはめ込もうとしてきましたが、間で受けた森島司がスピードを上げて敵陣に持ち運んだことでプレスを回避。浅野の斜めのランニングにより空いたスペースへ川辺駿が飛び出し、森島からのラストパスを受けてシュートチャンスを迎えました。相手の間で受けるのが上手く、前への推進力がある森島とゴール前への飛び出しが魅力の川辺。インサイドハーフ2人それぞれの持ち味が発揮され、得点の可能性を感じられるスピーディーな攻撃でした。

攻撃スタッツ - 森島 司   ヒートマップ - 森島 司

攻撃スタッツ - 川辺 駿   ヒートマップ - 川辺 駿

森島は86分間、川辺はフル出場と両選手ともに長い時間プレー。森島は左サイドだけでなくピッチ全体でボールに触っており、ともにチームトップとなるパス成功率90%、ラストパス4本を記録しました。また、川辺はビルドアップ時に最終ライン近くまで降りたり、前線へ飛び出したりと縦に広くプレー。後半には2本のミドルシュートも放ち、チーム最多タイとなる3本のシュートを記録しました。

今後も4-1-2-3システムを採用するのであれば、森島・川辺をはじめとしたインサイドハーフを務める選手がいかに相手の嫌なプレーをできるかが最も重要なのかなと思います。加えて、いかに得点やアシストを記録できるかが上位へ行くための鍵になってくると感じています。


アンカーの貢献と負担

続いて、アンカーに入った青山のデータに着目しながら、攻守での貢献と負担について主観を交えて書いていこうと思います。

パスソナー・パスネットワーク

広島のパスネットワーク図を見ると、中心の青山に最も多くの矢印が集まっていることが確認できます。青山から出ている矢印は7本(1選手の最大は10本)あり、最終ラインだけでなくインサイドハーフやウイングの選手にもパスを通せていたことも分かります。青山はチーム最多の69本のパスを記録しましたが、決して安全なパスのみを選択していたわけではありませんでした。23分には相手ボランチの間を通すワンタッチでの縦パスをドウグラスヴィエイラにつけるなど要所要所で鋭い縦パスを狙ったり、正確なサイドチェンジを送ったりと、視野の広さと高いパス技術を活かしたプレーを見せてくれていたと思います。

攻撃スタッツ - 青山 敏弘  守備スタッツ - 青山 敏弘

走行距離・スプリント回数

一方、守備では青山への負担が少し大きいように感じました。青山自身の守備スタッツとしては3度のタックル全て成功、ブロック5回と相手の攻撃を防ぐプレーができていたと思います。また、スプリント数は少ないですが走行距離はチームトップ。ベテランらしい戦術眼と読みで最適なポジショニングをとり続けていたのだと思います。もともと走れる選手ではあるので走行距離が極端に増えたというわけではないのですが、ダブルボランチの一角からワンアンカーに変わったことで青山が守備時にカバーするエリアが増加したのではないかということが個人的には少し気になります。

この試合、広島は4-5-1のような陣形で守っていましたが、2列目の選手がガンバの最終ラインにプレスをかける際、外側のウイングではなく内側のインサイドハーフが前に出ていました。そのため、青山の脇(青山とウイングの間)にはスペースが生まれやすくなってしまいます。この試合ではそこを突かれる機会が少なかったですが、狙われた際に使わせないようにする対策は講じる必要があると思います。青山は決してアジリティーが高いわけではないですし、ベテランと呼ばれる年齢になっているので、守備の負担を少しでも軽くすることが失点を少なくするためにも必要なのかなと思います。


最後に

勝ち点3を得られなかったのは少し残念でしたが、リーグ戦での無敗は継続。ここから2ヶ月に渡る連戦となるので、メンバーを入れ替えながらどこまで無敗が続くのかにも注目しながら、応援していきたいと思います。