1、左CBと左WBの関係性


 こちらのフォーカスは、久しぶりですね。今回は、直感重視のフォーカスでも少し触れたのですが、守勢に回った理由の1つとして、55番 藤井 葉大 選手のポジショニング(タッチ位置の平均)にあるのではないかという予想に関する考察となります。データ的には、一目瞭然ではあったのですが、これが守勢に回ったためか、それとも意識や連携、実力に起因するかどうか。つまり、原因が、岡山の3選手に比べた時の変化と言えるかどうか。それとも熊本にあるのかどうか。そこまでは、流石に断言できないのですが、1つの理由としては、ここまではっきり出ていたのかというぐらいのデータとして出ていました。それでは、まずは、今回の試合についての簡単なデータを紹介した上で、本テーマに繋げていくという流れで、進めていきたいと思います。


2、データ的にも岡山優勢のゲーム


基本情報図(図=figure:杉野 雅昭=Masaaki Sugino)


基本スタッツ

基本スタッツ(図=figure:SPORTERIA提供)


ゴール期待値

ゴール期待値(図=figure:SPORTERIA提供)


 シュート数とゴール期待値を見てもワンサイドのゲームのようでしたが実は僅差というゲームでしたが、今回のテーマは、何故点が取れなかったのではなく、55番 藤井 葉大 選手が入ってから熊本に流れを渡したように感じてしまった理由に関する考察です。ちょうど60分辺りから、岡山のゴール期待が伸び悩んでいたところですね。


 データを見ても、この時間帯は、守れていたものの熊本に流れが行って、逆の展開になっても不思議ではなかったですが、最後の魂の17番 末吉 塁 選手のゴールで勝利したというゲームでしたね。


 では、何故そういったことになってしまったのか。次の章で、はっきりデータとして出ていたので、観て欲しいです。私の予想は、ポジショニングでしたが、見当はずれという訳ではなさそうでした。



3、主軸選手と新人選手の現在地~守備範囲~


ヒートマップ - 鈴木 喜丈

ヒートマップ:43番 鈴木 喜丈 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 観ての通りSBというかWBという感じのでヒートマップになってますよね。守備的観点では、3バックの左CBとして、17番 末吉 塁 選手の背後を完全にカバーした上で、攻撃に絡めていることを示すデータです。


ヒートマップ - 藤井 葉大

ヒートマップ:55番 藤井 葉大 選手(図=figure:SPORTERIA提供)


 出場時間は、半分とはいえ、フレッシュな状態で、これから攻撃に移るという場面としては、(43鈴木選手と比べてしまうと)少し寂しいデータですよね。個人的な大きなポイントとしては、やや内よりになっているということです。これは、43番 鈴木 喜丈 選手の守備範囲が、サイドのライン際まで届いていたのに対して、55番 藤井 葉大 選手の時は、17番 末吉 塁 選手の守備負担が増えていることとなります。


 これでも良しという試合もありますが、この試合で岡山が良かったポイントとして、前から限定できていたことにあるでしょう。17番 末吉 塁 選手のポジショニングがやや守備よりになる中で、熊本にとっては、かなり自由が解放されることとなります。


 前線の選手の並びも変わってプレスがかかり難くなったことも影響していますが、やはり、後ろを3枚で、守って左右のWBも前から守備にいけることで、攻撃に移った時に人数をかけた攻撃もできるようになります。


 43番 鈴木 喜丈 選手が、スペシャルな選手であるので、同じ領域に到達したとしたら、それは、J1レベル(J1からオファーが来るレベル)だと思いますので、高卒ルーキーにそこまで求めては駄目ですが、55番 藤井 葉大 選手の個性が光る形で、そういった武器が出来たらと感じます。


 それこそ、逆サイドの右CBの4番 阿部 海斗 選手の攻撃参加のように、SBのような攻撃での貢献ができるかが、ポイントとなるでしょう。


 次の章では、より深く言及して、まとめに入りたいと思います。


4、縦と横の関係性~指針~


時間帯別パスネットワーク図

時間帯別パスネットワーク図(図=figure:SPORTERIA提供)


 この図を観ての通り、43番 鈴木 喜丈 選手と17番 末吉 塁 選手は、縦の関係。つまりDFとMFの関係が二人で成立していて、MFの役割までこなして、高い位置で、攻撃の組み立てに関与することで、MFの位置で、横の関係にもなっています。


 対して、55番 藤井 葉大 選手の場合は、失点を恐れてか、中よりのポジションになっていることで、斜めの関係になっています。ここを一人でしっかりカバーした上で、熊本のプレスに対して、足下へのパスでなくてもロングパスなりして、打開していかないといけないでしょう。


 現状は、サイドの守備では、17番 末吉 塁 選手のフォローを受けて、5番 柳 育崇 選手の傍で、プレーすることで、守備でも攻撃の組み立てでもカバーしてもらう形でプレーしているのかなと感じます。


 一つの目標として、他のCBを任されている主軸選手のように、広い守備範囲を任された上で、攻撃でも一人で打開できる(組み立てができる)選手へと成長して欲しいと感じます。


 B契約やA契約になったとしても、出場機会を重ねる中で、バイエルンへの移籍の噂がある伊藤 洋輝 選手みたいな選手になれる可能性もあるのではないかと感じています。


 それこそ、後半の15分~30分では、まだ高い位置で、17番 末吉 塁 選手と縦の関係で、サイドよりになっていますから、43番 鈴木 喜丈 選手に近い役割に挑戦していましたが、修正したとも読み取れますから、そういった意識の高さを含めて、今後の成長と活躍が楽しみですし、佐野 航大 選手に続いて欲しい選手ですよね。


 最後まで読んで下さり有難うございます。感想をコメント欄か、Xにいただけると嬉しいです。


文章・図(基本情報)=杉野 雅昭

text・figure=Masaaki Sugino

図=figure:SPORTERIA提供



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