当日ピッチ上は雪かきが行なわれ、湿った芝に足を滑らす選手が多数見られたJ3リーグ最終戦。

基本スタッツゴール期待値

試合開始から讃岐さんの2トップに対し、3バックの岩手がボールを保持する展開。特に田代選手のボール運びに讃岐右SH下川選手が出ていくと、新保選手に右SB川崎選手がついて、空いたスペースに西選手や左に流れるFW和田選手がボールを受けられる展開。9分の和田選手の右へのサイドチェンジからの宮市選手のクロスに西選手の胸トラップからのシュートや11分の加々美選手のクロスから和田選手のヘディングと讃岐ゴールを脅かした。

パスソナー・パスネットワークフォーメーション図

ヒートマップ - 田代 真一ヒートマップ - 和田 昌士

11分のピンチの後に讃岐さんは左SHの吉田選手を最終ラインに下ろす5バックでの守備に変更。田代選手の対応をまず下川選手にさせる事で3バックに対し3枚で対応する事で岩手のボール回しを困らせ、一方的な展開から流れを引き戻しそれまで作れなかったシュートまで持ち込めるような状況となった。これに対し岩手はロングボールで打開を図る展開に。藤村選手に対し讃岐ボランチ江口選手が早めにチェックという試合当初からの狙いも相まってさらに個人頼みの状況に。これが外からできる修正力である。

ヒートマップ - 下川 太陽

後半讃岐さんは4-4-2に戻し、試合当初の課題だった田代選手からの運びへの対応を下川選手がはっきり担う形で前半のような事は起こらなかった。しかし、62分にボランチ竹村選手が2枚目の警告で退場。ベンチでは交代の準備が行なわれていたがキャンセルとなり、川西選手がボランチに入り冨永選手がワントップとなる4-4-1の形で中を締めしっかり守りながらという体制に。

最前線の川西選手は裏への意識も見せながら、下りてボールを受ければ流石の技術でチャンスに絡んだ。前回対戦で苦労した森本ヒマン選手とこの日の2トップはいずれもレンタルの選手。J3リーグ最少得点となってしまった攻撃面でどうするかという所は来季も指揮する米山監督の課題となる事は間違いない。

この日Jリーグデビューとなった下部組織出身GK松原選手。招集メンバー入りが初めてという事もありDFとの連携や開始直後のキックの精度などの課題はあったものの、1人少ない不利な状況になっても落ちついた振る舞いはデビュー戦とは思えないものだった。

そして、金井選手の最後のプレーは悔しいものとなってしまったが、16年間おつかれさまでした。

攻撃スタッツ - 川西 翔太ヒートマップ - 川西 翔太

GKスタッツ - 松原 快晟守備スタッツ - 金井 貢史

一人多くなった岩手は3バックの両脇が上がる機会は増えたものの、大枠でこれといった狙いも見られず、選手交代で戦況を変えるでもなく、さらに中を固める讃岐さんに手こずり新保選手のクロスのみが頼りに。数的不利となったアウェイ北九州戦でも戦型上空いてしまうSBへの対応を外から施さず、右SBの村松選手にオウンゴールを含める3失点分のクロスボールを喫してしまったように、チーム全体としてのオーガナイズはできないのだろう。

組織力=結果とならないのがサッカーの魅力でもあるが、23年シーズンが始まってから試合の度に成長していくチームに期待を膨らませていたが、最終戦を現地で見て劇的なゴールで沸くスタジアムを静かに去る自分がいた。

エリア間パス図攻撃スタッツ - 新保 海鈴

今シーズンもSPOTERIAさんのデータには大変お世話になりました。

来シーズンは監督が続投するチームが半数以上で、勝利そして優勝昇格を目指して組織的かつ魅力的なJ3リーグが楽しめる事でしょう。