毎度のことながらFootball LABさんからデータを拝借しました。今回はペナルティエリア進入回数(以下、PA進入回数)についてです。

2021シーズンにおける各チーム1試合当たりのPA進入回数は下図の通りです。

上図から、PA進入回数はチャンス構築率やゴール期待値に結びつくと推測しました。


使用するデータは3/17までに終了した試合の内、試合数が少ないG大阪を除いたものです。まずチームごとにPA進入回数、チャンス構築率、ゴール期待値の1試合当たりの平均値を求め、平均値をもとに各種計算をしました。PA進入回数をもとに論を進めます。

このままだと分かりにくいので、まずはPA進入回数とチャンス構築率を散布図にします。下図の通りです。

相関係数を求めたところ0.83という強い相関関係にあることが分かりました。PA進入回数の多さはチャンス構築率の高さと強い相関関係にあります。右上に位置する札幌、鹿島、川崎FはPA進入回数が多く、チャンス構築率が高いグループです。逆に左下の清水、大分、柏あたりはPA進入回数が少なく、チャンス構築率が低いグループです。開幕5連勝の我が名古屋グランパスはPA進入回数が少なくチャンス構築率が低いグループに近いです。攻撃を軸に勝利しているわけではないことが明白です。斜めに直線が一本通っています。これは近似直線です。分かりやすいように直線にしました。近似直線と比較すると、鳥栖が近似直線からかなり離れていることが分かります。鳥栖はPA進入回数の割にチャンス構築率が高いということになります。鳥栖の好調さの一因が伺えます。そして我が名古屋はほぼ近似直線上に位置し、理論値とほぼ同値ということになります。

次はPA進入回数とゴール期待値の散布図です。

相関係数を求めたところ0.84という強い相関関係にあることが分かりました。PA進入回数の多さはゴール期待値の大きさと強い相関関係にあります。右上に位置する鹿島、川崎F、札幌はPA進入回数が多くゴール期待値大きいグループです。横浜FMもこのグループに近いです。攻撃を軸に試合を進めるチームなのでしょう。左下に位置する清水、大分、柏はPA進入回数が少なくゴール期待値が小さいグループです。ここでも鳥栖は近似直線からかなり離れた位置にいます。PA進入回数の割にゴール期待値が高いことが分かります。この図でも鳥栖の好調の一因が読み取れます。我が名古屋は近似直線から上に離れた位置にいます。PA進入回数の割にゴール期待値が大きいということになります。鳥栖ほどではありませんが、名古屋の好調さの一因が少し読み取れます。

今回はPA進入回数をもとに話をさせていただきました。チャンス構築率やゴール期待値と分析するならPA進入率(%)と分析した方が良いと感じる方がいるかもしれません。今回の分析では、①目的変数をチャンス構築率、説明変数をPA進入回数に設定、②目的変数をゴール期待値、説明変数をPA進入回数に設定しました。この設定であれば、チャンス構築率を高めるためにはPA進入回数を増やせばいいという結論になり、より具体的な策を講じることが出来ます。またゴール期待値を高めるためには、同様にPA進入回数を増やせばいいという結論になり、より具体的な策を講じることが出来ます。説明変数をPA進入率(%)にした場合(一応計算しましたが、PA進入率でも強い正の相関関係になります)、チャンス構築率を高めるためにはPA進入率を高めるいう結論になります。PA進入率を高めるためには色々な策を立てなければなりません。ゴール期待値に対しても同様です。「PA進入回数を増やすこと」と「PA進入率を高めること」はイコールではありません。似て非なるものです。実際に講じる策は違ってきます。策は単純な方が立てやすいし実行しやすいです。そのために説明変数をPA進入回数にしたわけです。

今回はゴール期待値までで終わりますが、最終目的地はゴールだったり、勝点、勝利、順位であると思います(なんか沢山ありすぎて最終目的地になっていないような気がする)。こういった尺度との関係はまた後ほどということにさせていただきます。