いつものことながらFootball LAB(https://www.football-lab.jp/)さんからデータを拝借した。Football LABさんのデータの中にはゴール期待値(https://www.football-lab.jp/pages/expected_goal/)という分析方法があり、これをもとにさらに分析を進めさせていただく。今回使用するデータは2020シーズンの内、10/16までに終了した試合を対象とした。


下記表はチーム別の1試合当たりの平均得点、ゴール期待値、「平均得点-ゴール期待値」である。

ゴール期待値よりも得点の方が上回れば期待以上に得点しているということになる。なお、ここでは平均得点からゴール期待値を引いたものを得点予実差異という名称にした。予実差異は簿記や財務などで使用される言葉で予算と実際の差異を指す。ここでは予測と実際の差異ということで予実差異とさせていただく。計算結果は上記表の通り。赤色のセルは得点予実差異がプラスであり、期待値以上に得点をあげている。緑色のセルは得点予実差異がマイナスで、期待値ほど得点できていない。得点予実差異が最も高いのは柏の0.52である。1試合当たり0.52点期待値以上に得点している。オルンガ選手の活躍が影響しているのだろう。上位の方が赤く、期待値以上に得点している傾向にあることが分かる。


次は失点期待値である。

失点期待値という言葉はFootball LABさんのデータにはない。しかし簡単に計算できる。というか計算などしなくても良い。相手チームのゴール期待値が失点期待値になる。失点期待値を計算すると上記表の通りになる。次に失点から失点期待値を引くと一番右列の数字になる。これを失点予実差異とする。予実差異の意味は前述した通りである。緑色のセルは失点期待値よりも実際の失点の方が少ないことを意味する。赤色のセルは逆である。失点期待値より最も失点を抑えているのがG大阪で-0.49、1試合当たり失点期待値よりも0.49点抑えていることになる。リーグ順位が上の方ほど、失点期待値よりも失点の方が少ない傾向にあることが分かる。期待以上に失点を抑えている。


次は得点予実差異から失点予実差異を引いてみる。

得点予実差異から失点予実差異を引くと、1試合で期待値以上にどれだけ”頑張っているのか”(良い言葉が浮かばない)が分かる。得点予実差異から失点予実差異を引いた数字を得失点予実差異とさせていただく。予実差異とは・・・・もういいですよね。得失点予実差異が最も高いのは柏であり、0.75。1試合当たり0.75点、期待値以上に得失点差をつけている。2位はC大阪、3位はリーグ1位の川崎Fである。やはりここでも川崎Fは強い。我が名古屋グランパスはリーグ順位でも、得失点期待値順位でも4位につけている。


では次に順位だけ抜き出してみる。

得失点期待値順位とリーグ順位は上記の通りである。この順位を相関分析し相関係数を計算すると下記の通りになる。

結果は0.69である。0.7には届かなかったが、それなりに強い相関関係になる。この相関係数から、リーグで良い成績をおさめるためには、期待値以上にゴールを奪い、期待値以上に失点を抑えることが重要になる。期待値は予測であり結果でもある。そこからどれだけ頑張れるのか、プロとしての見せ所だ。


筆者は静岡県に住んでいる。静岡県唯一のJ1リーグ清水エスパルスの失点期待値1.63と失点2.30の関係は非常に気になる。時間があったらもう少し分析してみようと思う。