長い長い17連戦を戦ってきたサンフレッチェ広島

連戦最後の試合となる第17節、広島はアウェーでFC東京と対戦しました。


スタメン

フォーメーション図  フォーメーション図

FC東京は前節からスタメンを3人変更。右サイドバックの中村拓海は第9節以来の先発出場となりました。一方の広島は前節から5人を入れ替え。1週間前に行われた前々節のスタメンに戻す形となりました。


スタッツ

基本スタッツ

ともに2試合ぶりの勝利を狙った両チームでしたが、得点を挙げられずに勝ち点を分け合う結果となりました。

スタッツを見ると、シュート数は実に18本差。枠内シュート数でも10本近い差がついており、広島の方がゴールに迫っていました。セットプレーの数もFC東京の2倍近く獲得していただけに、広島としては最低でも1点は取りたかった内容でした。

ゴール期待値

広島は前半だけで1.3近くゴール期待値を積み上げています。特に最初の20分間はセットプレーの数も多く、シュート数は全体の1/3となる8本を記録。結果的には、この時間帯に先制点を取らなければいけなかったと思います。

試合終盤の20分間でも7本のシュートを放ちましたが、ゴールは決められず。直近2試合はいずれも2得点していましたが、最後は無得点で連戦を終えることになってしまいました。


多かったセットプレー

シュート数にも表れていましたが、序盤は広島が攻撃する時間が長かったです。

FC東京がそこまで前からプレスに来なかったこともあり、広島は余裕を持ってボールを保持。ボランチ2人を中心にサイドと中央を使い分けながら、相手を押し込んでいきました。

右サイドでは藤井智也のドリブルや背後への飛び出しからシュートシーンを演出。一方、左サイドでは柏好文や森島司が時間を作り、オーバーラップしてきた佐々木翔のクロスでゴールに迫りました。また、ハーフスペースにポジションを取った森島や前線のジュニオールサントスに縦パスが入ることも何度かあり、決してサイド一辺倒にはならず中央を使うこともできていたと思います。

時間帯別パスネットワーク図で立ち上がりの15分に着目すると、多くの選手の平均ポジションが敵陣内であることが確認できます。理想としては前線の選手、特に1トップのサントス(37番)がもう少し高い位置でボールに関われていると良いのですが、それでもコンパクトな陣形で各選手に満遍なくボールが渡っていることは悪くないのかなと思います。

時間帯別パスネットワーク図

また、広島はコーナーキックやフリーキックも多く獲得していました。4分にはショートコーナーから佐々木がヘディングシュート。その後もサントスや浅野雄也の頭にボールが届く場面が続くなど、キッカーの森島から精度の高いボールが何度も送られていました。

今シーズンの広島の得点パターンを見ると、「セットプレーから」が最も多く、全得点の約1/3を占めています。加えてFC東京は「セットプレーから」の失点が2番目に多く、計7失点。セットプレーは広島が得点しやすくFC東京が失点しやすいシチュエーションであると言えるでしょう。


得失点パターン

それだけに、何本もあったセットプレーでゴールを挙げられなかったことは悔やまれます。広島の選手が先にボールに触る場面も半数以上はあったと思うので、どうにか決めてほしかったですね。


アタッキングサードへの進入

広島は90分間で22本ものシュートを放ちましたが、無得点。ただ、裏を返せばセットプレーを含め、シュートを打てる場面をそれだけ作れていたということが言えると思います。

エリア間パス図を見てみると、両サイドで「アタッキングサードへのパス」そして「アタッキングサード内での内側へのパス」が多かったというデータになっています。また、ペナルティエリア内へ進入する斜めのパスも見られるほか、ペナルティエリア内からのパスも複数確認できます。

エリア間パス図

シャドーを務めた2選手のヒートマップを見ても、アタッキングサードでのボールタッチ数が多いことが分かります。特にフル出場した森島はサイドだけでなく相手のペナルティエリア手前のスペースで何度もボールを受けており、これまでの試合とは一味違ったヒートマップになっています。

攻撃スタッツ - 森島 司   ヒートマップ - 森島 司

攻撃スタッツ - 浅野 雄也   ヒートマップ - 浅野 雄也

セットプレーのキッカーを務めることが多かった森島はラストパス4本を記録。また、クロス数5本にシュート数は4本(うち3本は枠内)。チャンスメイクだけでなく、自らゴールを狙う場面も見られました。

森島や浅野、さらに交代で入ったエゼキエウなどシャドーの選手たちがいかに得点に関わるプレーができるかが今後の広島の命運を握っていると個人的には思います。浅野はリーグ戦ですでに4ゴールを挙げていますが、森島は1ゴール、エゼキエウは未だ無得点。シャドーシステムになってからはチームとしての連動性や連携も良くなっているので、ここから得点・アシストを増やしていってほしいです。


最後に

17連戦を戦い抜いた選手・監督・スタッフの方々、本当にお疲れさまでした。代表ウィークやオリンピックによる中断などで6月・7月のリーグ戦はわずか3試合ですが、全てホーム開催なので、ぜひとも3連勝しましょう。