1.初めに

迷走中であるように思えてならない仙台。とにかく最近は失点が多くなり、得点が奪えない。攻守にムラがある。1週間でどのように準備、修正してきたのだろうか。

相手は、ミッドウィークを挟んだFC東京。日程の差はあれど、選手層の厚さを考えると、まだ東京に分があるように思える中、どのように戦うのか。

フォーメーション図

フォーメーション図


FC東京スタメン

ミッドウィークの前節から4人を変更。東京五輪世代の内田は久々のスタメン。

 他にも田川、品田、渡辺、中村と若手を多数起用。

 ベンチには、パリ五輪世代のバングーナガンデ佳史扶も入っている。若手の層が厚い。

仙台スタメン

 フォーメーションを3-4-3に変更。3トップに3CBを当てて、タスクを明確化することにより、失点を防ぐのが狙いか。

右CBには特別指定選手のアピアタウィア久が入った。仙台はスタメンに真瀬も含め、特別指定選手が2人。主力の怪我人続出で台所事情が厳しいようだ。

個人的に注視している選手「アピアタウィア久」が見れるので嬉しい。


2.前半

仙台は守備時は5-4-1。リトリート気味。でも関口が前から行くので、5-3-2。と見えることもあった。先ずは無失点で前半を終え、後半勝負のように見えた。

逆に東京は前からプレスをかけているように見えた。

しかし、13分にクイックリスタートから三田の恩返し弾が炸裂。

こうなってくると、東京も引いて守る。仙台は攻撃の糸口が全く見いだせない。


仙台は、飲水タイムが終わると、セットプレーから徐々に流れをつかみ始めた。だが、東京の門番、森重がなかなか許してくれない

関口のコーナーのこぼれ球シュート。森重にディフレクションし、ポスト直撃。あれは惜しかった。

他にも椎橋から長沢へのパスからシュートが惜しかった。ジャーメインもDF間におり、うまく2人がDF間に入っていたが、森重は、スピードのあるジャーメインに早めに寄せて、その後長沢をケア。1人で2人を守られた。さすがだ。

守備スタッツ - 森重 真人

仙台も前半終了に近づくにつれてボランチからシャドーに入り決定機を作る。関口が出してになればチャンスは作れるのだ。

一方、仙台が今まで得意としていた右サイドは、東京に陣取られる形となっていた。

ヒートマップ - 真瀬 拓海ヒートマップ - 小川 諒也











3.後半

東京は開始10分ほどは前からプレスを仕掛けてきた。

しかし、徐々に東京陣内に入り込める仙台。そして、ゲデス、兵藤を投入。

ヒートマップ - 兵藤 慎剛

ヒートマップ - 関口 訓充











このベテラン2人により仙台は左サイドから攻め始める。

東京も4-4-2とフォーメンションを変更し、守備を再構築する。

そしてお得意のショートカウンターから1点を奪いに来る。

東京は85分に永井を投入し、猛烈なチェイシングを行い、最後の締めにかかる。ディエゴオリベイラも献身的に守備に戻り、万事休す。

1-0で試合終了。


4.データを振り返って

・カウンターの質

両チームともにゴール期待値は同程度だが、差分は東京がプラス、仙台がマイナスとなっている。

https://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j1/?year=2020&data=expected


チャンス構築率も同程度だが、シュート成功率にはかなりの差がある。仙台に至っては最下位だ。

https://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j1/?year=2020&data=chance


つまりは「仙台は決定力不足」


そして、今節、鍵になったのは、「カウンターの質」だと思う。

両チームともショートカウンターチームだが、仙台は決定力不足。反対に東京はカウンター時は3回に1回はシュートまで持ち込み、ロングカウンターにおいては、人数をかけて攻撃をするという、意思統一が図れている。

ショートカウンター

https://www.football-lab.jp/summary/team_style/j1/?year=2020

ロングカウンター

https://www.football-lab.jp/summary/team_style/j1/?year=2020&data=22


これらから、両チームにはカウンターの質の違いがあったのだと考えられる。

まさに三田の得点は、その差から生まれたものだろう。


5.終わりに

引き分けを挟んで7戦勝なしは悔しい。それよりも、個人的にはフォーメーションをいじったほうが悔しい。仙台は財政面での負の情報が流れてしまったから、スポンサーへの影響も考え、勝利が必要だ。しかし、J再開後の、今までにない仙台が見られるというワクワク感がなくなってしまった。前プレスを仕掛ける攻撃的仙台。

この1年は割り切って戦術の落とし込みに使ってほしいと思う。降格がない今年だからこそ。来季今の状態ならば降格は免れないのではないのか。

どうかこの1年を大切に過ごしてほしい。