ACL帰りでコンディションの厳しいマリノス、

なかなか難しい試合でしたが、これを勝ちきったのは大きいです。


名古屋は極端な戦術を採用。


パスソナー・パスネットワーク時間帯別パスネットワーク図


5バックで守備をかっちり固めて、

攻撃は、マテウスともう一人のFWの二人だけで、他の8人はハーフウェイを超えず、得点はセットプレーに期待する、という徹底ぶり。

ただ、そのマテウスの攻撃はさすがで、

・ポストプレーよし、

・ドリブルよし、

・シュートよし、

・クロスよし、

ということで、CKやゴール近くのFKはもれなく大ピンチ。

マテウスのキックは、精度も高く、スピードも早く、鋭く曲がる、ということで、あれは、分かっていても防げない。

ニアを消そうと、手前に一人立つと、ショートコーナーを選択されるという狡猾さ。


ただ、あれだけ極端な戦術だと、柿谷や相馬、金崎、レオ・シルバのような個性的な選手たちは、自分のストロングポイントを活かせないかなあ、という印象もあって、少し残念ではありました。


エリア間パス図


そんな固い守りの名古屋に対して、マリノスは丁寧にパスを回して、少しずつ 少しずつ5バックをずらしていきます。

マリノスは、どちらかというとボールをサイドで運ぶのですが、これだけバイタルエリアで左右に揺さぶって、相手をずらそうとするのもめずらしい。

例えば、以下は、鹿島戦のデータ。

エリア間パス図

これと比較すると、よく分かるように、5バックで閉じこもっているから、外に開く必要はなく、バイタルまでは、中で運べる。でも、最後のところは、単純にサイドからクロスを上げるのではなくて、中をなんとかこじ開ける、というような工夫をしていたと思います。

特に、2点目のシーンは、

https://twitter.com/GoalJP_Official/status/1522852624512720896

藤田から西村に斜めのパスが出て、藤田が斜めにパスアンドゴー。

そこに西村がはたいて少しずらしてからのシュート、と、パス回しで少しだけずらした良いゴールだったと思います。

マリノスの得点は、マイナスのクロスから、ニアとファーに飛び込む、というのが多いのですが、

こういう崩した得点が増えてくると、ますます相手チームは守りにくくなるのではないかと思います。


あと、最後に一点。

データには現れないですが、

マリノスは前半早い時間に岩田が傷んで、藤田に交代します。ここで交代回数1回使う。

さらに前半残り5分で、エウベルが傷むのですが、交代せず10人で戦うことを選択し、ハーフタイムに仲川に交代して、交代回数を温存します。

マリノスは、ハイラインの影響もあって、裏を取られる場面でファウルをするとDOGSOでレッドカードという試合が何度かあって、ひとり少ない状態の試合が少なくないです。

そういう試合でも追加点を取って勝ちきってきた経験が活きていたのかもしれません。

データには現れないですが、ここはマスカット監督の好采配でした。


難しい試合で、

VARとポスト・バーに助けられた幸運な勝利だったかもしれませんが、

試合を十分に堪能できました。