横浜FM3戦目。
ミッドウィークでの川崎との激戦から中3日とタイトなスケジュールでアウェイの柏戦に乗り込んだ。
試合を見ていない方はハイライトをご覧下さい。
結果は1-3で完敗。
さらに畠中&岩田の退場・畠中&マルコスジュニオールの負傷も重なり、次節以降に向けての切り替えが求められる結果となった。
目次
①SB裏の対応
1.柏の攻撃メカニズム
2.「戦術:喜田」
②エドゥアルド・永戸のビルドアップ
1.永戸のタイプ
2.エドゥアルドの動き方
③5バックの攻略
④最後に
①SB裏の対応
この試合で一番浮き彫りとなった課題はSB裏に出されたボールへの対処であった。
現に、畠中&岩田の退場・3失点目は全てここを突かれたところから生まれた。
実は開幕戦のC大阪戦でも感じたことだが、横浜FMはSB裏の対応をかなりマンパワーに頼っている。柏は上手くここを逆手に取って試合を優位に進めた印象を受けた。
おそらく柏が想定していた戦い方は、
1.外国人2人(特にドウグラス)の走力とフィジカルを生かしてサイドに起点を作らせる。
2.そのためにWBは敢えて高い位置を取りすぎないことでSBを引き出す。
3.最終ラインからのロングボールでなるべくリスクを減らしてサイドへボールを運ぶ。
という三段構えであった。
対する横浜FMはどう対応したかというと、「戦術:喜田」が答えであった。
CB・SB間は喜田の広い守備範囲を活かしてカバーしてもらおうということである。
しかし、これには大きな問題点がある。
お察しの通り喜田が高い位置をとってしまっている場合は元も子もないのだ。
こうなるパターンは2つある。
1つは、ネガトラ(攻⇒守の切り替え)の局面で戻りきれない時である。
喜田は攻撃参加も持ち味の1つであるので、リスク管理として攻撃参加を制限するのはチームとしても難しい。
そこで局面に応じて2ボランチで補完関係を作ることが肝要である。
ここで下の図を見比べて欲しい。
(↑岩田は前半35分からCBへポジションチェンジ)
喜田&岩田ペアの場合は前後関係がはっきり出来ており、今回の試合でもカバーに入っている場面はほとんど見られなかった。
一方、喜田&渡辺ペアの場合は流動的に関係性が変化しており、渡辺のカバー範囲の広さは喜田に近いしいものを感じた。
岩田も対人の強さやパスの捌きなどボランチとしての能力は高いと思うが、こういう展開になると喜田の守備面での負担が大きくなってしまう。
もう1つは、ハイプレスで釣り出されてしまう時である。
今回の対戦ではフォーメーションのかみ合わせ的にマンツーマンの意識が高かった。
それ自体は決して悪いことではなく、むしろハイプレスを狙いに行くのであれば対応する人がハッキリした方がやりやすい。
しかし連戦ということもあり、前線のハイプレスがほとんど遠い上に後追いになってしまう。
さらに喜田の側にいることが多かった山田があえて高い位置をとらないことで喜田を釣り出すことに成功する。
このような要因が絡み合って、横浜FMは面白いようにSB裏のスペースを使われていたのである。
ただし、こういう状況になっても昨年まではあまり気にせずに済んでいた。
守備の要チアゴマルチンスがいたからである。
ハイプレスが外されたりネガトラの意識が甘かったりしてもこの男がいたから何とかなっていた。
いや、幸か不幸か何とかなってしまっていた。
リヴァプールがファンダイクを獲得してからトップに上り詰めたのと同じような現象である。
チアゴマルチンスがいなくなった今、ここの守備の甘さや組み合わせを考えることは急務だ。
②エドゥアルド・永戸のビルドアップ
そして、もう1つの問題は左サイドのビルドアップである。
1失点目・2失点目のいずれもエドゥアルドのビルドアップが起因となって失点した。
エドゥアルドのミスと言ってしまえばそれまでだが、もう少し深堀りすると左サイドのビルドアップが機能不全に陥っていた。
現にほとんどの時間において攻撃が右サイドに偏っていることが下のデータからも窺える。
その一因として永戸のSBとしてのタイプが挙げられる。
横浜FMのSBをやる選手は中央に入り込んでボールを捌くのが非常に上手である。
しかし永戸が昨年所属していた鹿島ではそのような役割は求められていなかったので慣れてはおらず、少し内寄りで受けただけでもボールロストするシーンが目立った。
そして相手のプレスが嵌ってしまった時にひっくり返すためのロングボールという選択肢もないように思えた。
昨年も横浜FMの試合を見ていた方なら、ティーラトンがプレスを食らってライン際に追い込まれながらも蹴っていたロングボールというのは記憶に新しいだろう。(ここでも退団した選手の影を追ってしまう)
永戸は左利きということもあり、これを選択肢の1つとして持てるようになるだけでビルドアップでの自信を持てるようになるはずだ。
ここまで永戸を批判するような文章にはなってしまったが、おそらく彼は先制点のように崩しの局面で違いを生み出せる貴重なSBではある。
新加入ということもあり横浜FMの独特な距離感・ポジションチェンジのビルドアップに慣れるまではまだ時間を要するように思うが、それに慣れてくれば屈指のLSBになると期待している。
もう1つの要因として、エドゥアルドのパスを出した後の動き方の影響も大きかった。
柏の守備陣形は5-3-2のままでプレスをかけてSBにはIHがスライドして対応するというものであった。
つまり逆サイドの選手はかなり空いているはずなのだ。
しかし、エドゥアルドはLSBに付けた後に角度を作ってサポートするのではなく、なぜかインナーラップをする癖がある。
これでは選択肢を増やすどころか、逆サイドへのパスコースを消して選択肢を減らしてしまっている。
LSB永戸・LCBエドゥアルドの両者とも新加入選手で、言語もおそらく通じないために試合中のピッチ内での修正が難しいという側面はあったのであろう。
③5バックの攻略
横浜FMは攻撃面でもこの試合は見せ場が少なかった。
ゴール期待値を見ても得点シーン以外チャンスが皆無だったことが分かる。
というのも、先述のビルドアップの壁を越えても崩しで5バックを攻略するのに苦戦していた。
5バックの攻略のポイントとはHV(DFのサイドから2番目の選手)をいかに引き出せるかである。
しかし、中央でボールを引き出すはずのマルコスジュニオールがサイドに流れる回数が多くなっている。
ここで1つに気になるのがこのデータである。
昨シーズンはハーフスペースでボールを受ける回数が多くなっていたのに対し、今シーズンはこの試合のようにサイドに流れてボールを受けている回数が多くなっている。
(その分、アンデルソンロペスが下がってきてボールを受ける役割を担えている)
昨シーズンはほとんど途中交代であったが、今シーズンはすでにスタメンフル出場の回数が昨シーズンに並んでいることでの疲労もあるだろう。
これは昨年マルコスジュニオールと代わることが多かった天野が移籍してしまったことが大きい。
上手くターンオーバーを駆使してたりアンデルソンロペスの流動性を活かしたりすることで、昨シーズン以前のような中央でボールに関わって輝くマルコスジュニオールを見たいものである。
④最後に
喜田のマンパワーの限界やマルコスジュニオールの役割の重さ、さらにはチアゴマルチンス・ティーラトン・天野といった移籍組の抜けた穴の大きさを感じる一戦となった。
しかしJリーグというレベル的には発展途上のリーグにおいて、強いチームでは日々メンバーが入れ替わるのは宿命である。
今回の敗戦を機に、マンパワーには頼り過ぎずに済むような戦術(特に守備面)を整備していって欲しい。
p.s.
書いてたブログのタブを誤って消してしまい、ほぼ0から書き直すことになり大変でした…汗
復元する方法をご存知の方がいらっしゃいましたら是非ご教授して頂きたいです!
コメント(3)
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SPORTERIAスタッフ
2022/3/6 09:34
確かにどれだけ守備範囲が広いといっても、前方や横方向ではなく後方の領域が広くなってしまうとどうしても"マンパワー"の限界がありますね💦
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SPORTERIAスタッフ
2022/3/6 09:36
>書いてたブログのタブを誤って消してしまい、ほぼ0から書き直すことになり大変でした…汗
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Takuto Murayama
2022/3/7 11:42
退団した選手の穴を埋めることは一生ついて回る問題ですよね…
チアゴ・マルチンス選手は"スーパーマン・パワー"でなんとかしてくれていた気がしますが、彼が抜けたことによる変化を修正していかないといけませんね。
左サイドのビルドアップはまだまだ発展途上で、クオリティを上げようと取り組んでいる最中なのかなと感じました💡
一定期間は痛みを伴うかもしれませんが、シーズンを通しての進化に期待したいですね!
>復元する方法をご存知の方がいらっしゃいましたら是非ご教授して頂きたいです!
ひええ…😣
[Ctrl]+[Shift]+[T]などでタブは復活できそうですが、入力エリアの中身までは戻りませんよね…。
今後、自動下書き保存機能など検討できればと思います。
ただそこを埋めつつ進化していくのを見るのもまた一興です
自動下書き保存機能の検討ぜひ宜しくお願い致します!