こんにちは、ユースケ@サガン鳥栖です。

いやー清水硬かった。ロティーナおじいちゃんがしっかり鳥栖対策してきましたね。昨年お互い下位に沈んだチームとは思えないほどの好ゲーム。清水は今回のような守備をオプションとしてリード時の最終盤に使ってもいいんじゃないでしょうか?それくらい強固なブロックでした。

さていつものように早速レビューしていきましょう!

■ロティーナはいかにして鳥栖の攻撃を遮断したか?

フォーメーション図フォーメーション図

清水ロティーナ監督はこの試合それまでの4バックではなくて3バックで臨んできました。フォーメーションは鳥栖と同じ3-1-4-2(3-3-2-2)。浦和戦と仙台戦を見て4-4ブロックで鳥栖を相手にする危険性を認識したはずですし、湘南が上手くサイドで鳥栖のビルドアップを阻害できてたのも見てるはずです。

仙台戦のボードを使っておさらいしますが、鳥栖の攻撃が強力なのは両サイドが高い位置をとり2-2-6もしくは3-1-6の形を作って押し込むからです。

樋口、山下、林、小屋松の4人が4-4ブロックの間を狙い中央に入っていくので相手4バックが中央に寄らざるを得なくなり両サイドがフリー、もしくはSHが戻ってきたとしても1対1の局面になってしまいます。4バックでは守るのが難しいことがわかるかと思います。

清水はこうならないように湘南同様3バック+両WBで鳥栖のビルドアップを阻害してWBが高い位置を取れないようにしてきました。もしプレスをかいくぐられて押し込まれても5バックなら5レーンそれぞれに人がいるのでスペースを埋められるのも利点です。ただそれだと後ろが重くなって押し込まれた時に前に出ていく距離が長くなりますけどね。

で、画像は11分、清水が鳥栖のビルドアップをうまく阻害しているシーンです。3バック+両WBの5バック気味にセットして、さらに2トップとCH3人が中央を閉めているので出しどころが無く右に一度展開します。

鳥栖が2CB+松岡の3人でビルドアップしようとするところを、相手の2トップ+17番の河井の3人でプレスに行きサイドに誘導します。そしてサイドにボールが入ったときはWBが前に出てプレスに行き押し返しています。長い距離をスプリントして前に出るので結構大変です。この河井の役割は浦和戦で仙頭がやっていたのと似たようなタスクですね。

清水としてはこうやってプレスが上手くいってる時間帯に高い位置で奪ってゴールまで持って行きたかったんだと思います。実際何度か良い攻撃がありましたし、後半なんかは結構前からきて勝負に出てきたなと感じました。

これは清水が大型補強で選手層が厚くなり様々なシステムに対応できるようになったのが大きいですね。鈴木なんかは大分でも3バックやってて慣れてるはずですし。それを短期間でチームに落とし込んできたロティーナはやはり流石というしかありません。

■左サイドの攻撃をオーガナイズする仙頭の存在

一方鳥栖としては前述のように対策され中々前に運べず、いつもより長いボールを蹴ることも多かったのですが、もちろんチャンスを作れてるときもありました。そのキーマンとなっていたのが仙頭です。

画像は34分のシーン。仙頭が降りてきてビルドアップをサポートします。このとき清水のIH(23鈴木)を引き連れてくるので、その裏にスペースが空きます。丸で囲った部分ですね。

そこに侵入した小屋松に仙頭からダイレクトパス。さらに仙頭自らもそのスペースへ侵入し小屋松からリターンパス。これで仙頭は前を向くことに成功し、このあと9番の山下にスルーパス。ペナルティエリアの中まで侵入できました。

残念ながらシュートにまでは至りませんでしたが、3CHのアンカー脇を使うお手本のような侵入の仕方でしたね。こういうシーンをもっと増やして、終盤ガチガチになる前に点が取れれば良かったんですが、清水も良く走ってスペースを素早く埋め、粘り強く守れてました。

仙頭は本当に賢い選手で状況判断が常に的確です。特に左サイドは彼が攻撃のオーガナイズの全権を握っているといっても過言ではありません。仙頭が降りてくれば、小屋松が中に、中野が大外に。仙頭が前に残れば、小屋松が大外、中野は下がり目でビルドアップのサポート。と、言った感じです。左サイドのポジション取りは仙頭の動きに連動して決定されていくという事です。

加入が決まった時かなりの数の映像をチェックしましたが、この仙頭、攻撃センス抜群でFW顔負けの得点力も持ってます。今の鳥栖では前述のように攻撃のオーガナイズを任されているのでまだゴールはありませんが、試合を重ねるたびに良い位置で前を向くことが増えてきているので、ゴールかアシストを記録するのも時間の問題でしょう。

■鳥栖はどうやってゴールをこじ開ければ良かったのか?

後半も終盤になると鳥栖が一方的に押し込む展開となりました。権田の好セーブ連発があったのは確かですが、結果としてキッチリ守り切られてしまいました。最終盤の清水は5バック+3ボランチの形で、これは鳥栖が田代と島川を投入して逃げ切りを計る鉄壁布陣と同じです。鳥栖サポなら良くわかるかと思いますがそうそう破られるものではありません。もちろん清水としては引き分け狙いでそうなったわけではなく、単純に跳ね返すので精一杯で前に出て行けなくなっただけだと思います。

とにかくあそこまで覚悟を決めて守られてはゴールをこじ開けるのは非常に難しいので、何か工夫をしなければなりません。その方法論の一つが、川崎vs柏の終盤に三笘が見せたドリブル突破です。

三笘が左サイドのドリブルで目の前のマークを剥がしたことによって、中央のディフェンスがそのカバーのためサイドに出ていかなくてはなりません。そうすると中のマークがずれていきますので、その混乱の隙を突くというのが狙いです。結果的にこの三笘の突破から折り返し家長のゴールにつながりました。まあそこまで柏がガチガチに守っていたわけではありませんが、川崎はこれができるから安定して勝ち続けることができるわけですね。

鳥栖でいうと石井や本田がそれを監督から期待されているんだと思います。二人ともスタメンでは中々出番が回ってきませんが、まずはこういう局面で仕事ができるかどうかですね。頑張ってほしいです。浦和戦、仙台戦とゴールのきっかけを作り出しているので、今のところ風智が一歩リードですかね。

あとは樋口の惜しいシュートのようにもっとミドルを打つとか、酒井が入ったので単純にめがけてクロスでこぼれ球を拾うなど、もう少しやっても良かったかもしれませんね。

【まとめ】今の鳥栖には相手のやり方を変えさせるだけの強さがある

いかがでしたでしょうか?

今回ロティーナ監督は目指すサッカーではなく、相手の良さを消すサッカーで勝負してきました。しかしこの時点で相手は所謂「自分達のサッカー」をできなくなっている訳です。対策無しで試合に臨むわけにはいかないチームになってきていますね。今回は勝つことができませんでしたが、今の鳥栖には相手のやり方を変えさせるだけの強さがあるという事ではないでしょうか?

それではまた。