1、前置き
今回は、駆け足で、データを見て行きます。よろしくお願いします。観ていて直感的に9ピーター・ウタカには、やられていましたが、データ的にはどうだったのでしょうか?各種データを確認していきたいと思います。
2、大活躍の9ウタカ
攻撃スタッツ(9ピーター・ウタカ)
見ての通りシュート5本も打たれて、内4本が枠内加えてゴール1点決められています。試合によっては、チームの総数であっても不思議ではないですね。ちょっと打たれ過ぎています。
パス数も40本も出されていて、成功本数28本。FWとして考えると、とても多いですね。岡山でも試合によっては20本を切る試合もありますし、MF並の数値ですね。成功本数も5割越えで高めです。ラストパス1本とクロス2本は、思ったより少ないですが、アシストも1をしっかり決められています。
攻撃スタッツを見てみましたが、凄くやられていたのが分かりましたね。次にいきましょう。
3、守備に追われた岡山DF
守備スタッツ(4濱田 水輝)
守備スタッツ(22安部 崇士)
守備スタッツ(5井上 黎生人)
守備スタッツ(2廣木 雄磨)
CBの2人関しては、そこまで数値は高くないですが、両SBは、見た事がない数値を記録していますね。
これは、CBに関しては、9ピーター・ウタカに対して、守備のアクションを起こしたが、ボールを奪いきれなかった事で、数値が低くなっています。もしくは、9ピーター・ウタカに注意や対応がいった事で、DFに手が回っていなかった事を示します。
逆にSBは、9ピーター・ウタカにCB二人が手を焼いていた事から、9ピーター・ウタカからのパスを受け手、後方の選手や両WGの選手の仕掛けによって、守備の対応に忙殺されていた事を示します。
何しろ、9ピーター・ウタカのパス総本数が40ですから、守備機会が30回ぐらいは、あっても不思議ではないでしょう。それだけ、9ピーター・ウタカにやられていたという事です。最初から3バックぐらい採用していないと、対抗できなかったかもですね。
4、打たれ過ぎたシュート
GKスタッツ(31梅田 透吾)
この試合で、岡山の被シュート本数20本で、枠内シュート15本。枠内シュートが、大体標準の3倍ぐらいあると思います。被シュートもですが、枠内に打たれ過ぎですね。GKとしてのセーブは、総数が6本、その内エリア内シュートセーブが4本と試合によっては、悪くない数字だと思いますが、打たれ過ぎました。DFがシュートの半分以上ブロックしていますが、これだけ打たれると流石の岡山の守備でも失点してしまいますよね。ただ、2失点は、この数値だけ見た後だと、良く守ったと言えるが、チームとして、どうシュートを打たせないかという点は、課題として突き付けられた。
5、バランスが崩壊したDFライン
ヒートマップ(31梅田 透吾)
前節見えた、横に広がるビルトアップが出来ていませんね。ほぼ、DFの背後のスペースや守備に専念したヒートマップになっています。京都のチームスタイルも関係していますが、岡山がビルトアップ時にGKが真ん中に行くという余裕がなかった事を示しています。更に、ボールタッチ位置も重なっている箇所が多いですし、守備機会の多さがこれによって分かりますね。
ヒートマップ(22安部 崇士)
いつもだと持ち上がるプレーが特徴の選手でしたが、ほぼ上がれていません。それだけ守備に忙殺していて、攻撃になかなか関与出来ていなことを示すデータですね。
ヒートマップ(4濱田 水輝)
特筆すべきデータではないですが、やはり一番濃いエリアで、9ピーター・ウタカと攻防があったと思いますが、ボールを奪えないので、タッチ数もそこまで伸びません。チームとして、ビルトアップがあまりできなかったのも関係してそうです。
ヒートマップ(5井上 黎生人)
途中で、左右を変えているので、両サイドになっていた事と、CBに戻った時間帯もあっているので、難しいデータですが、まず1つ。SBの時に攻撃参加する機会があり、形を作れたものの回数が限定された。また、中でのタッチ数が少ない通り、なかなかボール奪取ができなかった。この2つがこのデータから見て取れますね。ただ、粘り強く対応していた事で、ブロック数やクリアが伸びた。これは、エリア内でのタッチ数の多さから分かりますね。
ヒートマップ(2廣木 雄磨)
永久保存版とも言える奇麗なヒートマップですね。出場時間を考えると、素晴らしいデータだと思います。あ、違いました。これを見る限り、5井上 黎生人同様に、攻撃参加の回数が限られていたという点で、やはり、守備に追われていたことが分かります。ペナルティエリア内のタッチ数も5回ぐらいあり、SBなのに中でタッチ数が出ている点を考えても岡山の守備のバランスが完全に崩れています。
ここまで、守備陣の5選手のヒートマップを見てきましたが、SBがSBらしくないヒートマップになっている。ここが、一番のポイントであると思います。まず、攻撃参加が限定されているので、守備機会が多かった。また、CBと錯覚するぐらい中でのタッチ数が多くなっている。これは、危険なシーンなどを作られて、中へフォローに行っている事を示すので、サイドもある程度やられていたことを示しています。
6、高く定位置で自由に攻められた岡山
ヒートマップ(4松田 天馬)
ヒートマップ(9ピーター・ウタカ)
ヒートマップ(宮吉 拓実)
京都のFWの3選手は、ほぼ攻撃に専念出来ていますね。これだけ見ても京都が自分達の形で攻める事が出来ていた事が分かります。もっと言うと、チームとして理想的な形で戦えて居たことが分かります。
ヒートマップ(27木村 太哉)
ヒートマップ(16河野 諒祐)
ヒートマップ(14上門 知樹)
ヒートマップ(20川本 梨誉)
こうしてみると、いつもよりも少し濃くなっているエリアが、低くなっていますね。これは、やはり前で持つ時間が短くなってい事を示します。京都の守備が良かったのもありますが、守備に人数や時間を割かれてしまった事で、慢性的な攻撃人数不足に陥っていた事も示します。これは、次のデータに繋がります。
7、歴然たる差(ゴール期待値)
ゴール期待値
ここまで、見て来たデータを総合的かつ視覚的に、確認できるのが、ゴール期待値です。2~6を振り返る事で、見えてくる。下にまとめみましょう。
「差が付いた理由」
・9ウタカが、1人で前線の起点と得点源して、仕事されてしまった。
・CBがボール奪取できず、SBが守備に忙殺することとなった。
・GKが健闘するも多すぎた京都のシュート機会。
・守備の形が1人に崩されて、攻撃に手が回らなかった。
・高い位置でプレーできた京都の攻撃。
・低い位置でプレーとなった岡山の攻撃。
8、総括
6項目のデータで、チェックしてきましたが、如何だったでしょうか?より強く感じた9ピーター・ウタカにやられた感。事前に岡山が、コンディション不良で、前節と同じメンバーで、臨めなかった影響もあるかもしれませんが、それだけでは説明できない歪なデータでした。
岡山としてもこうした選手を擁するチームに対して、どう戦うのか。1つの選択肢は、スタートから3バック。これも面白い選択肢だと思います。ただ、これは、3バックのWBの在り方というのが、まだ手付かずなので、現状使えるチームは、京都の様に90分間攻めてくるチームに限定されると思います。
次回のホームの対戦では、京都に対して、どこまでやれるか楽しみです。その時には、9李 勇載や11宮崎 智彦、41徳元 悠平といった選手も出場できると面白いかもしれませんね。
文章=杉野 雅昭(text=Masaaki Sugino)、図(データ)=SPORTERIA様
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URL:https://note.com/suginote/n/n876b149f69f7
コメント(2)
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SPORTERIAスタッフ
2021/7/6 11:41
ピーターウタカ選手は1人で相手の守備組織を壊してくるので、対戦相手からしたら厄介極まりないですね💦
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杉野 雅昭(masaaki sugino)
2021/7/9 19:35
コメント有難うございます。
正直、どこのチームも解決策を持てていないのが現状かなと思います。
ウタカ選手程ではなくてもこういった影響力を持った選手が前線にいる場合にどう抑えるか、ですね💡
廣木雄磨選手と河野諒祐選手のヒートマップはちょっと不思議な感じですね😲
9ピーター・ウタカクラスの選手をどう抑えて戦うか。
通常チームよりも対応が大変である事は、この試合で、痛感しました。
よく見たら17河野 諒祐選手も・・・