毎度のことながらFootball LABさんからデータを拝借しました。

今回の対象はJ1リーグにおいて8月31日までに消化した試合である。

Football LABさんにある基礎データ(チャンスビルディングポイント及びスタッツ)を使用した。また攻撃1回当たりのパス本数を計算し、各チームの基礎データとの相関係数を求めた。

注目したのは下表に記載した攻撃CBPとゴール期待値である。

上表の赤色のセルは絶対値で0.7以上、緑色のセルは絶対値で0.4~0.7を示している。攻撃1回当たりのパス本数と攻撃CBPとの相関は総じて高い。多少の強さの違いはあっても、全てのチームにおいて攻撃1回当たりのパス本数が増えると攻撃CBPが高くなることを示している。

次はゴール期待値である。色がついているのは3チームである。柏の相関係数は0.47であり、攻撃1回当たりのパス本数が増えるとゴール期待値が高まる。鳥栖と磐田は負の相関関係にあり、柏とは逆で、攻撃1回当たりのパス本数が増えるとゴール期待値は低くなる。

また各チームの攻撃CBPとゴール期待値のそれぞれの相関係数を確認すると、柏、鳥栖、磐田のような関係にはないということが分かる。


前述した柏、鳥栖、磐田について検証するためにチームスタイル指標におけるシュート率を下記に掲げる。

シュート率一覧には左サイド攻撃、中央攻撃、右サイド攻撃があるが、これらは攻撃する位置を示しており、攻撃1回当たりのパス本数とは関係ない。セットプレーも攻撃1回当たりのパス本数とは関係ない。よってショートカウンター、ロングカウンター、敵陣ポゼッション、自陣ポゼッションに着目する。

柏は敵陣ポゼッションのシュート率が高く、前述した「攻撃1回当たりのパス本数が増えるとゴール期待値が高まる」との仮説は支持されたといって良いだろう。

鳥栖はショートカウンターのシュート率が高く、前述した「攻撃1回当たりのパス本数が増えるとゴール期待値は低くなる」との仮説は支持され、手数をかけない攻撃が効果を発揮していると言える。

磐田も鳥栖同様にショートカウンターのシュート率が高く、前述した「攻撃1回当たりのパス本数が増えるとゴール期待値は低くなる」との仮説は支持される。しかしシュート率だけに着目すると敵陣ポゼッションの方がシュート率は高い。以上から磐田は敵陣ポゼッションからのシュート率は高いが、ゴール期待値が高まるようなシュートは少なく、ショートカウンターからの攻撃の方がゴール期待値を高くする攻撃が出来ていると解釈できる。


簡単ですが、以上で終わりです。