今回は、データから推測するちょっとフォーカスになります。今までは、感覚とデータを見比べて、確証を得たというデータでしたが、今回は、着想点がなかったので、いつも以上に苦労しました。という事で、コーナーを改名して、ファジにデータでフォーカスに変更しました。


記念すべき改名一回目のフォーカスを当てたデータは、こちら!


攻撃スタッツ - 徳元 悠平

41徳元 悠平のスタッツです。どうでしょうか?気になる点がありませんか?


あれ?パス成功率が、約50%しかない。いつもだと大体60%は、超えてくる数値なのですか?どうでしてなのか?


試合を観ていて思っていましたが、自陣深くで、いつも以上に引っ掛かっていました。そこで、パス成功率が低くなってしまっていたのです。え、いつも60%ぐらいなら誤差の範囲では?と考える方も当然いますよね?


いえ、60%という数字は、SBというポジション上、そうなり易い特徴があります。SBは、スローインで受けた時に、大きく蹴り出すシーンや、通る確率の低いクロスやスルーパスを選択もする事も少なくありません。加えて、囲まれてサイドライン、ギリギリを通そうというシーンも多い。だから、60~70%で落ち着きます。ここで、80%ぐらいあったら、大差がついても不思議ではないと思います。


この試合では、両SBが、サイドのライン際から浮き球の裏へのパスやグラウンダーの縦パスが、何度も引っ掛かっていました。そう、いつもより、低かったのは、41徳元 悠平だけではなかったのです。

攻撃スタッツ - 河野 諒祐

16河野 諒祐に関しては、50%以下になっていますね。うん、ちょっと低すぎますね。自陣深くで、こんなに多くボールロストしていたら、危ないシーンが増える筈ですが、そうならなかった。


それは、先ほど話した縦に入れるパスの比率が多かったからです。縦に入れるという事は、前方方向へのパスですから、カットされてもライン際であれば、ラインを割ってマイボールになる事もありますし、カットされても自分と対峙する事になります。


次に縦パスが多くなった理由を考えてみましょう。北九州視点だと、SBのサイドの所を抑えに来たという考え方と、岡山が、SBからSH(FW)の選手へのパスを集めるゲームプランであった。


大きく考えると、この2つだと思います。これは、次のデータを見ると、サイド攻撃の意識の高さを示す共に、推測の前提を覆すデータがあります。


エリア間パス図

あぁ、そういう事だったのか。これを見て分かりました。自陣深くでボールロストしていたというイメージして、推測していましたが、実は、中盤まで押し込めていたから、北九州の寄せを強く受けてしまった。


その結果、いつも以上にパス成功率が、それによって下がってしまったのですね。


後、中央深くへのパスが少ないので、やはりサイド攻撃を重視していたことも分かるデータですね。


そして、もう1つ、パス成功率が、下がってしまった理由を示すデータがあります。

パスソナー・パスネットワーク

どうでしょうか?分かりますか?


縦への平均パスの距離の長さを示すデータですが、両SB共にサイドのスペースやSH(FW)へのパスを多かった事を示すデータです。同時に、16河野 諒祐の縦パスの成功率が二本以下という残念な数字になっています。


後、全体的に確率の低いパスを選択していますね。これは、前半に風上だったので、ある程度、長めのパスを入れていたという事も示しているデータとも言えます。


CBに着目するとより分かり易いですね。後ろから繋ぐ事を重視していると、CBのパス数や成功率は高くなりますが、この試合では、タッチ数が少なくなっていますね。


北九州は、ある程度後ろから繋ぐ意識が高かったので、岡山とは真逆になっている筈です。それでは、見てみましょう。

エリア間パス図

パスソナー・パスネットワーク

まさに、一目瞭然。


タッチ数が後ろの選手が多くなっているので、しっかりパスを繋いで前に運ぼうとしていたことが分かりますね。


ちなみにDFラインの22生駒 仁は、ハーフタイムでの交代なので、風下の押されていた前半のみのプレーでした。これは、岡山が、前半押し込んでいた事を示すデータともなりますね。


また、前方へのパスの平均距離が、長めになっているので、岡山のプレスに対して、耐えきれなくなって、ロングパスで打開しようとした事も示すデータでもありますね。


次に岡山が如何に押し込んでいたか示すデータを見て見ましょう。

ヒートマップ - 徳元 悠平

うん?あれれ?本当にSBの41徳元 悠平のデータ?


そう勘違いされても不思議ではない。完全にSHのデータですよね。どれだけ90分間を通して、押し込めていたか示すデータであったと思います。


何故、押し込めたのか。次にこのデータを見てもらいましょう。

ヒートマップ - 富山 貴光

ヒートマップ - 前川 大河

FW2人のデータです?あれれ?本当にFWのデータ?


そうです。北九州は、後半に風上に立っても繋ぐ攻撃を続けていました。だから、FWがサイドに流れるなどして、パス交換に関与しようとしていた。それを示すデータであると思います。


その結果、北九州の低い位置からのパス交換に対して、前に運ばせないための寄せに行うために、41徳元 悠平が、高い位置にとっていた。点と点で繋がりましたね。


そして、もう1点繋がった事がありますね。FW二人が、岡山の右サイドに流れて来ていた。つまり、これは、16河野 諒祐の前方方向にFW流れて来ていて、パスコースが消えている時間が長くなりがちであったことを示すデータですね。その結果、パス成功率が大幅に下がったのですね。


次に、27木村 太哉のゴールを生み出したサイド攻撃が機能していた理由と、クリーンシートできていた守備のポジショニングの鍵を示すデータを見ていきましょう。


それが、こちらです。


時間帯別パスネットワーク図

どうでしょうか?これは、もしかすると、見解は別れるかもしれませんが、ここから分かる事があります。


まず、27木村 太哉が、前半の長い時間で、一番高い位置になる事が多くなっています。岡山のサイド攻撃、特に27木村 太哉を中心に攻める事が出来ていた事を示すデータです。


また、27木村 太哉は、受ける選手というよりは、仕掛ける選手なので、ボールタッチする位置は、サイドでも中に侵入する回数は、それなりにあったと思います。


そして、仕掛けた後のスペースに41徳元 悠平が入り、そこでパスなどを受けるシーンが何度かあった。だから41徳元 悠平と27木村 太哉が、データ上では、近いポジションになったのですね。


また、41徳元 悠平が、高いポジションをとっている時に、4濱田 水輝がしっかりケアしていました。攻めて空いたスペースは、しっかり埋める。それが出来ている事示したデータでもありますね。


こういったリスク管理は、岡山の堅守の秘訣と言えるでしょう。


後は、このデータを見ても20川本 梨誉が、やはり、攻撃の頂点というか前線の起点にもなっている事を示していますね。ここも違うデータで、更に裏付けしていきましょう。

ヒートマップ - 川本 梨誉攻撃スタッツ - 川本 梨誉

プレーエリアが、アタッキングサードを満遍なくカバーしている上に、驚異的なパス成功率ですね。


公式動画で、ゴールシーンを改めて、見て見ましょう。しっかり流れに関与しています。DAZNに加入している方は、この前のシーンから確認してみて下さい。20川本 梨誉の記録に残らない良いプレーがあります。



さりげなく20川本 梨誉が、攻撃に関与していますが、このシーン以外のもこういったプレーは多く見られました。


もしかすると、20川本 梨誉抜きには、27木村 太哉のゴールは生まれなかったかもしれません。それだけ素晴らしいスタッツです。今後の活躍に期待したいですね。


どうだったでしょうか?ここまで、深く掘り下げて来ましたが、対戦相手によって、戦い方は、当然変えてくると思いますが、相手の事を分析した上で、ピッチコンディションも考慮した上で、好守で巧くバランスを取りつつ戦う岡山らしい勝利でしたね。


今後の岡山に期待したくなる。そういった若手の活躍でした。まだまだ降格圏が近く、厳しい試合が続きますが、少しでも上の順位を目指す岡山を応援していきたいですね。


今回は、少し長くなりましたが、最後まで読んで頂き有難うございました。


文章=杉野 雅昭(text=Masaaki Sugino)、図(データ)=SPORTERIA様


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