1.はじめに

筆者は、大学生であった4年間のみ名古屋市に住んだことがある生粋の名古屋市民である。その4年間の中で名古屋グランパスが生まれ、ワールドカップ得点王であるリネカー選手がチームの一員になって初来日した際も握手を求めてトヨタスポーツセンターへ赴いた過去がある。

さて2019シーズン途中から、マッシモ フィッカデンティへと監督が変わり2年目のシーズンを迎えた。2019シーズンは、シーズン中の突然の交代であり、戦術を構築する時間が足りなかったと推測する。そしてマッシモ フィッカデンティ監督の戦術は風間前監督のポゼッション志向とは大きく異なるように見える。戦術変更が、結果に対してどのように結びついたのか数字から考察したい。


2.7/4(土)対清水戦の結果

フォーメーション図

 対清水戦フォーメーション図

フォーメーション図を見ると、左右及び左右前方に大きなスペースを作っている。常識的に考えれば、このスペースを活用してゴールを目指すのだと考える。

このスペースを活用するのは、左サイドでは左MF相馬㉗、左SB吉田㉓、右サイドでは右MFマテウス⑯、右SB成瀬㉖ということになる。


まず左サイドを見ていこう。

ヒートマップ - 相馬 勇紀

ヒートマップ - 吉田 豊

左MF相馬㉗、左SB吉田㉓共にフォーメーション図における狙いのスペースを使いプレーしていることがわかる。


次は右サイド。

ヒートマップ - マテウス

ヒートマップ - 成瀬 竣平

右MFマテウス⑯、右SB成瀬㉖共に、左サイド同様フォーメーション図における狙いのスペースを使いプレーしていることがわかる。

フォーメーションの狙いが遂行できている。


このスペースを使うのは前述の4選手だけではない。

トップ下MF阿部⑪である。

ヒートマップ - 阿部 浩之

MF阿部⑪の基本ポジションはセンターであるが、両サイドのスペースを含めて広範囲に移動していることが分かる。

名古屋グランパスの前線の選手がスペースを狙い通りに使えている。そして清水戦ではサイドからの攻撃で2得点を挙げた。


3.2020シ~ーズンと2019シーズンの比較

ここからは2020シーズンと2019シーズンの比較になる。

2020シーズンはまだ2試合しか消化しておらず、1試合の結果が全体に対する影響が大きいが、それでも分かることは分かる。

スペースを使い攻撃するためには、選手が移動しなければならない。ポゼッション志向であれば、人ではなくボールを動かす必要がある。では、2020シーズンは2019シーズンからどのように変化したか。


2020シーズン 115.210km(チーム総距離:1試合当たり)

2019シーズン 110.988km(チーム総距離:1試合当たり)


出典元

Jリーグ公式サイト(https://www.jleague.jp/)

成績・データ(https://www.jleague.jp/stats/distance.html?s=AVG)

2019 成績・データ(https://www.jleague.jp/stats/2019/distance.html?s=AVG)


2019シーズンに比べて、2020シーズンは約4.2km増えている。選手の移動距離が格段に増えている。マッシモ フィッカデンティの戦術変更が選手の走行距離の増加に表れている。


では、戦術変更がゴール数や勝点などの数字に対してどのように影響したのか見ていく。


Footboll LABのSeasonSummaryのデータから一部を抜粋し使用させていただく。


①ゴール数

2019ゴール数 1.3

2020ゴール数 1.0・・・・差-0.3


②シュート数

2019シュート数 14.2

2020シュート数 17.5・・・・差3.3


③パス数

2019パス数 609.0

2020パス数 505.5・・・・差-103.5


④攻撃回数

2019攻撃回数 116.7

2020攻撃回数 119.5・・・・差2.8


⑤1試合平均勝点

2019平均勝点 1.1

2020平均勝点 2.0・・・・差0.9


2020シーズンは

①ゴール数は若干減っている。

②シュート数は増えている。

③パス数は大きく減っている。

④攻撃回数は微増。

⑤1試合平均勝点は0.9増えている。



これらの数字から下記の通り計算すると


⑥シュート1本あたりのゴール数

2019:0.092

2020:0.057

2020/2019(%)=62%


⑦パス1本あたりのゴール数

2019:0.0021

2020:0.0020

2020/2019(%)=93%


⑧攻撃1回あたりのゴール数

2019:0.011

2020:0.008

2020/2019(%)=75%


⑨パス1本あたりのシュート数

2019:0.023

2020:0.035

2020/2019(%)=148%


⑩シュート1本あたりの勝点

2019:0.077

2020:0.114

2020/2019(%)=149%


⑪パス1本あたりの勝点

2019:0.002

2020:0.004

2020/2019(%)=221%


⑫攻撃1回あたりの勝点

2019:0.009

2020:0.017

2020/2019(%)=179%


⑥~⑧のゴールに対する効率性では2019シーズンと比べて2020シーズンは数字が落ちている。

⑨シュートに対する効率性や⑩~⑫の勝点に対する効率性では2019シーズンと比べて2020シーズンは数字が上がっている。

風間前監督のポゼッション志向から戦術が変わり、効率的なサッカーに変貌している。


4.まとめ

ゴールを効率的に奪うことはできていない。しかしながら効率的に勝点を取ることには成功している。2020シーズンは2試合しか消化していないが、現時点では戦術変更が勝点奪取につながっているといえる。