ショートカウンター、ロングカウンター、敵陣ポゼッションとレビューしたが、Football LABさんのチームスタイル指標はまだある。今回は「自陣ポゼッション」である。


いつものことながらFootball LAB(https://www.football-lab.jp/)さんからデータを拝借した。チームスタイル指標(https://www.football-lab.jp/pages/team_style/)はURLから確認していただきたい。


自陣ポゼッションの定義については下記の通り。こちらの画像もFootball LABさんから拝借した。



ということである。巷で言われているポゼッション率とは定義が大きく異なっていることに留意していただきたい。

分析は「ショートカウンター」の巻(https://sporteria.jp/blog/yagoto-10/6719615842830520321)、「ロングカウンター」の巻(https://sporteria.jp/blog/yagoto-10/6720498639560511489)、「敵陣ポゼッション」の巻(https://sporteria.jp/blog/yagoto-10/6723038626952777729)の手法を踏襲した。またFootball LABさんが集計した10/10までのデータを使用した。ショートカウンター、ロングカウンター、敵陣ポゼッションのデータよりも時間軸として先に進んでいることも留意願いたい。


自陣ポゼッションの指数と各項目の数値は下記表の通り。


指数は自陣ポゼッションの回数を偏差値にしたもので、指数が最も高いのは大分トリニータで73。最も低いのはFC東京の36である。指数以外の項目の単位は%であったり、人数、メートルなど様々である。このままであると分析しづらいため、単位を統一する。指数同様、全て偏差値に計算し直す。

全ての項目を偏差値に計算し直した結果は下記の通り。


赤色のセルは偏差値60以上。緑色のセルは偏差値40以下。理屈上偏差値60以上は、上位16%以内、偏差値40以下は、下位16%以内に入ることになる。


上記表を各項目ごとに相関係数を計算すると下記表の通りになる。


上記表の各項目ごとに相関係数を計算すると下記表の通りになる。赤色のセルは相関係数0.7以上、-0.7以下、緑のセルは相関係数0.4~0.7、-0.4~-0.7である。

指数と相関関係にあるのはゴール率。相関係数は0.49であり、自陣ポゼッション攻撃回数が多くなるほどゴールが決まる確率が上がるということである。ショートカウンター、ロングカウンター、敵陣ポゼッションではここまで相関係数は高くなかった。下記にそれぞれの相関係数を掲げておく。

ちなみに自陣ポゼッション指数とシュート率の相関係数は-0.01でほぼ無相関であるため、大切にボールを扱いシュートまで持ち込むという図式は見えない。シュート率は低くてゴール率が高くなることを説明するためにはもう少し尺度が異なるデータが必要になるだろう。

ゴール率はドリブル使用率(相関係数0.54)やコンビネーション使用率(相関係数0.46)と関連が強い。ドリブルやコンビネーションを使った方がゴール率が高くなる。

シュート率も同様で、ドリブル使用率(相関係数0.41)やコンビネーション使用率(相関係数0.55)と関連が強い。ドリブルやコンビネーションを使った方がシュート率が高くなる。


ドリブル(偏差値73)やコンビネーション(偏差値75)を使い攻撃するのはコンサドーレ札幌。指数(偏差値55)はそれほど高くはないが、ゴール率(偏差値68)、シュート率(偏差値63)は非常に高い。コンサドーレ札幌は空中戦使用率が高いことも特徴的である。コンサドーレ札幌にはジェイ選手がいる。敵陣空中戦ランキング4位、偏差値85.2のすごい選手である。


逆にドリブルやコンビネーションを使わないがFC東京。ドリブル(偏差値36)、コンビネーション(偏差値26)は非常に低い。よって指数(偏差値36)、ゴール率(偏差値36)、シュート率(偏差値38)が低くなる。FC東京は21km/h以上の走行一人当たりの平均距離(偏差値67)、24km/h以上の走行一人当たりの平均距離(偏差値73)が高く、長い距離を走ることで自陣ポゼッション攻撃を行っている。


指数1位の大分トリニータは、21km/h以上の走行平均人数(偏差値65)、24km/h以上の走行平均人数(偏差値67)が高い。もちろん走行距離の偏差値も高いが、少数の選手が長い距離をスプリントするのではなく、複数の選手がスプリントし攻撃を行う傾向がある。といいつつも、大分トリニータとFC東京の21km/h以上の走行平均人数の差はたったの0.3人である。しかし、たった0.3人が差を生み出している。大分トリニータにあってはドリブルもコンビネーションも低いことも特徴的である。


我が名古屋グランパスエイトはここでも強力な中位力を発揮している。



やはり、自陣ポゼッションは、ショートカウンター、ロングカウンター、敵陣ポゼッションとは大きく異なる結果になった。