1、前置き~課題と方向性~


 チームとしてシャドーの選手が不足している中で、3-4-3のFWの3の部分での試行錯誤が続いている。現状の最適格こそ見つかっていないが、19番 岩渕 弘人 選手が復帰すれば、解決するという問題でもなく、90分間の中での総合力を高める戦いができないと、清水と長崎についていくことすらできないだろう。


 その中で、岡山の工夫や修正がそのFWの3選手のヒートマップから見て取れた。


2、やや右CFとOHを兼ねるグレイソン選手


ヒートマップ - グレイソン

ヒートマップ:9番 グレイソン 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 MF型の19番 岩渕 弘人 選手と27番 木村 太哉 選手が、間で受けるポジショニングをしていたが、3枚の内2枚をFW型の選手が担うようになったことで、9番 グレイソン 選手が、ポストプレーではなく、シャドーで受けるというタスクもこなすようになっている。


 ここで、周りが連動して、その周りでパスを貰い良い関係で、サイドを使うなり、中央を力で崩すなりできれば、良いが現状は、チームとして共有がまだできていない。


 18番 田上 大地 選手の失点に繋がったミスパスにしろ、開幕の時であれば、19番 岩渕 弘人 選手が受けていたエリアではないかと思う。2つの役割を担うことで、どちらかの役割ができていない時間帯がある。この辺りチームとして、この関係性を確立できていない事をここからも感じる。


 この役割が悪いのではなく、もう少し時間をかける必要があるという事であり、8番 ガブリエル・シャビエル 選手の復帰や11番 太田 龍之介 選手の復帰で、チームの変化にチームとして対応し切れていない現状が浮き彫りとなっている。


3、ルーキーとして左CFとしてこれからの太田 龍之介 選手


ヒートマップ - 太田 龍之介

ヒートマップ:11番 太田 龍之介 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 左シャドーとしては、少し高めで、左CFと表現しても差し支えないでしょう。9番 グレイソン 選手や99番 ルカオ 選手と、競り合いで被らないようにするために、プレーエリアを限定すること自体は悪くない判断であったと思います。


 ただ、だからと言って、急に連携や関係性まですぐに良くなることはない。キャンプでほぼ戦術練習できなかった埋め合わせを公式戦でやっていくしかない。それでも彼の1つ1つのプレーを見てもしっかり空中戦で競り合えていて、ハイプレスをできる体力もある。体を使った味方を活かすプレーもある。惜しいシュートもある。


 多少の勝ち点を失っても彼を上手く起用していく中で、成長を感じる内容と勝ち点を積み重ねるという結果の両チームを目指すというのは、長い目で考えれば決して悪い判断ではないと思う。


 また、チームとしていろいろな事にトライすることで、戦術的な幅が広がるだけではなく、11番 太田 龍之介 選手の武器が増えるという事にもつながるはずだ。


 理想としては、9番 グレイソン 選手と同じ役割を8割でも良いのでこなせること。そして、その9番 グレイソン 選手を組む時には、二人の関係性や距離感を掴むことで、2人で崩せるようになることが理想である。


 持っている力を考えれば、まだまだやれるはずですし、9番 グレイソン 選手と以外の関係性も試合を重ねていくことで、徐々に改善できるはずだ。


 今回は、左CFという役割のみに専念することで、改善が見られた試合となったが、連携を深めていくことで、ポジションチェンジや違う役割を含めて、個人としてもチームとしてできることを増やしていって欲しい。


4、直感で自由に振る舞うOH兼右WGの木村 太哉 選手


ヒートマップ - 木村 太哉

ヒートマップ:27番 木村 太哉 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 ほぼ右WGと言っても差し支えない振る舞いができた試合であったと思います。得点にこそ繋がらなかったですが、右のスペースに飛び出してのクロスや1対1を突破してのクロスというシーンを何度を作ることもできた。


 一方で、守備の時にOH。つまりトップ下のような位置にポジションを取って、潜るようなポジショニングをしていることもあった。9番 グレイソン 選手と27番 木村 太哉 選手は、開幕の時から一緒にプレーしており、気が利く9番 グレイソン 選手が、しっかり感じ取って、その棲み分けというのは、しっかりできていたように感じる。


 ただ、クロスとして成功しなかったのは、右SBの19番 尾崎 優成 選手の高さもあったはずだ。できれば、左サイドから形を作れればよかったが、そういったシーンを前半になかなか作れなかった。


 それでもやることがシンプルであっただけに27番 木村 太哉 選手の良さも出た試合で、以下のスタッツを見て欲しいが、前半だけでクロス数5本を記録できたのは、収穫と言える。


攻撃スタッツ - 木村 太哉

攻撃スタッツ:27番 木村 太哉 選手


5、3選手の関係性から見えてくるもの


 9番 グレイソン 選手が、両翼の2選手をフォローするためにシャドーの役割を1人で担いつつ、CFの役割をこなしている。いくら9番 グレイソン 選手がスペシャルな選手であったとしても1人であることに変わりなく、どこまでダブルタスク、もしくはトリプルタスクのように、彼の判断やプレーに頼っていいのか。


 ただ、ここまで整理してきた通り、連携不足や戦術理解への遅れが目立つ11番 太田 龍之介 選手とあまり複雑なタスクをこなせない27番 木村 太哉 選手と組んでいる以上、万能FWの9番 グレイソン 選手に頼ってしまうのも仕方ないと感じる。


 こうして整理してみると、ちょっと無理をしているよな攻撃の形を、どうまとめるんだと感じてしまうが、まさにそれが、攻撃の停滞として、ゴール期待値にも出ていた。


ゴール期待値

ゴール期待値(図=figure:SPORTERIA提供)


 観ての通り、退場者が出るまでは、チームとしての攻撃の形をなかなか作れていなかったことが、はっきりと見て取れる。


6、一人多い時間帯の攻撃をヒントに~総括~



 緊急時であったが、4-1-2-3の形が結果的に機能していた。3-4-3をベースにしつつも1つのオプションとして有力ではないかとも感じた。


ヒートマップ - ガブリエル シャビエル

ヒートマップ:8番 ガブリエル・シャビエル 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


ヒートマップ - 仙波 大志

ヒートマップ:44番 仙波 大志 選手(図=figure)


 観ての通り、4-1-2-3の2の所が、自由に動くことで1人多い状況を上手く活かすことができた試合でした。ただ、同じ人数だと守備のバランスが崩れることもあると思いますので、3-1-4-2のような昨シーズンの形を臨時で採用するのも1つではないかと感じます。


 あくまで、チームとして3-4-3を極めていくことが理想かと思いますが、怪我の選手を含めて、チームとしてかなり厳しい状況であると思いますので、25番 吉尾 虹樹 選手の状態次第では、サイドから素晴らしい突破を見せていた44番 仙波 大志 選手の左WB起用も検討せざるえない状況ということもあり、チームとして打てる手は何か。今一度、準備して秋田戦を戦う必要があるでしょう。


 チームの中で個性が輝く、虹色の戦術(レインボータクティクス)を取り戻せる木山マジックに秋田戦は、期待したい。



2024ファジ造語No.7

『 ≫≫虹色の戦術(レインボータクティクス)≪≪ 』

 個性豊かな選手を適材適所で起用して、個性×個性の攻守のプレーの幅や深さで、対戦クラブの戦術の多くへの対応して戦えるだけでなく、試合毎に相性の良い選手が、持ち味を発揮して、攻守で安定した戦い方をすることができる。その個性の戦術の色の可能性はまさに虹そのもので、虹色のように個性が耀き、雨の後の晴れのような勝利に繋げることができるファジの戦術の事を指すファジ造語。


2024ファジ造語No.3

『 ≫≫木山マジック≪≪ 』

固定概念を作らない木山 隆之 監督の自由で大胆な決断により、チームを勝利に導くことができる試合采配や選手起用を指すファジ造語。誰にも思いつかない自由な発想と大体な一手で勝利を手繰り寄せてきた将棋で一時代を築いた羽生 善治先生の一手が「羽生マジック」と呼ばれていたが、そこに由来して、「木山マジック」と命名した。22シーズンは、サポーター間でも浸透した。24シーズンでも聞きたいワードですよね。


文章・図(基本情報)=杉野 雅昭

text・figure=Masaaki Sugino

図=figure:SPORTERIA提供


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