1、前置き


今回は、26本山 遥にフォーカスを当てたデータでフォーカスです。大学時代は、右SBとCBもできる選手として、


関西学生サッカーリーグ1部(2021年)の優勝に貢献し、


個人としても


最優秀選手賞(2021年)、優秀選手賞(2021年)、ベストキャプテン賞(2021年)


を受賞した実力を徳島戦でも遺憾なく発揮。データではどう出ているのかというのに今回は、フォーカスを当てたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。


受賞に関する公式情報は、こちら(別サイト)。

URL:http://www.jufa-kansai.jp/meet/student/21_pdf/hyo_1.pdf


フォーメーション図

フォーメーション図(岡山)


フォーメーション図

フォーメーション図(徳島)


2、信頼できるパスの中継地点


 ANの選手である以上、CBやIH、SBといった全方向からパスの重要な選択肢となる。その中で、どれだけ独立性を保てるかというのはポイントとなる。選手の距離感が近ければ、展開も難しく、そこでプレス網に引っ掛かってしまうこととなる。遠すぎてもパスの成功率が低くなるリスク。前掛かりであれば、ショートカウンターに沈むリスクもあり、低すぎれば押し返す力という部分でも物足りなく感じるのも事実かと思います。


攻撃スタッツ - 本山 遥

攻撃スタッツ(26本山 遥)


もっと多く絡みたいのも事実ではあるもののパスの成功率は、約8割。パスコースを作るポジショニングには、課題があるもののパスを受けた時の捌きや展開という面では、信頼のできる数値となっている。


攻撃スタッツ - 櫻井 辰徳

攻撃スタッツ(27櫻井 辰徳)


 徳島とは、同じ4-3-3とはいえ、志向する方向性は近い物があっても現在のサッカーの内容自体は別であり、全く違う色のサッカーのため、同じANでも求められるものと、攻撃の関与率がそもそも違うものも目指すべき役割としても、ここに迫る数値は、26本山 遥も目標にしていきたい。


 それにしてもパス成功率も9割に迫る勢いですし、ラストパスやシュートも2本。岡山のサッカーで、ANでここまで関与できるようになれば、チームとしてより高みを目指せるかもしれない。


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(岡山)


 26本山 遥の平均ポジションが、中央にどっしりと構えるというよりは、状況に応じて、ポジションを移している。守備対応に追われた事で、主体的にボールを保持して、ビルドアップに関与することがなかなかできなかった事が現れている。近くに味方選手がいることも、2人で対応して、奪ってマイボールを確保するためのパス交換が行われていたことを示唆するデータとも言える。4-4-2の守備ブロックを布いていたこともあり、4-3-3らしくない平均ポジションとなった。


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(徳島)


 一方で、徳島のANである27櫻井 辰徳は、奇麗なパスワークの中央にしっかりポジションを取れている。状況に応じて、色々な選手へとパスを散らせており、プレスが来た時も捌きも安定していて、前を向けた時の展開力の高さも感じるデータとなっている。


 岡山が、主体的に攻めるためには、流石にプレースタイルが違うために、ここまでは無理でもANがどれだけ、パスの中心になれるかは、今後問われることとなるだろう。そういった意味で、目指すべきAN像の1つとして、徳島の27櫻井 辰徳の攻撃におけるデータは、頭に入れておきたい。


3、ゴールへの侵入を阻止する本山丸


 26本山 遥の一番の武器は、やはり高い対人守備の力である。それを示すデータがある。


守備スタッツ - 本山 遥

守備スタッツ(26本山 遥)


 驚異的な守備スタッツを記録。タックルの成功率も高く、クリアも10に迫る勢い、セカンドボールへの意識も高い。ファウルが2で、警告も1を記録しているが、ブロック数が0という数値から、能動的な守備が得意であることが感じられる。


 後方のCBとGKである3選手を城と例えると、23ヨルディ・バイスと5柳 育崇、31梅田 透吾が、どっしりとゴールを守る中で、26本山 遥は、迫り来る攻撃に対して、真田丸のように、時には打って出る防波堤として、機動力や柔軟性を発揮し、運動量で、後方の守備を安定させることで、2試合で、2失点という守備への貢献の大きさに繋がっている。


守備スタッツ - 櫻井 辰徳

守備スタッツ(27櫻井 辰徳)


 26本山 遥になかったブロック数を2回記録。毀れ球奪取も2回記録しているが、どちらかと言えば、スペースを埋める守備や、受動的な守備が主体であったことが分かるデータとなっている。


 この辺り、対戦相手のサッカーによっても変わって来るが、同じポジションではあるが、対称的なデータとなっている。


4、役割の明確化


 26本山 遥が、能動的な守備を90分間ハードに続ける事で、城と例えた中で、CBの2人のデータがどうなっているか、確認してみよう。


守備スタッツ - ヨルディ バイス

守備スタッツ(23ヨルディ・バイス)


守備スタッツ - 柳 育崇

守備スタッツ(5柳 育崇)


 見ての通り、ゴール前へ入って来たボールに対して、跳ね返す事に集中できている。徳島がクロスを多く入れてきたこともあるが、それでも1対1での対応や、釣りだされるという対応が少なかった事やライン自体が低くなっていた事も関係しているが、その結果、裏を突かれての対応も少なくなっている。


 このように26本山 遥が、真田丸ならぬ本山丸で迎撃することで、守備のバランスが大きく崩れることなく、CB、SB、IH、GKを含めた選手と巧く連携して、役割が明確化された上で、守備ができていることが分かる。


5、ボールロスト位置でみる存在感


ボールロスト位置

ボールロスト位置(徳島)


 ゴール前での2CBのコンビと26本山 遥の跳ね返す力の大きさを感じる。


ボールロスト位置

ボールロスト位置(岡山)


 バイタルエリアでのボールロストはなく、奪う力という部分での26本山 遥と27櫻井 辰徳のプレースタイルや違うや、そもそものゴール前への侵入する両チームの力の差を感じる。


6、試合総括


基本スタッツ

基本スタッツ


 26本山 遥のデータが、そのまま反映されたのではないかと錯覚する基本スタッツ。今後のデータ次第ではあるが、26本山 遥を中心に見ていると、岡山のサッカーの方向性や、チームの出来の良し悪しが見えてくるかもしれない。その辺りを含めて、今後の26本山 遥には、注目したい。


ゴール期待値

ゴール期待値


 まさに、内容を覆すゴール期待値。この数値から見えてくる事は、ゴール前に入っていくアクションの岡山の成功率や、徳島のゴール前に入っていく攻撃に対しての、跳ね返す力の大きさが、データとして現れていると言える。


 この期待値をみて、23ヨルディ・バイスと5柳 育崇が跳ね返して、26本山 遥が侵入を許さず、攻撃では、7チアゴ・アウベスの突破や、15ミッチェル・デュークのポストプレーや、10宮崎 幾笑への裏への抜け出しという部分で、ゴールに迫れたことが分かる。


 徳島の高いポゼッション率に対して、徳島にやりたいサッカーをされていた印象こそもったが、最後の所で、お互いに踏ん張ったことが分かるデータと言える。


 今回のフォーカスでは、26本山 遥にフォーカスを当てたが、今後の試合でも気になった点にフォーカスを当てて行きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。


文章=杉野 雅昭(text=Masaaki Sugino)、図(データ)=SPORTERIA様


2022ファジアーノ岡山にフォーカス8

J2:第2節:H:ファジアーノ岡山vs徳島ヴォルティス

「ファジが1つになるために」

は、こちら(別サイト:note)。

URL:https://note.com/suginote/n/na2266f0a97cd