1、前置き


 久々のデータでフォーカスです。開幕戦という事で、力を入れて行きますが、読み易さを主眼に今回もまとめていきたいと思います。まずは、メンバーを貼る所から初めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。


フォーメーション図

フォーメーション図(岡山)


フォーメーション図

フォーメーション図(甲府)


 システム並びを観た時に、巧く甲府のDFにプレッシャーをかけることができそうというのは、感じる所ではあるが、前線から嵌めて行く形はできなかった。7チアゴ・アウベスの長ロングシュートでのゴールは、生まれた裏で甲府のミスパスが生まれていたが、基本的には、まだまだであった。


 こういった感じに、並びからでも色々と想像を膨らませる事もできるが、データでフォーカスでは、より詳細データについてじっくりチェックしていく事で、データをリンクさせつつ、考察していことを主眼としたい。


 注意しないといけない点は、データが全てではあるが、データが全てでもないという事。あくまで、様々な可能性を考える事で、より多角的にデータを捉えて、想像力の視野を広げる事で、観る側からも選手や監督側の視点に少しでも近づく事で、100%に近づいていくことを目指す。


 それでは、全体のデータから細かいデータまで、フォーカスが当てていく所から、この試合に迫っていきたいと思う。


2、木山式ビルドアップの現状と考察


まずは、パス交換のやりとりからビルドアップをチェックしていく。


パスソナー・パスネットワーク

パスソナー・パスネットワーク図(岡山)


 有馬ファジ時代から左右非対称ではあり、主に左SBはプレスの捌け口であったが、有馬ファジ時代から、木山ファジとでは、明確な変化がある。


パスソナー・パスネットワーク図(岡山:21シーズン:41節:H:vs長崎)


 それは、DFラインでのパス交換が増えていることである。CB→SBへのパスが繋がる。これが、有馬ファジであれば、ほぼ相手チームのプレスからの脱出を意味して、縦パスを選択することが多くなっていました。


 対して、木山ファジでは、DF間での交換である横パスが多く、ここに明確に後ろから繋いで行く意識が現れている。


 ここで、本来であれば、ANの26本山 遥の存在で、ビルドアップが安定して、前に運べる筈なのですが、それほど甘くありません。


 21シーズンは、SHが中盤にいたことで、縦パスを通すというのが、比較的容易でした。対して、木山ファジの22シーズンは、WGが前線に張るために、ビルドアップで前に運ぶためには、どうしても中を経由していく必要がある。


 そして、留意しておくべき点は、WGが下がってしまうと、4仕掛ける時の迫力不足という状況に陥り、4-3-3の良さが半減してしまうという点である。そこで、多少苦しくても、SB←→(GK→CB→AN→IH→WG&CF&IH)という過程踏んで、少しずつ前進していく必要がある。まずは、着実に繋ぐ所から始めて、過程を省略するパスや、高速化が必要ではあるが、これはまだまだ時間がかかりそうであった。


 そして、この表記通り、前まで運べた時に、急に選択肢が増えて、超攻撃的になる。しかし、この試合では、そういったシーンはほぼ作れなかった。


 前に運ぼうとトライしようとしていたが、やはり、そこより先に運ぶのが困難で、リスクが高過ぎて、SBが上がれない。そういった心理的な面が発生したからこそ、16河野 諒祐の攻撃参加が少なかった。


 後、着目したいのは、ANの26本山 遥のパス方向です。右SB時からの癖なのか、システム的な嚙み合わせ的なものなのか、それともポジショニングが悪いのか。41徳元 悠平へのパスが多いのに対して、16河野 諒祐へのパスが少ない。


 この図だけだと、分かり辛いので、別の図をチェックしていく。


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(岡山)


 どうでしょうか?お気づきの点がありませんか?

そうです。頼れる27河井 陽介のフォローが入っているのですよね。気が付けば後ろにいるではないですが、気が付けば横に河井さんがフォローに入っている。これが割と自然に行われている。


 ただ、データを鵜呑みにしてはいけなくて、ここで、守備対応でスライドしてANのポジションに入っている時間帯が長かった可能性もあるので、一概にANの横にいたとは言えない点も頭に入れて行く必要がある。

 では、早速ヒートマップをチェックしていく。


ヒートマップ - 本山 遥

ヒートマップ(26本山 遥)


ヒートマップ - 河井 陽介

ヒートマップ(27河井 陽介)


 このヒートマップを観た時に解析できるポイントとして、


①スライドした時に27河井が26本山の所に入っている。
②27河井のポジショニングが良く、ANからのパスを引き出せている。
③DFラインのビルドアップに危機感を感じて降りてきている。


 他にも分かることはあるが、今回は、ビルドアップにフォーカスを当てているので、大きく考えて3つの可能性がある。


 ここで、新たな疑問が出てくる。27河井 陽介が、右の深い所で多くボールを持てているのに、16河野 諒祐が何故、攻撃時にボールにあまり関与できないのか。

 そこで、次のヒートマップ図をチェックしてみる。



ヒートマップ - 河野 諒祐

ヒートマップ(16河野 諒祐)


 どうでしょうか?見事に27河井 諒祐の後ろにほぼ位置していることが分かりますね。


 では、どうビルドアップに関与していけば良いのか。それに関しては、答えが出ていて、インナーラップである。中央付近でのボールタッチが何度かありますね。セットプレーの流れなどもあるかもしれませんが、中央でボールタッチをする回数が劇的に増えています。


 しかし、この図だけを見ると、偶然の可能性もあるので、次のヒートマップを見て見ましょう。


ヒートマップ(16河野 諒祐:21シーズン:41節:H:vs長崎)


 明らかに中央でのボールタッチが増えていますね。去年の長崎戦では、中央でのボールタッチはほぼありません。

 ここまで、観てきてお気づきの方が多いと思いますが、右サイドのビルドアップは、16河野 諒祐がインナーラップを活用していくことで、良くなる可能性が高いという事です。

 監督からの指示があったにせよ、攻撃に関与するために、必然的に中に入っていくようになったとにせよ、意図的に中に入っていることが分かります。

 しかし、16河野 諒祐と言えば、サイドの上下動に特化していたイメージがありますが、着実に中でのプレー機会が増えている。この中と外の使い分けができるようになれば、右サイドでも効果的なビルドアップからゴール前に入っていくという攻撃に繋がる事は間違いありません。


 では、逆サイド。つまり左サイドの41徳元 悠平の様にインナーラップは活用されているのか?そこについて、早速、チェックしていきましょう。


ヒートマップ - 徳元 悠平

ヒートマップ(41徳元 悠平)


 あれ?中に入ってないですね・・・。実は、これは、14田中 雄大のポジショニングが中に張っている事が多いというデータであると思います。寄せに関してもかなり遅れて、スライドして寄せていた様に、中央に大分張っていました。


 では、14田中 雄大のヒートマップも続けて見てみましょう。


ヒートマップ - 田中 雄大

ヒートマップ(14田中 雄大)


 あれ?これも外よりでは?と、感じられる方もいらっしゃるのも理解できます。


 しかし、これは、ヒートマップの特性を把握しておく必要がある。それは、過去の「データでフォーカス」で、行われたスタッフの方とのコメントのやり取りで、ボールに触った位置を基にした分布であるために、ポジショニングをしていた位置とは違うという点である。


 それを踏まえて、前述の27河井 陽介選手と比べて、中のタッチ数が少なく、左サイド全般でのタッチ数が多くなっている14田中 雄大のヒートマップをどう考えるかではあるが、


考えられる可能性は…


①中央でのポジショニングが悪い。
②中央の密集地帯を嫌って、無意識に外で貰おうとしている。
③41徳元の近くでプレーしようという意識がある。
④41徳元の近くがプレーし易くて、無意識のうちに近づいている。
⑤守備対応が多く、左サイドのライン際に寄りがちになっている。


もう一度、パスソナー・パスネットワーク図を見て見ましょう。

パスソナー・パスネットワーク

パスソナー・パスネットワーク図(岡山)


 この試合に関して言えば、パスソナー・パスネットワーク図(岡山)を見ても左サイドの方が、前に運べていて、7チアゴ・アウベスへ到達する回数が多かった。そういった意味では、②~④の可能性はありそうですね。ただ、岡山が意図したビルドアップや攻撃でないことは、図全体を見ると感じます。そうなると、①と⑤の線も出てきます。


⑤に関しては、守備スタッツを見てみると分かり易い。

守備スタッツ - 田中 雄大

守備スタッツ(14田中 雄大)


かなりの回数の多い守備スタッツ。これだけ関与していることを考えると、⑤の要素も小さくない。


 ここで、何が起きているのかという予測を立てるのに役立つのが、時間帯別パスネットワーク図です。


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(岡山)


 ここまでの情報を踏まえて、この図を見ると、左サイドは、後半の途中を除いて、7チアゴ・アウベスが常に高い位置が、平均ポジションになっている。

 対して、右サイドは、10宮崎 幾笑が、時間帯や状況に応じて、立ち位置や関係性が変化している。27河井 陽介や10宮崎 幾笑、16河野 諒祐だけではなく、20川本 梨誉も絡んだ関係性も見て取れた。


 結果的に攻撃回数が多かったのは、左サイドではあるが、右サイドから攻められる回数は少なかった。相手チームによるところではあるものの、この辺りをどう考えるか。関係性の変化で、右サイドの方が良く攻める事ができる可能性もあり、この辺りは、今後の注目ポイントの1つと言えそうである。


3、左右比較


 ビルドアップのデータによる整理はできた。では、左右の対比という形で、データを見て行きたい。


攻撃スタッツ - 徳元 悠平

攻撃スタッツ(41徳元 悠平)


攻撃スタッツ - 河野 諒祐

攻撃スタッツ(16河野 諒祐)


 こうして見比べてみると、16河野 諒祐は、どうしても持ち味を発揮できているとは言い難いスタッツ。一方で、41徳元 悠平は、良く触れている。



守備スタッツ - 徳元 悠平

守備スタッツ(41徳元 悠平)


守備スタッツ - 河野 諒祐

守備スタッツ(16河野 諒祐)


 データには、大きな差はなく、この図だけでは判断は難しい。そこでIHの左右で見てみよう。


攻撃スタッツ - 田中 雄大

攻撃スタッツ(14田中 雄大)


攻撃スタッツ - 河井 陽介

攻撃スタッツ(27河井 陽介)


 別のSNSでのレビューで書きましたが、27河井 陽介をセットプレー時の密集地帯の手前でのポジション取りを任せた事で、ラストパスやクロスという場面を多く作れている。

 とはいえ、中央と外の使い分けが良く出来ていることで、攻撃での存在感を感じます。


 一方で、14田中 雄大の守備スタッツと比べると、ゴールこそ決めているが、組み立ての部分では、少し物足りなく感じるスタッツ。


 では、守備スタッツを見比べてみましょう。


守備スタッツ - 田中 雄大

守備スタッツ(14田中 雄大)


守備スタッツ - 河井 陽介

守備スタッツ(27河井 陽介)


 攻撃スタッツはとは、対称的なデータと言えますね。この辺りから見えてくる木山 隆之監督が考えるファジ編成の一端が見えてきたと言えそうです。


 あくまで、1試合なので、結論付けこそできず、偶然である可能性や、甲府が、右サイド主体の攻撃であったからとも言えるかもしれません。ただ、この試合に関しては、右サイドで、攻守にアグレッシブに動き、左サイドはポジショニングやポジションチェンジで、工夫していくことで、チームとしてバランスをとっていたようです。


 この考えとして、左右で動きが激しければ、運動量や判断が求められて、疲弊する可能性があります。左右でバランスをとっていく。この試合では、左サイドが「動」であれば、右サイド「静」です。


 エリア間パス図で確認してみましょう。


エリア間パス図

エリア間パス図(甲府)


エリア間パス図

エリア間パス図(岡山)


 この図を見ても甲府は、右サイドから攻めて、岡山も同サイドである左サイドから攻めようとしていることが分かりますね。

 これが、岡山の右サイド守備に隙がなくて、左サイドから攻められることが多かったのか。その辺りまでは、流石にデータで負えないもののこの攻防の結果として、ボールロスト位置がどうなっているのか次の図を見てみましょう。


ボールロスト位置

ボールロスト位置(甲府)


ボールロスト位置

ボールロスト位置(岡山)


 見ての通り、甲府の右サイド。岡山の左サイド。つまり、岡山から見て左サイドでの攻防が激しく、攻守の入れ替わりの激しかった事が分かりましたね。


 この辺り、開幕戦の1試合だけではあるものの、岡山視点では、メンバー編成で、主体とするサイドのチェンジや、動き方や対応をかえることもあるでしょう。


 逆に、右サイドを攻められた時に、同じようなタフな守備ができるのか。もしくは、14田中 雄大を右IHにシフトして対応していくのかという点には、注目したいですね。


 その時に、WGの選手の活躍がどうなるのか?


攻撃スタッツ - チアゴ アウベス

攻撃スタッツ(7チアゴ・アウベス)


攻撃スタッツ - 宮崎 幾笑

攻撃スタッツ(10宮崎 幾笑)


 この試合では、ボールにあまり触れなかった10宮崎 幾笑が、7チアゴ・アウベスが、攻撃で圧倒的な個の力を魅せたものの、今後は、逆になる可能性も、もちろんある。


守備スタッツ - チアゴ アウベス

守備スタッツ(7チアゴ・アウベス)


守備スタッツ - 宮崎 幾笑

守備スタッツ(10宮崎 幾笑)


 バランスの良い10宮崎 幾笑と、ブロックとこぼれ球奪取に偏りのある7チアゴ・アウベス。高い位置でプレーの多かった7チアゴ・アウベスの前から行く守備ができたのか、密集地帯だったのか、逆に10宮崎 幾笑は、スペースをケアする守備であったのか。

 この辺りも今後の試合を見て行く中で、見極めたい。


 このWG2選手の対比してみたが、今後の試合で、攻撃では、サイドチェンジを組み入れる事も考えての活性化やビルドアップ力のアップで、得点力を高めたい。

 今回は、そこまで触れなかった守備では、どうプレスを整理していくのかというのが、ポイントと言えそう。


4、個人スタッツ(甲府)


攻撃スタッツ - 松本 凪生

攻撃スタッツ(20松本 凪生)


攻撃スタッツ - 石川 俊輝

攻撃スタッツ(26石川 俊輝)


 甲府のボランチ2人。中盤が4枚から3枚になったことで、スペースが生じやすく、やはり攻守で一定の自由を許してしまっている。

 この辺り、整備して行く中で、改善はしていくと思うが、どちらかと言えば、ビルドアップを強化する中で、守備機会を減らして、木山 隆之監督の目指す相手陣地でプレーすることで、守備を安定させるというのが、一番の理想的ではある。


攻撃スタッツ - 山本 英臣

攻撃スタッツ(4山本 英臣)


守備スタッツ - 山本 英臣

守備スタッツ(4山本 英臣)


 足を滑らせて、批判の的になっているものの、この試合では、岡山の選手も何度か足を滑らせている。この辺り、ピッチコンディションなのか、寒さの影響なのか、緊張なのか。何れせよ滑った位置とタイミングが悪かった。

 そういった声を目にする中で、41歳という衝撃の事実を知った。確かに、甲府というチームで、4山本 英臣という選手の名前を何度も聞いてきた。フィジカル的には、厳しい部分はもちろんあると思うが、90分間走り切れるのは、流石であるし、ビルドアップの中心として、精神的支柱として、ピッチでプレーする事に意味は見出したということではあると思う。

 昨シーズンも20試合出場しており、鉄人であることは間違いないだろう。


 この試合でこそ、経験をフィジカルやテクニック、開幕の緊張感の中で、こういった結果になってしまったかもしれないが、コロナの影響を必要最低限する中で、アウェーの甲府戦の日を迎えた時には、この試合と違った4山本 英臣という選手を中心とした甲府と当たる可能性も十分ある訳で、1試合しか消化していないという事で、浮かれずに次節を迎えて欲しい。


攻撃スタッツ - ウィリアン リラ

攻撃スタッツ(10ウィリアン・リラ)


 岡山の守備がまだまだであったこともあり、結果的にアシストを許してしまった。5柳 育崇と23ヨルディ・バイスの2人を手玉に取ったシーン。色々と考えるところがあるものの、やはり個で負けるという厳しいと感じた。後半戦では、恐らくここまで運ぶビルドアップは、強化されているでしょうし、やはり怖い選手。


攻撃スタッツ - 関口 正大

攻撃スタッツ(23関口 正大)


 岡山の左サイドで、どれだけ自由を許したか分かるデータ。驚異のクロス9本。こんなスタッツは、有馬ファジでは見たことはない。こういった数値を残されていた中で、良く1失点に抑えられたというのが、正直な所。確かに怖いシーンは多かった。内容的には、負けていても不思議ではないが、個の力が大きかったが、流れ次第では、逆の展開もあったかもしれないと感じた。


5、個人スタッツ(岡山)


攻撃スタッツ - 本山 遥

攻撃スタッツ(26本山 遥)


守備スタッツ - 本山 遥

守備スタッツ(26本山 遥)


ヒートマップ - 本山 遥

ヒートマップ(26本山 遥)


 ルーキーながら、抜群の安定感であった。ビルドアップも簡単ではなかった筈ではあるが、本職がSBとは思えない、パス成功率も約9割。シュートもファインセーブされてしまったが、簡単なシュートではなかったとは思うが、落ち着いてしっかりミートしていた。

 守備では、開幕戦で、チームとして未完成で、守備機会が多かった事で、判断ミスが生まれたシーンもあったが、79分でデビュー戦である事を考えると、ヒートマップを見ても、バランス感覚も良かった。


 この試合の出来自体は、26本山 遥のポテンシャルを考えると、良くて80点ぐらいかもしれないが、今後の試合では、90分間出場を目指していく事と、判断力の更なる向上で、4-3-3のキープレイヤーになって欲しい。


攻撃スタッツ - 佐野 航大

攻撃スタッツ(22佐野 航大)


守備スタッツ - 佐野 航大

攻撃スタッツ(22佐野 航大)


 18分の出場時間とは思えないぐらいの存在感を魅せた。15ミッチェル・デュークや19木村 太哉の推進力に助けられた部分こそあったが、ゴールに迫る積極性や献身的な守備は、今後に可能性を感じるものであった。世代別代表でも結果を残せる選手になって欲しい。そして、岡山の星になって欲しい。


攻撃スタッツ - 川本 梨誉

攻撃スタッツ(20川本 梨誉)


守備スタッツ - 川本 梨誉

守備スタッツ(20川本 梨誉)


ヒートマップ - 川本 梨誉

ヒートマップ(20川本 梨誉)


 心身共に元気が有り余るほどの若さがあった20川本 梨誉ではあるが、この試合では、献身的な守備が光った。ファーストディフェンダーとして、1トップとして責任と覚悟を感じるプレーが、随所に見て取れた。

 今後は、チームとして彼のテクニックや決定力という部分を活かすためにもチームとしての完成度を高めて欲しい。


6、総括


基本スタッツ

基本スタッツ


ゴール期待値

ゴール期待値


 ゴール期待値は、シュート数が多い方が高くなる傾向にあるが、枠内シュートやプレーエリアなどから、こういったゴール期待値になったのかではないかと予想できる。


 ただ、この内容で、勝ち続けるほど、J2は甘くなく、チームとして成長力や伸びしろが、最後には問われて行くこととなる。

 そういった意味で、抜群の安定感の誇る甲府にこのスコアは、期待感が高まったが、手放しでは喜べないのも事実。


 甲府は、コロナの影響をかなり受けていて、ベストメンバーではなかったというのも大きく、試合の方も、先制したのは甲府であり、繰り返しになるが、すぐに同点に追いつけなければ、逆の展開もありえたかもしれない。


 ゴールの内容やスコア、明らかに昨季までのサッカーの違いに期待度は、かなり高まったが、一転内容は、昨年の有馬ファジの方が良かったかもしれない。

 そういった意味で、甲府は強いチームであることは、ここまでのデータのフォーカスやファジアーノにフォーカスでも語ってきたところではあるが、運が良くても得点できなかった岡山が、運が良ければ、得点できるチームへと変貌しつつあることは、唯一残り41試合で、期待していってもいい点であると断言できる。


 今後の岡山の躍進に期待したい。そして、次回のアウェーの甲府戦では、両チームベストの状態での対戦を心から祈ると同時に、対戦が楽しみである。


文章=杉野 雅昭(text=Masaaki Sugino)、図(データ)=SPORTERIA様


2022ファジアーノ岡山にフォーカス7 J2:第1節:H:ファジアーノ岡山vsヴァンフォーレ甲府 「戦術を超えた個の力で掴んだホーム通算100勝目」 は、こちら(別サイト:note)。

URL:https://note.com/suginote/n/n3b334eddf18c