筆者は名古屋グランパスのファンである。

先発メンバーをもとに札幌vs名古屋戦を振り返ります。

負けに等しい引き分けの札幌戦、珍しく大勝した浦和戦をヒートマップ等で比較します。


札幌戦先発メンバーとシステムフォーメーション図

浦和戦先発メンバーとシステムフォーメーション図

先発メンバーは右サイドバック、オジェソク選手と成瀬選手が異なるだけで残り10名は全く同じ顔ぶれ。

またシステムも4-2-3-1と同じである。



札幌戦ヒートマップ - 吉田 豊

浦和戦ヒートマップ - 吉田 豊

大勝した浦和戦よりも引き分けた札幌戦の方が吉田選手のプレー位置は高い。札幌戦は比較的高い位置でプレーし、攻め込んでいることが分かる。




札幌戦ヒートマップ - 丸山 祐市

浦和戦ヒートマップ - 丸山 祐市

大勝した浦和戦の方が濃い部分が縦に長い。引き分けた札幌戦は濃い部分が狭く、ボールに絡む回数が浦和戦よりも少ない。浦和戦のパス成功50回、札幌戦では30回、40%減っている。後方からのビルドアップができなかった。丸山選手のスタッツは下記の通り。


札幌戦攻撃スタッツ - 丸山 祐市

浦和戦攻撃スタッツ - 丸山 祐市




札幌戦ヒートマップ - 中谷 進之介

浦和戦ヒートマップ - 中谷 進之介

中谷選手のヒートマップを比較すると、浦和戦の方がはっきりしている。プレーエリアが明確である。丸山選手同様、ボールに絡む回数が減っている。中谷選手のスタッツは下記の通り。


札幌戦攻撃スタッツ - 中谷 進之介

浦和戦攻撃スタッツ - 中谷 進之介



札幌戦ヒートマップ - オ ジェソク

浦和戦ヒートマップ - 成瀬 竣平

右サイドバックは浦和戦が成瀬選手、札幌戦がオジェソク選手である。大勝した浦和戦の成瀬選手は浦和陣内まで攻め込んでいることが分かる。オジェソク選手のプレーエリアは低くプレーエリアの幅も広い。成瀬選手は攻撃、オジェソク選手は守備を任されていたのではないだろうか。二人の攻撃と守備のスタッツは下記の通り。攻撃はラストパスを除けばあまり差がない。しかし守備では明らかにオジェソク選手の方が数値が大きい。ここの違いが、後述する選手にも影響し、名古屋グランパスのバランスを崩してしまったと思う。


札幌戦攻撃スタッツ攻撃スタッツ - オ ジェソク

浦和戦攻撃スタッツ攻撃スタッツ - 成瀬 竣平


札幌戦守備スタッツ守備スタッツ - オ ジェソク

浦和戦守備スタッツ守備スタッツ - 成瀬 竣平


札幌戦ヒートマップ - ジョアン シミッチ

浦和戦ヒートマップ - ジョアン シミッチ

札幌戦のシミッチ選手の特徴はプレーエリアがV字型であることだ。左右に顔を出し、そしてもっとも特徴的なのが丸山選手、中谷選手二人のセンターバックの間でもかなりのプレー回数があることだ。浦和戦ではセンターバックの前でプレーすることが多いが札幌戦では大きく異なる。左右でプレーするときは攻撃時のフォロー、センターバックの間でプレーするのは守備時に、ディフェンスラインに吸収されてしまっているのではないか。札幌の圧力にズルズル後退している姿が浮かび上がる。



札幌戦ヒートマップ - 稲垣 祥

浦和戦ヒートマップ - 稲垣 祥

浦和戦において中央でプレー出来ていた稲垣選手だが、札幌戦では中央ではプレーできていない。サイドに引っ張られていることがわかる。シミッチ選手に負担がかかっているのだろう。これによりシミッチ選手も下がらざるを得なかったのだと思う。


札幌戦ヒートマップ - ガブリエル シャビエル

浦和戦ヒートマップ - ガブリエル シャビエル

札幌戦のシャビエル選手は左サイドでプレーしている。浦和戦は中央でプレーしながらも左右均等に顔を出しボールに絡んでいる。札幌戦ではプレー回数も少ない。プレー時間が少なかったのが大きく影響しているが、それにしてもボールに絡む回数が少ない。パス回数は半減、パス成功回数は3分の1にまで落ちている。シャビエル選手のスタッツは下記の通り。


札幌戦攻撃スタッツ攻撃スタッツ - ガブリエル シャビエル

浦和戦攻撃スタッツ攻撃スタッツ - ガブリエル シャビエル


札幌戦ヒートマップ - マテウス

浦和戦ヒートマップ - マテウス

マテウス選手はシステム図によると両試合共に左ハーフに配置されている。しかしヒートマップを一目見て分かる通り、正反対のポジションになっている。システム図上右ハーフに配置されている前田選手とポジションを入れ替えたのかと思ったがそうでもない。前田選手のヒートマップは下記の通り。


札幌戦ヒートマップ - 前田 直輝

浦和戦ヒートマップ - 前田 直輝

前田選手は、浦和戦では自陣低い位置からゴール前まで縦に長いプレーエリアである。しかし札幌戦では主に右サイドのみでプレーしており、ゴール前でプレーした回数も少ない。上のマテウス選手のヒートマップと比べて分かるように重なっているのだ。右サイドバックのオジェソク選手は攻撃よりも守備の選手であり、右サイドの攻撃が上手くいかなかった。そのため本来左ハーフのマテウス選手が右サイドに顔を出し前田選手と重なった。それでも攻撃が上手くいかなかったため、更に稲垣選手が顔を出した。空いた左サイドには、本来中央でプレーするべきシャビエル選手が流れてしまった。中央でプレーするべき選手がいなくなったことで、中央が数的不利になり、札幌の圧力に負けシミッチ選手が守備ラインに吸収されてしまったのだろう。


札幌戦ヒートマップ - 金崎 夢生

浦和戦ヒートマップ - 金崎 夢生

最後に金崎選手。浦和戦と札幌戦では左右対称、ほぼ正反対になっている。札幌戦では右サイドの攻撃が上手くいかず詰まってしまったため左サイドに流れてしまったのだろう。



なんとなくのまとめ

1.右サイドバックは、札幌戦では守備のオジェソク選手、浦和戦では攻撃の成瀬選手を起用した。

2.札幌戦では守備のオジェソク選手を起用したため、右サイドの攻撃が機能しなかった。

3.そのため本来左サイドでプレーするべきマテウス選手が右サイドに顔を出した。

4.マテウス選手が右サイドに来たことで、前田選手と重なってしまった。

5.右サイドの攻撃が上手くいかないため、中央でプレーするべき稲垣選手が右サイドへフォローに入った。

6.空いた左サイドは、本来中央でプレーするべきシャビエル選手が回った。

7.中央でプレーするべき選手がいなくなった。

8.中央で数的不利になり、シミッチ選手はディフェンスラインに吸収されてしまった。

9.中央の選手がいなくなり、センターバックを含めたビルドアップが出来なかった。

10.右サイドが手詰まりになったため、金崎選手も左サイドに流れてしまった。

11.結局、たった1箇所バランスが崩れたために全体のバランスが崩れてしまい勝利に結びつかなかった。


アウェイの札幌戦はチームとしても監督としてもあまり勝てていないと新聞に掲載されていた。そのため、もしかすると監督は守備的な選手を選択し引き分け狙いだったのではないだろうか。引き分け狙いのゲームプランであれば、最後にランゲラックのスーパーセーブもあったが、監督の狙い通りの結果になったのではないだろうか。しかしファンとしては勝ってほしかった。優勝できるとは思っていないが、上位につけているため、次の勝利を期待します。