データがたくさんありますので、集計・分析をさせていただきます。今回のお題はチームスタイル指標です。Football LABさんにチームスタイル指標がありますので活用させていただきます。チームごとに2020シーズンと2019シーズンのチームスタイル指標を並べ、相関係数を計算しました。2019シーズンをもってJ1から降格したチーム、2020シーズンにJ1へ昇格したチームについては、戦うカテゴリーが変わっているため対象外とさせていただきました。

相関係数については、0.7以上をチームスタイル変化なし、0.4以上0.7未満を一部変化、0.4未満(-1まで)を大きく変化したと解釈させていただきます。

札幌については、相関係数が0.871であり、チームスタイルは変化していません。中央攻撃やロングカウンターがシーズンをまたいでも強みになっています。ショートカウンターは2020シーズンをまたいで伸びている部分です。左サイド攻撃はシーズンをまたいで弱みとなっている部分です。

仙台については、相関係数が0.631で0.4以上0.7未満に相当しますので、一部変化ということになります。右サイド攻撃は50から60へ伸び、ロングカウンターは55から47へ変化しています。攻撃セットプレー、左サイド攻撃、中央攻撃、敵陣ポゼッション、自陣ポゼッションについては、シーズンをまたいで平均に届かない数値になっています。

鹿島の相関係数は0.756であり、チームスタイルは変化していないとなります。ただし指標の多くは上昇しています。中央攻撃とショートカウンターは2019シーズンの平均以下から60以上へ大きく上昇しています。左サイド、敵陣ポゼッション、自陣ポゼッションの変化が小さいです。

浦和の相関係数は0.688であり、一部変化といったところです。特に目立つのが中央攻撃で、2019シーズンの平均以下の49から2020シーズンの56へ大きく変化しています。また自陣ポゼッションは54から46へ下降しています。

FC東京の相関係数は0.912であり、今回調べた中では最も相関係数が高かったです。最も変化していないと解釈できます。平均未満から平均以上への変化、平均以上から平均未満への変化はありません。強みのところは強みのまま、弱みのところは弱みのままというのがFC東京です。

川崎Fの相関係数は0.856であり変化なしということになります。それでも攻撃セットプレーは平均未満の49から61へ良い意味で変化しています。FC東京同様強みは強みのまま、弱みは弱みのままという傾向です。

横浜FMの相関係数は0.547であり一部変化というところです。自陣ポゼッションを除き全て数字が伸びています。自陣ポゼッションは62から51へ下降しています。

湘南の相関係数は0.846であり、相関係数としては変化なしというところです。湘南は多くの項目で指標が下がっています。2019シーズンには60を超えていた指標が2つありましたが、軒並み平均以下に下がっています。数値としては大きく変化していることが分かります。相関係数の難しいところは、指標の大小の優劣を数値化したものではないということです。簡単に言えば、湘南は2019シーズンから2020シーズンにかけて、全ての指標が同じように下降したから相関係数は高いということになります。説明がわかりにくくて申し訳ありません。湘南は、志向として変化はないが、数値そのものは下がっているということになります。

清水の相関係数は-0.160であり、僅かながらではありますが負の相関になっています。特に変化が大きかったのが敵陣ポゼッションと自陣ポゼッションです。それぞれ44から54、43から53へ変化しています。ロングカウンターが55から45へ変化していますので、カウンター志向からポゼッションサッカーへ変化していることが数字から読み取れます。左サイド攻撃も47から54へ上昇しています。相関係数から見た場合、最も変化が生じたチームの一つになっています。

名古屋の相関係数は0.061であり、大きく変化しています。相関係数の意味としては、ほぼ無相関になりますが・・・。平均以上から平均未満へ下降した指標は中央攻撃、右サイド攻撃、ショートカウンター、敵陣ポゼッションです。上昇した指標はロングカウンターと自陣ポゼッションのみです。といってもこの2つの指標は平均未満です。

G大阪の相関係数は0.577であり、一部変化といったところです。中央攻撃は42から52へ上昇し、攻撃セットプレーは53から49へ下降、ロングカウンターは53から44へ下降、自陣ポゼッションは60から45へ下降しています。その他は強みは強みのまま、弱みは弱みのままになっています。

C大阪の相関係数は0.814であり、変化なしといったところです。強みの自陣ポゼッションは57から58への変化であり強みのまま、その他は弱みのままというのがC大阪です。

神戸の相関係数は0.825であり、変化なしといったところです。強みの敵陣ポゼッション、自陣ポゼッションは60を超える強みのままです。その他の強みでも左サイド攻撃、中央攻撃も強みのままです。右サイド攻撃は53から41へ下降しています。その他の指標は弱みのままです。

広島の相関係数は0.004であり、大きく変化しているといったところです。相関係数としてはほぼ無相関という意味になります。中央攻撃は45から54、右サイド攻撃は41から61へ上昇し、弱みから強みへと変化しています。逆に自陣ポゼッションは52から37になり、弱みへと変化しています。

鳥栖の相関係数は-0.676であり、大きく変化しました。攻撃セットプレーは65から37、左サイド攻撃は56から44、ショートカウンターは58から39,ロングカウンターは52から42へと下降しています。敵陣ポゼッションは45から54、自陣ポゼッションは46から61へと上昇しています。2019シーズンでは強みであった指標が2020シーズンには弱みへと変わり、逆に弱みだった指標が強みに変わっています。おおきく戦術が変わっているのでしょう。相関係数は16チームの中で最も小さい(強い弱いではない)値でした。

大分の相関係数は0.873であり、変化なしといったところです。強みの自陣ポゼッションは70を超え、強みのままです。右サイド攻撃も下降していますが50を超えています。中央攻撃は27から28、ショートカウンターは22から34へ変化していますが、弱みのままです。

以上をまとめたのが下表になります。

ピンクのセルは相関係数0.7以上、オレンジのセルは0.4以上0.7未満、緑のセルは0.4未満になります。相関係数にシーズンごとの順位、そして順位の差(変化)を表にしました。

相関係数から見た各チームの変化と順位の差(変化)を比較することが出来ます。

これを見るとなかなか興味深いものが見えてきます。下記にまとめました。

こちらは相関係数が0.7以上、かつ順位が上昇したチームです。スタイルを変えないことで順位を上げたチームということになります。「継続は力なり」という言葉が浮かびます。ブレないチームということでしょう。

こちらは相関係数0.7以上、かつ順位が下降したチームです。スタイルを変えないことで順位が下がったチームということになります。ただしこの中には鹿島やFC東京のように、優勝には届かなかったが上位をキープしているチームもあります。特にFC東京はルヴァンカップでも優勝しているチームです。順位が下がったといっても大きな失敗をしているのではないでしょう。札幌、神戸、大分は順位も下位に沈んだことから、スタイルを変えないことで失敗したチームといえるでしょう。そして湘南は16位から18位へと順位が下がっています。スタイルの志向も変化していません。2019シーズンに下位に沈んだことから、2020シーズンは大きくチームを変える必要があったにも関わらず、スタイルの志向としての変化はありませんでした。悪い意味で頑固者といえるのではないでしょうか。

こちらは相関係数が0.4以上0.7未満、かつ順位が上昇したチームです。スタイルを一部変更し順位を上げたチームになります。特にG大阪は躍進しました。遠藤選手の移籍からもチーム方針の変化がよく分かります。

こちらは相関係数が0.4以上0.7未満、かつ順位が下降したチームです。スタイルを一部変更したことで順位を下げてしまったチームです。横浜FMがここまで順位を落とすとは予測できませんでした。横浜FMの変化は、相関係数で見た場合マイナーチェンジ(自動車風に言えば)位です。しかしチームがそうでも、環境は違います。チームが置かれる環境は常に変化しますので、環境に応じた変化も必要です。横浜FMは2019シーズンはチャンピオンでした。包囲網は凄まじかったことと思います。そこに対する変化が少し足りなかったような気がします。

こちらは相関係数が0.4未満、かつ順位が上昇したチームです。スタイルを大きく変えることで順位を上げたチームになります。名古屋の躍進は他のブログで述べていますので割愛します。指標を見る限り、鳥栖はカウンターからポゼッションへ大きく変化しました。有望な若手もおり、またU15、U18世代も活躍していますので、今後が楽しみです。

こちらは相関係数が0.4未満、かつ順位が下降したチームです。スタイルを大きく変えることで順位を下げてしまったチームです。広島は中位をキープしていますが、清水は順位をかなり落としました。清水はカウンターからポゼッションへ変化しましたがよい成績を収めることができませんでした。2021シーズンは守備に定評がある監督に変わりました。静岡県民としては、この一貫性のなさが心配です。

以上、長くなりましたが報告させていただきます。