1、前置き


 今回は、少し趣向を変えてというか、数試合前から気が付いていましたが、今回ほぼ満点の結果がでたので、このデータにフォーカスを当てたいと思います。それは、岡山の所属歴の長いあの選手です。それでは、よろしくお願いします。


2、まるであの競技


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(岡山)


 どうでしょうか?どの選手にフォーカスを当てているか分かりますか?前半15~30分以外では、しっかりした平均ポジションを保っていますね。いや、まさにエリア的にもあの競技を、ポジショニングでしているかのようです。

 このバランス感覚こそ、彼の真骨頂。広い視野に裏打ちされた守備や機を見た攻撃参加は、こういった感覚による所があるのでしょうね。

 ゴール前の毀れ球やセカンドボールは、彼のゾーンに引き込まれて、集まってきますが、こういったポジショニングで、チームを落ち着かせる舵取りを可能としているのかもしれませんね。


3、答え


 多くの方がもう気が付かれていて、まだ引っ張るかと思われていると思いますが、円形が関係した冬の競技みたいですよね。

 もうお分かりかと思いますが、そうカーリングです。そういったポジショニングしている選手は1選手ですよね。

 そうです。6喜山 康平です。見事なまでに真ん中です。出来ればパーフェクトを達成して欲しかったですが、素晴らしいポジショニングだと思います。

 サッカーで、これをできる選手は、今の岡山では、6喜山 康平だけだと思います。


4、ポジショニングの真理


ヒートマップ - 安部 崇士

ヒートマップ(22安部 崇士)

ヒートマップ - 井上 黎生人

ヒートマップ(5井上 黎生人)

 この二人で、ゴール前のディフェンシブサードは、カバーできていますね。

ヒートマップ - 宮崎 智彦

ヒートマップ(11宮崎 智彦)

ヒートマップ - 河野 諒祐

ヒートマップ(16河野 諒祐)

 両SBは、中央を囲い込むようにポジショニングしています。11宮崎 智彦は、中への意識で少し中央寄りですが、16河野 諒祐は、サイドの縦の上下動に特化していますね。

ヒートマップ - パウリーニョ

ヒートマップ(26パウリーニョ)

 システム上は、6喜山 康平と同じボランチの26パウリーニョは、16河野 諒祐の背後の空いたスペースをカバーする役割と、16河野 諒祐との細かいパスの相手として、右よりに位置していますね。

ヒートマップ - 徳元 悠平

ヒートマップ(41徳元 悠平)

ヒートマップ - 白井 永地

ヒートマップ(7白井 永地)

 左右SHですが、こちらも役割は大きく違います。11宮崎 智彦は、上下動というよりは、パスで組み立てる選手なので、41徳元 悠平は、受け手として前目のポジショニングを意識している事が分かります。

 一方で、7白井 永地は、切れ味鋭い上下動をする16河野 諒祐とアグレッシブな守備と、攻撃への関与をみせる26パウリーニョの動きに応じて、豊富な運動量で、バランスを取っている事が分かりますね。

ヒートマップ - 上門 知樹

ヒートマップ(14上門 知樹)

ヒートマップ - 川本 梨誉

ヒートマップ(20川本 梨誉)

 両FWは、双子のように近くでプレーする事で真価を発揮するという事で、比較的近くでプレーしています。

 こうしてみると、41徳元 悠平が左サイドの深い所の広範囲。16河野 諒祐が右サイドの狭い範囲での限定的に使っている事で、やや右よりに両FWが、ポジションをとっていることが分かりますね。

ヒートマップ - 喜山 康平

ヒートマップ(6喜山 康平)

 さて、6喜山 康平はというと、他の選手がポジションを比較的開けているエリアに顔を出していますね。左サイドはやや重複していますが、自陣では6喜山 康平のゾーンと言えそうです。

 あれ?でも真ん中ではないですよね?そうです。平均ポジションなので、丁度中間という事になるので、実際にそこで、ボールに触っているのではなく。ボールに関与する中間地点が、丁度センターサークル内であったという事なのです。

 しかし、これは大事な事で、やはり、一番多くの選手が行き来するのが、中央付近なので、中央の選手が、どの様にポジショニングするかによって、攻撃的になりますし、守備的になります。確実な攻撃ができる時に、的確に参加し、守備に移った時に、なんらからの守備アクションを起こせるポジションでないと、一番危険なバイタルエリアが空いて、ミドルシュートを決められてしまう事や、スルーパスを通されてしまう事で、失点してしまってはいけませんよね。

基本スタッツ

基本スタッツ

ゴール期待値

ゴール期待値

 そうです。ほぼ五分の内容。特にゴール期待値に象徴される通りに、攻撃機会と守備機会が、ほぼ同じぐらいあった試合であったという事で、その攻撃機会と守備機会にしっかり対応できていたということで、平均ポジションが中央になっていました。前半15~30分の時は、給水タイム後のショートカウンターが嵌った時間帯で、少しポジションが前目になったと言えそうです。

 例外もありますが、劣勢か優勢の指針として、6喜山 康平のポジションというのは、もしかすると、ゲームの情勢を見極める参考になるかもしれません。私も余力があれば、6喜山 康平のポジションを何処にとっているかという視点でも実際に見てみたいと思います。

 ちなみに…

攻撃スタッツ - 喜山 康平

攻撃スタッツ(6喜山 康平)守備スタッツ - 喜山 康平

守備スタッツ(6喜山 康平)

 ポジショニングが素晴らしいので、さぞかし凄いスタッツかと思いきや、印象に残るデータに反して、いつもの6喜山 康平と比べてみると、物足りないスタッツの数値になっていました。ポジショニングが良すぎた事で、そこにポジションを取るだけで効果的があったのか、もしくは味方のフォローが巧くできたので、控えめになったのかもしれません。

 ある意味ここが、6喜山 康平の良い所かもしれませんね。記録に残らない凄さが出たと試合と捉えるか、データ通り試合にあまり入れなかったと捉えるかは、読者の貴方次第ですが、こういった1つのデータの見方によって、評価が変わるのは、面白いですよね。


5、後書き


 とはいえ、まさかここまで奇麗にセンターサークル中心としたデータが、はっきりとデータとして出るとは思えませんでしたし、証明できたか分かりませんが、6喜山 康平のポジショニングの真理を少しだけ迫る事で、少しでも知れた事は、自分自身も嬉しく思いますし、読者の方にも同じ様に面白いと感じて頂けたのであれば、嬉しく思います。

 最近、こういった発見が少なかったので、もし発見できれば、今後もこういったデータの妙について、しっかり迫れたらと思っています。今後とも岡山が中心となりますが、よろしくお願いいたします。

 最後に、これだけ奇麗に、ポジション分布が出た上で、選手の特性に合った分布になったのは、チームとして巧くバランスを取れている証左であり、チームとして、守備時は巧くスペースを消して、攻撃時は巧くスペースを活用できていた。そういったデータでもあると付け足して終えたいと思います。最後まで、読んで頂き有難うございました。

文章・図版=杉野 雅昭(text・plate=Masaaki Sugino)、図(データ)=SPORTERIA様

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