いつものことながらFootball LAB(https://www.football-lab.jp/)さんからデータを拝借した。Football LABさんのデータの中にはチームスタイル指標(https://www.football-lab.jp/pages/team_style/)という分析方法があり、下位項目として様々な分析指標が掲載されている。
今回はその中からショートカウンターに的を絞り少しレビューさせていただく。
ショートカウンターの定義については下記の通り。こちらの画像もFootball LABさんから拝借した。
ということである。
ショートカウンターの指数と指数計算に用いられた各項目の数値は下記表の通り。
指数は偏差値のことで、指数が最も高いのは横浜F・マリノスで64。最も低いのはセレッソ大阪の32である。指数以外の項目の単位は%であったり、人数、メートルなど様々である。このままであると分析しづらいため、単位を統一する。指数同様、全て偏差値に計算し直す。
全ての項目を偏差値に計算し直した結果は下記の通り。
赤色のセルは偏差値60以上。緑色のセルは偏差値40以下。理屈上偏差値60以上は、上位16%以内、偏差値40以下は、下位16%以内に入ることになる。
上記表を各項目ごとに相関係数を計算すると下記表の通りになる。
ショートカウンター(定義:ミドルサードもしくはアタッキングサードの後方でのボール奪取から10秒以内にアタッキングサードを狙った攻撃)を成功するためには、指数の相関係数に注目する。相関が最も強い項目はロングパス使用率であり、相関係数は0.51である。そこそこ強い相関関係にある。実際ロングパスを使ったショートカウンターを実践しているのは上記表(チームスタイル指標:ショートカウンター偏差値)におけるロングパス使用率のピンクのセルのチームである。鹿島アントラーズ(偏差値65)、北海道コンサドーレ札幌(偏差値66)、湘南ベルマーレ(偏差値71)の3チームの偏差値が高い。このうち鹿島アントラーズは指数(63)、ゴール率(64)ともに偏差値が高く、3チームの中で最も成功している。北海道コンサドーレ札幌は指数(62)は高いがゴール率(44)は低く、ショートカウンターによる攻撃はできても得点には結びつかないようである。湘南ベルマーレは指数(49)、ゴール率(32)であり、指数は何とか平均的であるが、ゴール率は壊滅的でありショートカウンターは成功していないとみてよいだろう。
ショートカウンターを含む全ての攻撃は得点を奪うためにある。ということから次に注目するのはゴール率である。ゴールに結びつく項目としては、シュート率(相関係数0.57)である。といってもゴールとシュートは切り離せないため除外する。次に相関係数が高いのは空中戦使用率(相関係数0.47)、24km/h以上の走行一人当たりの平均距離(相関係数0.44)である。早く走りこんで空中戦で勝負するということである。(なんか自分がイメージするショートカウンターと違う気がするが。)
空中戦使用率の相関係数が強いのはサンフレッチェ広島(相関係数71)。どんな選手が空中戦に強いか調べたら下記の通り。
ドウグラスヴィエイラ選手は敵陣空中戦第8位(偏差値76.8)、レアンドロペレイラ選手は敵陣空中戦16位(偏差値67.9)。上位20名の中に2名も入っている。
次は大分トリニータ(偏差値66)。敵陣空中戦に強い大分トリニータの選手は知念選手で1位。偏差値は驚異の104.8。強すぎる。
セレッソ大阪は偏差値62。敵陣空中戦に強い選手は14位のブルーノメンデス選手(偏差値69.1)、そして15位の片山選手(偏差値68.2)である。
横浜FCは空中戦使用率の偏差値は61。敵陣空中戦に強いのは皆川選手(偏差値63.2)。こちらも敵陣空中戦に強い。
この4チームの中ではサンフレッチェ広島と大分トリニータのゴール率が高く、それぞれ偏差値62、64であり、空中戦を使い成功しているチームと言える。セレッソ大阪のゴール偏差値は59であり、60には届かないがいい数字だろう。横浜FCのゴール率偏差値38であり、空中戦使用率は高くても必ずしも成功していない。
その他気づいたことをレビューするために下記表を再掲する。
川崎フロンターレはコンビネーション使用率が高く、指数、ゴール率も高い。川崎フロンターレの21km/h以上の走行平均人数、21km/h以上の走行一人当たりの平均距離、24km/h以上の走行平均人数、24km/h以上の走行一人当たりの平均距離の偏差値は37~44であり、スプリントは重視していないことが分かる。横浜F・マリノスはコンビネーション使用率が高く指数も高いがゴール率は低く、攻撃はできてもゴールに上手く結びついていないようだ。湘南ベルマーレとガンバ大阪もコンビネーション使用率は高いが、指数、ゴール率ともに低くショートカウンターが上手く機能していないようだ。大分トリニータは21km/h以上の走行平均人数、21km/h以上の走行一人当たりの平均距離、24km/h以上の走行平均人数、24km/h以上の走行一人当たりの平均距離の全てが偏差値60を超え、ゴール率も偏差値64であり、走ることでゴールに結びついている。FC東京は21km/h以上の走行平均人数、21km/h以上の走行一人当たりの平均距離、24km/h以上の走行平均人数、24km/h以上の走行一人当たりの平均距離の偏差値が55~60であり、指数も59と高い。こちらも走ることでショートカウンターが機能している。
ショートカウンターひとつとっても各チームの特色がよく分かる。色々な志向のチームがあって面白い。
コメント(4)
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SPORTERIAスタッフ
2020/10/9 13:15
2つ目の表、とても分かりやすいですね💕
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SPORTERIAスタッフ
2020/10/9 13:16
逆に、
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ぴくしー
2020/10/10 08:27
コメントありがとうございます。「指数が高い=回数が多い」なんですね。チームスタイル指標の説明には「攻撃の試行回数を素にした指数」と記載されていたため、ゴール率、シュート率、ドリブル使用率、ロングパス使用率等(以下略)の数字をもとに計算された”指数”かと思っていました。
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ぴくしー
2020/10/10 08:28
「指数が高い=回数が多い」ということであれば、幾分解釈も違ってきます。次の分析には活かしたいと思います。
指数が高い=回数が多い、なので(ショートカウンターを狙っていることを前提に)指数もシュート率も高ければ、やろうとしていることをピッチ上で表現できていると言えると考えています。
・狙っているのに指数が高くなっていない
・指数は高いがシュート率は極端に低い
場合は、やろうとしていることがうまく表現できていない、のかなと考えています💡