1、藤枝戦のテーマ~堅守~


 まずは、この2つのデータを順番にみていきましょうか。


基本スタッツ

基本スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


 シュート数は、藤枝の方が多いですよね?枠内シュートも藤枝の方が多いでしょう?


 でも不思議なことに次のデータを見てみると…


ゴール期待値

ゴール期待値(図=figure:SPORTERIA提供)


 岡山の方が常にゴール期待値が高いですよね?終盤に追い上げられてますが、皆さんは何故だが分かりますか?


 数字の問題ですが、実は難しく考える事はないんですよ。どんな時にゴール期待値が伸びるのかを考えると分かり易いです。無人のゴールにほぼゴールラインから蹴り込めば爆上がりするんです。つまり、遠くなれば遠くなるほどゴール期待値は下がります。そして、ゴール前に守備する人数が多くて、シュートコースが狭くなるか、シュートコースが少なくなると、ゴール期待値は下がるんです。


GKスタッツ - 内山 圭GKスタッツ - スベンド ブローダーセン

GKの個人スタッツ21内山 圭 選手 & 49スベンド・ブローダーセン 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 つまり、被(枠内)シュート数の差の逆転の秘密こそ、岡山の堅守の秘密があると言えそうですね。ということで、今回は、難題の岡山の堅守の秘密の欠片を探しましょう!です。ということで早速、一緒に考えてというか、数値を整理していきましょうか。


2、岡山の誇るDFリーダー



守備スタッツ - 田上 大地守備スタッツ:18田上 大地 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 このクリア7回が、何を意味するかなんですよね。皆さんはどう考えられますか?


 私は、18田上 大地 選手は、予測の守備が上手い選手だと思っていますが、実は純粋な対人守備だともしかすると、55藤井 葉大 選手にも負けてしまう部分もあるかもしれません。


 CBって不思議なポジションで、スピードがない選手でもスピードのある選手を止めたり、パワーのある選手を抑えたり、高さのある選手にポストプレーをさせなかったりできる。そういった見えない部分を守る力に変えやすいポジションだと思っています。


 このクリアは、そういった経験則に基づいた予測の守備が、(劣勢であったこともありますが)クリアとして少し出たんじゃないかと思うんですよ。DFラインの真ん中に、状況を正確に把握出来て、自分のプレーだけではなく、味方にもコーチングを出せる選手。それが、まさしく18田上 大地 選手であり、DFリーダーという言葉がありますが、18田上 大地 選手そのものですよね。


 このクリアとして、数値に残らないプレーの中にシュートコースを消すポジショニングだったり、シュートそのものの選択肢を消す守備対応であったり、味方への的確なコーチングで、連動した守備ができるんです。


 最後に49スベンド・ブローダーセン選手もいるもあるんですけど、今の岡山に、18田上 大地 選手が、最後にいることで、思い切って寄せに行けたり、プレスにいけるという部分があるんじゃないかと思うんですよ。


 18田上 大地 選手を中心とした予測の守備こそが、岡山の守備の一歩も早くする堅守に繋がっていると思いますね。


 こういった部分を巧く表現できないかとファジ造語を考えて、表現してみました。


『 ≫≫田段陣地≪≪ 』

 「多段構え」の防壁と、隙を少なくする戦術的な「防御陣形」に、18田上 大地 選手の名前から、「田上=田んぼの上」では水があることで、自由に動けない。そして、「大地=広大な土地」であることで、広範囲にその守備の連動が及びという意味、そして地に足が付いた意味を全て込めることで、18田上 大地 選手の守備が、複数の守備戦術と強固な壁を構築された上で、隙の少ない堅守で、統率された守備ができる事を示すファジ造語2024です。



3、難攻不落の岡山の前線基地


 この試合こそ、シンプルに対戦チームである藤枝の方が、シュート数を岡山よりも多く打たれてしまいましたが、守備の回数が少ないことや守備が始まる位置が、ゴール前により遠いことで、良い守備の形を作る事ができます。


 そこの部分の岡山はどうでしょうか?ちょっと、関係してそうな選手のデータを見て欲しいです。


攻撃スタッツ - グレイソン

攻撃スタッツ:9グレイソン 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 そう、9グレイソン 選手です。実は、開幕前に岡山サポーター以外の他クラブのサポーターの方などの評価が低かった9グレイソン 選手。開幕してからここまでのプレーを観る限り、歴代最強とも言える万能ストライカーと言えるでしょう。


 まず、攻撃ですが、なかなか決定力という部分では、正直なところ他クラブの助っ人外国籍選手と比べてしまうと、物足りない部分はあるとは思いますけど、その部分も期待できる巧さがありますし、何より彼には、ポストプレーという最大の武器があります。


 今季の岡山は、スペースやサイドに蹴るという高い・強いCBを避ける選択肢をとらないでいいことで、収める事が難しい中央でも起点を作る事ができるようになりました。仮に収める事ができなくてもDHやシャドーで、しっかり拾えることができるんですよね。加えてオフサイドが少ない事で、チームとしての流れを切れないのも攻守でのチームの好プレーに繋がっていると思います。


 また、セカンドボールの回収の後のプレーも含めて、ボールをどちらが持つかの攻防があることで、後方の陣地(陣形)回復を図る時間が作る事ができることも岡山の守備が安定しているポイントと言えるでしょう。


 そして、9グレイソン 選手は、守備も良いんですよね。


守備スタッツ - グレイソン

守備スタッツ:9グレイソン 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 攻撃だけ凄いとか、守備に良く走るとか。どちらだけ凄い選手は今まで多く見てきましたけど、9グレイソン 選手はどちらもハイレベルできる。


 前線で、攻撃だけではなく、ハイプレスをかけることもコースを消す守備もできて、ハードワークできて、体を張れる。本当に素晴らしいフォワードの選手である。


 このスタッツを見ての通り、こぼれ球奪取の6回は、凄まじいですね。前線で、攻撃の起点となれて、守備でも攻撃の前進を阻んだり、遅らせる事ができる。


 そして、9グレイソン 選手には大きな武器があります。



ヒートマップ - グレイソン

ヒートマップ:9グレイソン 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 過度に動きすぎないことです。中央にどっしり構えてくれるので、DFラインを上げる事に圧力をかけられますし、シャドーの選手が裏に抜けていくことに集中できますし、DFラインからの縦パスするコースをシャドーと連携して消せる。いわゆるプレスで嵌めることができなくても、サイドに経由させたり、後で回させる。もしくは、ロングパスを蹴らせることができる。


 ここが、9グレイソン 選手のもう1つの武器でもあって、岡山のDHは、セカンドボールを回収できる運動量と回収できてスペースを埋める感覚に優れる選手が揃っている。


 そう考えると、岡山には、難攻不落の前線基地があるんです。


 そして、この前線基地のあるゾーン(エリア)を、9グレイソン選手の名前とゾーンを合わせて「グレイZone」というファジ造語2024として、考えてみました。


『 ≫≫グレイZone≪≪ 』

 岡山の最前線のDFラインと中盤の間のエリアで、9グレイソン選手がプレーするエリア。ここで、攻撃で、起点を作ることができて、守備では、対戦チームの前進を阻んだり遅らせることができる。9グレイソン 選手のこうしたプレースタイルとプレーエリアは唯一無二で、岡山の堅守を支えるだけではなく、岡山の流れの切れない攻撃を可能とする。まさにその様子は、難攻不落の前線基地のエリアで、本来は対戦チームが有利なエリアだが、五分五分に持ち込める本来の意味も含めた効果を比喩して創ったファジ造語。


4、最後に~頂を目指して~


 連戦という事もありますし、長くなりそうで、今回のデータでフォーカスをここで、終了しようかなと。探せばまだありそうなんですが、ファジ造語を考えるのに大分時間を使ったので、残り2試合に備えて、今回はここまでで終えたいと思います。他の堅守ポイントについても発見できたら、また違う試合で紹介できるかもしれません。


 データは、奥深いですし、そこをどう解釈するかは、人それぞれだと思います。私は、サッカーに言葉の奥深さや、人の感情や想いについても語ることで、サッカーの魅力を色々な視点で、語っていくスタイルですが、より深い視点でサッカーを観る事ができれば、もっと発見できることもあるかもしれませんし、より表現の上手い方であれば、もっと良い言葉で表現できるかもしれません。


 ただ、戦術的考察もしっかりできるように、もっと良い表現ができるように、もっと色々な視点でサッカーを捉える事ができるように、多くの試合を観て、色々な経験をして、もっと良いレビューを書けるように、皆さんと共に勉強したいと思っています。


 サッカー観戦は、記者の方を覗いて、物事の根幹としては、「趣味」ではあるのですが、スポーツという性質上、どうしてもそこには嬉しいことや楽しいことだけではなく、辛いことや悲しいこともあります。しかし、そういったサッカーの「喜怒哀楽」を全て、私は、サッカーというスポーツに心惹かれています。そういった魅力を、スギさん的表現で言葉で表現できるレビュアーを目指したいと思っています。


 「頂」を目指す監督・選手の戦いを、今季も最後までお伝えしていく。そういった所信表明したとこで、今回のレビューを終えたいかなと思っています。


 最後まで、読んで下さり有難うございました。


文章・図(基本情報)=杉野 雅昭

text・figure=Masaaki Sugino

図=figure:SPORTERIA提供


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