これだけのゴール期待値の差(1.52vs0.22)でも引き分け、ゴール期待値では1-0が妥当なスコアか。経過時間30分まではお互いほぼチャンスを作れず。その後のゴール期待値は浦和が東京を常に上回り試合終了。結果が引き分けなのも、サッカーの醍醐味だろうか。
ボール保持(ポゼッション)の浦和、縦に速いロングカウンターのFC東京と両極端なスタイルの対戦
パス成功数は浦和がFC東京の倍だが、プレースタイルの違いと思われる。縦に速いカウンターではパス成功数は低いのが通常ではないかと思う(少ないパスでゴールまで迫れるが、相手陣内では当然相手選手のほうが多く、引っかかりやすくなるので、相手ボールになるリスクが高い)ので、今後のスタッツも見ていきたい。
縦に速いカウンターなのでスプリント数はFC東京が上回っている。走行距離で3 km劣るFC東京は走れていない可能性があるが、スプリント数が多いと走行距離が少ないのかもしれないので(消耗を防ぐため?)この試合だけでは判断できそうにない。
パスソナー・パスネットワークでは浦和がパス成功数が多いので、ネットワークの線が多く、右サイドの宇賀神、伊藤、小泉のラインでボールがよく回っていたようだ。CBでは槙野は左右へのパスが多く、岩波は前方のロングパスが多い。また浦和は全方向(後方)へのパスがFC東京よりも多く見られる。GK西川はパス数がFC東京のGK波多野と比較し、多くなく、ロングキックをしているので、浦和はボール保持のスタイルでもGKからのビルドアップはこの試合ではしていないようだ。
FC東京では前方へのパスが多く、後方へのパスが少ないので、縦パスが多いようだ。例外はアルで、前方よりも左右へのパスが多いので、ボランチでパスを散らす役割に見える。GK波多野が左サイドへのロングキックが極端に多いが、これは小川の競り合いが強みなので、そこを利用するというのがよく表れている。
ヒートマップではFC東京は浦和と比較し、パスが少ないのでボールタッチも全体的に少ない。前線の選手でボールタッチが多くなると縦へのスピードが落ちると考えられるので、少ないのは特に問題がないと思われる。
アルが広い範囲をカバーしているが若干左より、ディエゴも前線で広い範囲だがボールタッチは少ない。レアンドロは主に左ハーフスペースに位置するが、右のハーフスペース、自陣の左右のハーフスペースでもボールタッチが計測されている、常にハーフスペースにいるが範囲が狭いので運動量が足りないか。ハーフスペースでのボールタッチが多いがここで起点になり、時間(タメ)を作る役割がありそうだ。アダイウトンはゴールに向かうようなヒートマップだった。レアンドロは時間を作るためにパスが来た位置にとどまるが、アダイウトンは仕掛けてゴールに向かうようなプレーをしていたと思われる。
東が右半分をほとんどカバーし、渡邊凌磨も右の広い範囲で動いている。安部が左サイドをカバーし、高い位置のサイドにいるが、中央よりではレアンドロがいるので、ポジションが被らないようにパスコースなどを作る動きをしていそうだ。低い位置の中村、高い位置の小川と対照的で左サイドの小川が攻撃的、もしくはGK波多野からのロングキックの競り合いを受けるようなマップとなっている。右CBの渡辺、左CBの森重ときれいに分かれており、ポジションが入れ替わっていない。FC東京はどこのゾーンでだれがいるのか、役割分担がはっきりしているように見える。
左の外国籍選手、右の日本人選手でヒートマップの範囲が異なる。これが長谷川監督のいうコンディションの差を表している可能性もありそうだ。
「外国籍選手のコンディションがまだ本調子ではない」https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=86936
相手陣内でファールもらって、FKのセットプレーで同点にしたのは東京の強みがこの試合でも出たといえるかもしれない。昨シーズンからの強みは今シーズンも発揮されそうだ。
2020 J1 ロングカウンター2位のFC東京
https://www.football-lab.jp/summary/team_style/j1/?year=2020&data=22
2020ルヴァン杯決勝プレビュー 「太陽王」はオルンガと江坂だけではない! × 「花の東京」に高い確率で訪れるチャンスとは?
https://www.football-lab.jp/column/entry/774/
2020シーズンFC東京の特徴
・平均ポゼッション率はリーグで2番目に低く、パス数もリーグ最少と、最もボールを保持せず、パスをつながないチーム
・スプリント回数ではリーグ全体でトップ
・FC東京は敵陣でのFKの獲得回数がリーグで最も多く、セットプレーから10秒以内に挙げた得点数も川崎Fに次いでリーグ2位の16得点
FC東京「31選手の最新市場価格ランク」 注目の元ブラジル代表DF、“1億円超”は8人
2021.02.27
https://www.football-zone.net/archives/310029
■FC東京(昨季6位/17勝6分11敗)
選手市場価格総額:21億3360万円
チーム内最高額選手:ブルーノ・ウヴィニ、ディエゴ・オリヴェイラ(1億9050万円)
総市場価値10位/57
浦和「27選手の最新市場価格ランク」 最高額FWとMFが流出…“2億円超”はゼロに
2021.02.26
https://www.football-zone.net/archives/309965
■浦和レッズ(昨季10位/13勝7分14敗)
選手市場価格総額:18億6690万円
チーム内最高額選手:興梠慎三(1億6510万円)
総市場価値13位/57
コメント(2)
-
SPORTERIAスタッフ
2021/3/5 16:12
>走行距離で3 km劣るFC東京
-
shakekuma
2021/3/6 01:40
守備で走らされるのに走行距離が伸びてないという視点は考えてませんでした。トランジション数が見れるデータがあるとわかって面白そうです。
この部分を拝見してふと思ったのですが、どちらかといえば守備側の方のチームが走らされて走行距離が伸びる傾向があるので、ボール支配率が60%近い浦和の方が上回っていたというのはトランジションの部分で上回ったことが大きいのかもしれませんね💡