筆者は名古屋グランパスのファンであるが、今回も名古屋のことをレビューするわけではない。前回「交代枠増」についてレビューしたため、データを追加して追記する。
なお、使用する数値データはFootball LABさんから借用した。
シーズン別の1試合当たり出場選手数は下記の通りである。
2019シーズン:第1~34節
2020シーズン:第2~9節
交代枠が増えた影響で出場選手数が増えている。
2019シーズンの平均出場選手数は13.9人であり、1試合で最大14人出場できるため、出場割合は99.3%である。2020シーズンは同様に15.5人、割合は96.9%である。出場選手は増えたが、割合は減少している。
では次に2020シーズンの節別出場選手割合を見ていく。
交代枠が増加し、第3節で約99%まで上昇したが、その後は96パーセント前後で推移している。単純に考えると、交代枠が増えても活用方法がまだわからなく模索している最中なのだろうと推測できる。
次にチーム別の出場選手数を見ていく。
下記グラフは2020シーズン第2~9節までのチーム別平均である。
最も多いのは、目下首位独走中の川崎F、平均出場選手数は16人。要は交代枠を全て使っているということである。チーム別に見ると、交代枠の使い方を模索しているチームとある程度使い方に長けてきたチームが分かれていることが推測できる。交代枠を使えば使うほど順位が上がるということはないにしろ、交代枠の使い方は今後の勝敗のポイントになりそうである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
n_kayさんのコメントを受けて追記します。
改めて出場選手数と勝点の関係を数値化しました。
下記表は2020シーズン獲得勝点別出場選手数の表である。
自分が持っているデータの都合上、第2~9節、FP(フィールドプレイヤー)のみのデータである。
左は出場した全選手数、真ん中は先発選手数、右は交代出場選手数
参考数値として下記に2019シーズンの数値をあげます。2019シーズンは全試合が対象、FPのみが対象です。
この数値をもとに相関係数を求めると下表のとおりになります。
2020、2019シーズン共に相関係数はマイナスです。ということは出場選手が少ない方が獲得した勝点が多いということになります。
最も相関係数が高いのは2020FP交代選手のみの-0.71であり強い相関関係にあります。
2020FP出場全選手は-0.58、2020FP先発選手のみは-0.54であり、こちらも相関関係にあります。
また2019シーズンと比較すると、全ての項目において相関係数が絶対値で大きくなっており、その傾向は強くなっています。
戦術と共に考えれば、単純ですが、少ない選手数の方が戦術浸透度が高くなり勝点も獲得しやすくなる。またケガの観点からすれば、ケガをせず安定的に出場する選手が多ければ、出場選手も少なくなるという図式も浮かび上がります。
コメント(13)
-
SPORTERIAスタッフ
2020/8/20 19:47
こうして並べて見ると、C大阪と神戸、そして柏と名古屋はハッキリ少ないんですね!ビックリしました😲
-
ぴくしー
2020/8/20 22:50
SPORTERIAスタッフさんコメントありがとうございます。横に並べると差が分かりやすく面白いですね。
-
ぴくしー
2020/8/20 22:50
計算が正しいかどうか自信はありませんが、カイ二乗検定を行うと有意差は認められません。よって統計学的には各チームの出場選手数には差がありません。
-
ぴくしー
2020/8/20 22:51
グラフに表れた数字は誤差の範囲内になります。といっても出場選手数は11~16の間で推移し、多くの場合14~16の間に収まりますので、有意差検定を行っても差が出ないのかもしれません。
-
n_kay
2020/8/21 20:29
ちゃんと統計手法を用いて分析されていて素晴らしいと思いました。グラフ縦軸の範囲を0-16で表示すれば大差無く見えるでしょうし、グラフの見た目だけで4チームが少ないと判断するのは誤りかもしれません。検定結果に基づいて差は無いとするのが正しいと思います。
-
ぴくしー
2020/8/23 10:56
n_kayさんコメントありがとうございます。統計学は物事を理解するための強力な武器ではありますが、同時に限界もあります。サッカーではたった一人の交代によって勝敗が分かれることは往々にしてあります。
-
ぴくしー
2020/8/23 10:56
そのような事象に対しては、今回やった分析では有効な結果としては表れないと考えています。多角的に分析することで様々なことが見えてくると思います。
-
n_kay
2020/8/23 18:07
仰る通りだと思います。交代の”質”を分析するのは難しいでしょうね。
-
n_kay
2020/8/23 18:18
少し気になったので出場選手数とチームの勝ち点の相関係数を計算したところ「-0.16で相関無し」となりました。参考になるかは分かりませんが...
-
ぴくしー
2020/8/23 19:18
n_kayさんコメント及び相関係数の計算ありがとうございます。 相関係数-0.16というマイナスの係数が出たことから、もしかしたらシーズン合計の出場選手数と勝点では相関関係があるかもしれません。
-
ぴくしー
2020/8/23 19:19
マイナスという結果から、シーズン合計の出場選手数が少ない方が勝点が多いのかもしれません、ということは多くの選手が出場するよりも、出場選手を固めているチームの方が強いということになります。時間があったら計算してみます。
-
ぴくしー
2020/8/23 19:23
交代の質については、Football LABさんのデータにCBP(チャンスビルディングポイント)というデータがありますので、ここから交代の質を計算できるかもしれません。この件も、また時間をかけて計算してみます。
-
ぴくしー
2020/8/24 22:27
勝点と出場選手数の相関係数を追記しました。